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蛍の光

2010年03月30日

 先週の「どこかで春が」は、なんだか胸がキュンとする歌と書きました。
 そうなるとこの歌も当然同じ類いの歌なのですが、卒業の歌というなら「仰げば尊し」のほうが胸キュンものでしょうか。
 僕はこの歌、同じ卒業や別れの歌といっても年末「紅白歌合戦」のフィナーレの歌という気がするのです。

 今僕が構成演出司会で全国にお邪魔しているコンサート企画に「再現! 紅白歌合戦」というのがあります。
 「紅白」に出場したことのある歌手だけが集ってあの時代の「紅白」を文字通り再現するのです。
 客席からの入場行進に始まって、選手宣誓、応援席、さらに客席に玉を投げ込んでの勝敗決定。
 そして最後は「蛍の光」を歌うのです。
 この企画ショーは年に何度もあります。
 夏冬関係ないので、いつもこの歌は歌っている気がします。

 先日、埼玉県で行った「紅白」では、新沼謙治さん、西川峰子さん、三善英史さんなどに交じって僕と同い年齢、デビューも同期の岩崎良美ちゃんと一緒しました。
 ふたりともデビューから30年。
 こうやって少年少女時代の仲間がお互いにまだ何かに向かって頑張っている気がしてとてもうれしかったです。

 「紅白」といえば、僕は「童謡の謎」「童謡の風景」シリーズのほかに、「怪物番組 紅白歌合戦の真実」という本を以前出しましたが、それ以来久々に童謡以外の歌の本が先週新たに発売になりました。
 タイトルは「あなたの街のご当地ソング ザ・ベストテン!」といいます。
 知らなきゃいけないご当地ソングから、誰も知らない!?ご当地ソングまで「あなたの都道府県を代表する歌は?」のアンケートに基づいて独自でランキングを作成。
 さらに県民性(道民性)やその都道府県の歴史をひもときながら、曲の成り立ち、エピソードをふまえてヒット曲を分析、ご当地ソングの秘密を大胆に披露しています。
 県の面積や人口、平均気温、主な方言といった余計なデータも掲載。
 北海道の方言も“じょっぴんかる”から“手袋はく”“ざんぎ”まで入れましたよ! 
 資料に、旅のおともにどうぞ!

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どこかで春が

2010年03月23日

 この歌を学校で教わり、♪山の三月 東風吹いて…の東風を“こち”と読むというのをはじめて知った小学生6年生の卒業まぢかのころ、実は私は下宿していました。
 6年生で下宿? そうなのです。
 私の父は転勤族で2月が転勤の時期でした。
 1年生の3学期から通っていた室蘭、あと1カ月で卒業というときに転勤することになったのです。
 転勤の地は旭川でした。
 そのとき、私は父と母に願い出て、室蘭の小学校で卒業したいと話しました。
 父の会社の同僚の家に世話になることになり、6年生の子供が一カ月間とはいえども家族と離れて暮らしたのです。
 最初のうちは自由気ままでしたが、何回かさびしくなったことを思いだします。
 そんなときにこの歌を習いました。
  “東風”の「東から吹いてくる暖かい風」の意味を教わりながら、なんだか“東風”が吹いたら父や母に会えるんだなと思って毎日を過ごしたあの日々を思い出して、ちょっと胸がキュンとなる歌です。
 今日の録音は、そんな子供時代を思い出しながら歌ってみました。

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青葉の笛

2010年03月16日

 ここのところ、懐かしい唱歌や童謡もたびたび登場するからでしょうか?
 この歌はまだですか? といった僕にはなじみのない作品へのリクエストも多いのです。
 その一曲がこの「青葉の笛」です。
 60代以上の方々にとっては、学校で教わった大切な唱歌のひとつだったのですね。
 今の世の中「一の谷の戦」も「花や今宵の歌」も知らなくなった人が多くなりました。
 しかし江戸時代から先の戦争終了のころまで、『平家物語』のヒーローとヒロインは教科書だけにとどまらず絵本などを通じて誰も知らぬ者がいないほど子供たちに知れ渡っていたのでしょう。

 「富島松五郎傳」という小説があります。
 これが映画化や歌になったときの題名が「無法松の一生」ですが、この映画の中で人力車夫の松五郎が思いを寄せる女性の息子の小学生が学芸会のシーンでこの「青葉の笛」を歌い、世人にこの曲を新たに認識させました。
 常々言っていることですが、こういった形で歌を復活させたり、守ってゆかなければ唱歌や童謡も忘れ去られてしまうのですね。



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星の界

2010年03月09日

 これは古い唱歌なのですが、僕が小学生のときの教科書ではもう習う歌から外れていました。
 この曲を毎日のように歌うようになったのは高校生になってからでした。
 実は僕は札幌光星学園高校に通っていました。
 光星はキリスト教カトリック系の学校です。
 ですから、いわゆる讃美歌を歌うこともあるし、キリスト教の宗教という授業もあったわけです。
 今の教頭先生が僕の当時の担任の先生です。
 僕たちが一番最初に担任を受け持った生徒ということもあり、先月も札幌に帰ったとき、先生を交えて友達が集まってくれました!

 さて、この歌「星の界」は、高校時代に毎日のように歌った「いつくしみ深き 友なるイエスは」のメロディーと同じです。
 同じ曲で歌詞が違うということですね。
 僕自身はクリスチャンではないのですが、なんだか縁やお導きは小さいころからあったような気がします。
 幼稚園時代は、三笠市に住んでいましたが通っていたのはキリスト教の幼稚園でした。
 中学時代は旭川市に住んでいましたが、自宅の近くに「塩狩峠」や「氷点」をお書きになった三浦綾子先生が住んでいらっしゃいました。
 父が「泥流地帯」の編集担当だったこともあり、中学時代は先生の家によくお邪魔させていただきました。
 先生は敬虔なクリスチャンとして有名ですよね。
 ある年のクリスマス会で先生のお宅にお邪魔して、オルガンで歌ったら「道人さんは音楽家になるの?」と尋ねられたことがありました。
 その後、札幌に越して光星に通うようになったとき、キリスト教の学校に入ったということで、どこかで先生と讃美歌がつながりました。
 先生の著書に主婦の友社から発売の「それでも明日は来る」というご本があります。
 読んだ方も多いと思いますが、僕との件がその中の第2章「ある十七歳」で書いてくださっており、第三章の「合田さんと私」の中に父や僕が出てくるんです。
 今、その本が手元にあります。
 先生にかいていただいたサインは“神は愛なり 三浦綾子 1989,2,11”とあります。
 先生が亡くなるのはそれから10年後ですから、今年でもう11年経つのですね。
 娘が生まれたとき、“あや”(それも字は文章の文とかいて“あや”)と命名したことを先生にお話ししたら、とても喜んでくださいました。
 そんなこともあってか、この歌を聞くたびに、僕は三浦綾子先生を思い出すのです。
 先生が亡くなってから僕は作家としての活動を開始しましたが、きっと先生は天国から見つめてくれているでしょう。
 ある本屋さんに立ち寄ったとき、ちょうど「童謡の謎3」が出ていたときでしたが、なんと僕の本の隣に、綾子先生のだんなさまの光世先生がおかきになった本が並べられていたことがありました。
 「ベストセラー」のコーナーでした。
 そのとき、綾子先生が絶対、天から見守ってくれている! と感じたのです。


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カチューシャの歌

2010年03月02日

 この歌は日本の流行歌第一号といわれる歌です。
 大正3年に、後々「しゃぼん玉」や「しょじょ寺の狸囃子」など数多い童謡も作曲する中山晋平の処女作でした。
 まだレコードが普及ていない時代に吹き込まれた舞台女優の松井須磨子の復刻音源を私は持っていますが、お世辞にも「うまい歌」ではありません。
 でもまあ歌手ではないわけですからねえ。

 しかしこの斬新な晋平メロディーは人々の心を動かすわけです。
 須磨子はこの歌の次の年に、やはり晋平が作った♪命短し恋せよ乙女・・・「ゴンドラの唄」や、♪行こか戻ろかオーロラの下で…「さすらいの唄」などを歌った日本の歌謡史には欠かせない人なのです。
 昨年、長野県の松代にある松井須磨子の実家に行ってきました。
 今も松井さんが住んでいるわけですが、その家の裏手に歌碑と須磨子の写真が飾られた墓地がありました。
 結局、師であり愛人であり、この歌の作詞家でもある劇団主宰の島村抱月は猛威を奮ったスペイン風邪で亡くなり、それに絶望した須磨子は自害しました。遺書には「抱月とともに埋葬してほしい」とありましたが、周囲の反対でかなわず故郷に葬られ、のちに多聞院に分骨されたのです。
 日本の歌のスタートともいえるこの曲を今回取り上げ、初めて歌わせてもらって
 「ああいい歌だな。でも難しいな!」
 と改めて思ったものです。

 これからもこういった、忘れ去られそうな、しかし大切な抒情歌をしっかりと歌い継いで後世に伝えていきたいと思っています。


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プロフィール

プロフィール

合田道人
ごうだ みちと。1961年(昭和36年)、釧路市生まれ。高校在学中に渡辺プロダクションからシンガー・ソング・ライターとしてデビュー。翌年数々の新人賞を受ける。その後、音楽番組の構成、司会、CD監修・解説に加え、作詩・作曲など多方面で活躍。著書「案外、知らずに歌ってた~童謡の謎」などで童謡ブームの火付け役となり、「歌う作家」として講演・コンサートで全国をまわっている。
07年4月から北海道新聞で「あの日の歌景色」を連載中。

歌を聴くには

「歌を聴く」ボタンをクリックすると、タイトルの歌を聴くことができます。

歌が再生されない場合は再生ソフト「『Windows Media Player』(無料)」をインストールしてください。ダウンロードするには、下のロゴをクリックしてください。


※録音物の著作権は、北海道新聞社、ミュージック・オフィス合田に帰属します。

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