北海道ぐるっとローカル線の旅・夏の石北本線(旭川駅~白滝駅)

2018年10月18日

 今回は、北海道の母なる川「石狩川」や北海道の屋根「大雪山」と出会い、北海道の鉄道では最も標高の高い峠を越えて行く、石北本線・旭川駅~白滝駅(85.9km)の旅! 実は2014年8月にここを旅した時、途中で日没となり外は真っ暗。それ以来、いつかまたここに来て、夏の車窓の風景を楽しみたいな~と思ってました。それでは2015年8月の旅日記をご紹介します。
 午後0時25分、札幌駅から乗車した「特急スーパーカムイ13号」旭川駅到着。今日のお目当て、旭川発北見行き「特別快速きたみ」の発車までは、まだ2時間40分もある(笑)。まずはプラットホームで列車を撮影をしよう。午後1時11分、一番楽しみにしていた網走発札幌行き「特急オホーツク4号」がやって来た!1号車(先頭車)と4号車(最後方車)が人気のキハ183-0系気動車(通称:スラントノーズ・1980年代前半製造の初期型車両)だったらいいな~と思っていたら、お~これはラッキー!このスラントノーズ・フル編成の「特急オホーツク」には、最近なかなか出会えない。今日の鉄道旅も幸先がいいぞ~!

1.jpgスラントノーズ・フル編成の「特急オホーツク4号」がやって来た!(旭川駅)

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 「特急オホーツク4号」旭川駅4番ホーム到着・5番ホームには宗谷本線・永山行き普通列車が発車スタンバイ

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「特急オホーツク4号」旭川駅発車・まるで電車特急のよう!

 待望の列車に出会ったので写真撮影は切り上げ、旭川駅を散策。旭川駅は東(石北本線)西(函館本線)南(富良野線)北(宗谷本線)に繋がる交通の要所で、2010年10月に高架化。駅舎内は道産木材がふんだんに使われ、ガラス張りの外観は実にお見事!コンクリート建造物の高架駅らしくない輝きを放っている。旭川の空は雲一つない快晴!今日も素晴らしい車窓の風景が期待できそうだ。嬉しい。

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旅への期待が膨らむ快晴の旭川駅

 時刻は午後2時前、さすがにお腹が空いたので駅弁タイム!旭川駅には様々な駅弁がありとても楽しみにしていたが、え~!何と、主な駅弁は既に売り切れ!聞くところによると「売れゆきのいい日は、午後2時頃には売り切れてしまう」とのこと。とほほ...残念(泣)、これは完全なリサーチ不足。気持ちを切り替え駅の立ち食いそば屋さんへ入ると、いきなり美味しそうな「ちくわ天」が目に入り、即「ちくわ天そば」に決定!北海道は「そば」の生産量全国一!その代表的な生産地の一つが、旭川市のある一日の寒暖差が大きい道北地方。いただきま~す!おっ!美味しいね~。え~い、気になるコロッケもいただきま~す!さすが「ポテト王国・北海道」これもいける!もう...お腹一杯(笑)。

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立ち食いそば屋さんの「ちくわ天そば」と「コロッケ」(旭川駅)

 満腹ランチ終了後は「特別快速きたみ」が入線する4番ホームへ迷わず向かう。
 午後2時45分、待ってました!「特別快速きたみ」。車両はいつものキハ54形気動車で、幸運にも今日は2両編成。座席に余裕があり、両側の席から思う存分車窓の風景を満喫することができる。これも嬉しい。隣のホームには宗谷本線・名寄行き「快速なよろ」が既に入線。快速列車のそろい踏みも、旭川駅ならではの光景ですね。

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「特別快速きたみ」(写真左側)と「快速なよろ」(旭川駅)

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「特別快速きたみ」のサボ(行先表示板) 

 「特別快速」は通常の快速列車より停車駅が少ない列車で、北海道内ではこの「きたみ」が唯一の存在。石北本線を走る「特急オホーツク」と遜色のないスピードで、北見駅までの長距離(約185km)を走る主力列車である。
 午後3時5分、いよいよ旅の始まり!「特別快速きたみ」発車!
 午後3時10分、宗谷本線との分岐点・新旭川駅を通過。向かいのホームには、旭川発札幌行きの「特急スーパーカムイ」が停車。現在、785系電車は「特急スーパーカムイ」に運用されていないので、今となれば懐かしいですね。

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懐かしい785系の「特急スーパーカムイ」(新旭川駅)
 新旭川駅を過ぎると石北本線は右へ大きくカーブ、北から東へ進路を変えた列車は一気に加速し、上川盆地を横切るように直線区間を快走。ローカル線お馴染みの「ガタン~ゴトン~」の列車走行音も、速いリズムになってきた。旭川の都市部を離れ、北海道らしい風景が広がってくる。窓を開け、爽やかな夏風に包まれながらのんびり車窓の風景を眺める「至福の時」。北国の真っ青な大空は、いつ見てもスカッとして気持ちがいい!

9.jpg真っ青な大空の下、東へ快走する「特別快速きたみ」(東旭川~北日の出)
 この地域(上川地方)は、お米の名産地。車窓からは実りの秋を感じる豊潤な彩りをつけ始めた稲穂が広がり、当麻町辺りからは遠くに大雪山の山々が見えてくる。大雪山は広範囲に広がる2,000m級の山群の総称で、大雪山国立公園は国内最大の山岳国立公園。向かって右側は北海道最高峰の旭岳(標高2,291m)、左側の山肌が見えるのが北海道で2番目の高さを誇る北鎮岳(標高2,244m)などの大雪山連峰。
 
10.jpg車窓の風景・実りの秋を感じる田園風景~遠くに望むは大雪山連峰(桜岡~~当麻)
 午後3時22分、軽快な走りの「特別快速きたみ」当麻駅到着。向かいのホームにはキハ40とキハ54の混合列車が停車。きっと通勤・通学客などのために旭川~当麻間を運行しているのでしょう。列車は旭川で買い物などを済ませた地元の人々を降ろし、すぐに発車。
11.jpg 「特別快速きたみ」当麻駅到着
 列車は田園風景が続く上川盆地を東へ快走してきたが、当麻駅から約5km先の伊香牛(いかうし)駅から愛別駅まで間(約5km)は、石北本線に近づいてきた日本の大河・石狩川と山裾との間を走る曲線区間が続くためスピードダウン。キハ54は加速・減速を繰り返し通り抜け、午後3時38分、中愛別駅を通過。
12.jpg「特別快速きたみ」中愛別駅通過

 中愛別駅を過ぎると列車は目の前の山を避けるように右へカーブ、まもなく心待ちにしていたスポットにやって来る。ピー!と大きな汽笛が鳴り響き林の中から抜け出すと、いきなり目の前に石狩川が現れた!うぁ~これは大きな流れだ!ここは上流だが、さすがに石狩川は迫力がある。ゴォーという鉄橋特有の大きな走行音と共に、列車は鉄橋(第5石狩川橋梁)を走り抜ける。この瞬間を逃さぬよう車窓からシャッターを切るが、マイナスイオンを感じる川の流れは実に清々しい!石狩川は大雪山系を水源とし日本海に流れ、その長さは268km(全国3位)、流域面積は全国2位を誇る日本を代表する大河。北海道遺産にも指定されている北海道の母なる川なんですよ。
13.jpg14.jpg「特別快速きたみ」日本の大河・石狩川を渡る!(中愛別~愛別)

 鉄道の鉄橋といえば、私は橋脚の上に橋桁を乗せた鉄赤色のガーター橋を想像するが、この橋はまさにそのイメージにピッタリ!青い空、山の緑と相まって色彩豊かな素晴らしい鉄橋の風景がここにある。午後3時40分「特別快速きたみ」が鉄橋を左から右へ通過!いつ見てもいいね~ローカル線の美しい風景は!わっ、眩しい!西日に反射したキハ54のステンレスボディの輝きが、川面にも反射!(※ちなみに現在の鉄橋の色は緑色です)
15.jpg16.jpg美しい鉄橋の風景!石狩川を渡る「特別快速きたみ」(中愛別~愛山)

 鉄橋の通過シーンをもう一つご紹介します。時刻は午後4時40分、列車の汽笛が聞こえるや否や、林の中から突如姿を現した網走発札幌行き「特急オホーツク6号」。轟音と共に鉄橋を右から左へ駆け抜けるが、お~近くで見ると凄い迫力!西日に映える鉄橋とのコラボレーションも実に素晴らしい!石狩川の流れを眺めながら、気長に待った甲斐がありました。ちなみに「特急オホーツ6号」とは午後4時10分頃、峠の上越信号場で行き違いとなるので、そこでの出会いも楽しみ。
17.jpg迫力十分!鉄橋を駆け抜ける「特急オホーツク6号」(中愛別~愛山)

さて、旅を続けましょう。列車は次の愛山駅手前から続く直線区間を快走、進行方向の正面に大雪山が迫ってきた!実はこの風景、客室の車窓からは見ることができない。しかもデッキから見やすいキハ54は石北本線では主力車両ではないので、運転士さんと地元の人以外にはあまり知られていないと思う。カメラ片手にデッキに出て写真を撮り始めると、数人の旅人がデッキにやって来た。皆さん「これはいいね~」と話し写真を撮っている。右側の山は旭岳、左側の山は北鎮岳などの大雪山連峰。「特別快速きたみ」に乗車の際は、是非、標高道内NO.1とNO.2の共演をお楽しみください。
18.jpg車窓の風景・大雪山が迫ってきた!(愛山~安足間(あんたろま))

 山々の総称が「大雪山」なので冬山の姿を見たいと思い、2017年3月、愛山駅付近から撮影した写真をご紹介します。雪に覆われた冬山は山の稜線がはっきりして、美しくも迫力あるその姿がよくわかる。まさにこれぞ「大雪山!」。峠を越えやって来たのは、ヘッドライトの輝きがとても目立つ網走発旭川行き「特急大雪4号」。2017年3月の列車ダイヤ改正で廃止となった「特急オホーツク6号」の後継者で、石北本線の名列車「大雪」が久しぶりに復活!ただ...1・4号車の運用車両はキハ183系気動車後期型車両で、これを機に人気のスラントノーズは主力から外れたよう...とっても残念。
19.jpg北海道の屋根「大雪山」と復活!「特急大雪」(愛山駅付近)

 季節を夏に戻し旅を続けます。列車は上川駅に到着。向かいの3番線には旭川行き普通列車が停車しているが、木の陰でその姿があまり見えない。それにしてもこれは驚き!
アスファルトのプラットホームのど真ん中に、このような立派な樹木がある駅が他にあるのだろうか?
20.jpgど真ん中に樹木がある珍しいプラットホーム(上川駅)

 上川町は大雪山国立公園の北の玄関。周辺にはホテル・旅館が建ち並ぶ層雲峡温泉や、断崖絶壁から流れ落ちる日本百名滝「流星・銀河の滝」、柱状節理の岩壁が屏風のように並ぶ「大函・小函」など観光地も豊富。上川駅前には大雪山の魅力を伝える大きな看板があるが、中でも目に留まるのが「大雪高原・旭ヶ丘」の看板。残雪の大雪山と黄色い花畑(キカラシ)の風景は本当に綺麗。上川駅から約9kmの所にある、今度行ってみよう。
21.jpg大雪山と黄色い花畑の風景(上川駅前の看板)

 午後3時49分、上川駅発車。いよいよここから北海道の鉄道では一番標高の高い石北の峠越えがスタート!次の停車駅は峠の遥か向こうにある白滝駅。その間、かつては駅だった3つの信号場(中越(なかこし)信号場・上越(かみこし)信号場・奥白滝信号場)、峠にある石北トンネル(長さ4,329m)、秘境駅として知られる上白滝駅を通過し、午後4時32分に白滝駅に到着。所要時間43分、その距離、何と37.3km。快速列車の次の停車駅がこんなに遠くにあるとは...、まさに広大な北海道を象徴する区間だ。
しかもパーミル25/1,000(1,000mで25m上る)の急な坂があり、S字カーブが続き、冬は1mを上回る積雪と最低気温が氷点下20度を下回る厳しい寒さとの戦いになる、列車泣かせの難所である。ちなみに上白滝駅が2016年3月に廃止となった現在、上川駅~白滝駅間は全国JR在来線の駅間最長区間!もっとこのことをPRしたらいいのにな~と思いますね。列車は上川町の市街地を過ぎ、上り坂に負けないよう加速。やがて進行方向右側に北鎮岳などの大雪山連峰が見えてきた。あれ?この山の姿、上川駅前の「大雪高原・旭ヶ丘」の看板にそっくり。きっと手前の山の向こうに「大雪高原・旭ヶ丘」があるのでしょう。
22.jpg車窓の風景・山の向こうに見える大雪山連峰(上川~中越信号場)

 列車は石狩川支流の留辺志部(るべしべ)川に沿って峠を目指す。勾配が少しづつきつくなりS字カーブも続くが、キハ54はスピードをあまり落とさず走り続けている。ステンレスボディの軽量設計で、エンジンもディーゼル特急(キハ183系)並みのキハ54。その底力を見せる十分な走りだ。留辺志部川が線路に迫ってきた。そして山の斜面も迫りもう限界、ここから立て続けに「覆道」が続くが、道内の鉄道でこのような内陸の区間は他にはない。現在の土木工事の技術ならトンネルと鉄橋で直線に結ぶと思うが、約90年前の技術ではおそらくこれが限界。ちなみにここは、2016年8月、北海道を襲った複数の台風による大雨で留辺志部川が氾濫し、一部の覆道の線路路盤が流出した区間。気象変動の激しい近年、これまでなかった災害が発生する中、鉄路を守るのは本当に大変なことと思う。
23.jpg歴史を感じる覆道が続く(上川~中越信号場)

 午後4時、かつて中越駅だった中越信号場を通過。駅舎の存在はその名残。上川~白滝間はかつて上下合わせて20本以上の列車が運行していたが、現在はおよそ14本。役割があまりないのか、とてもひっそりした感じだ。かつては今以上の線路が敷設され、峠手前の駅として重要な役割を果たしていたと思う。往時の賑わいを見たかったですね。
24.jpg「特別快速きたみ」中越信号場通過

 中越信号場を過ぎると、狭い険しい山間に所狭しと、石北本線、留辺志部川、旭川・紋別自動車道、国道273号線の4者が絡み合うように存在。石北の峠越えも、ここからいよいよクライマックスを迎える。「特別快速きたみ」は、山の斜面に沿った連続するS字カーブや斜面にへばり付くような切り通しと覆道を通り抜け、更に留辺志部川と国道273号線を跨ぐように架かる谷間の鉄橋を左から右へ渡り、峠の上越信号場を目指す。それにしても約90年前、どのようにこの鉄路を切り開いたのだろうか?ここが石北本線の全線開通が遅れた難工事区間であったことは、誰が見てもわかる。長く厳しい冬もある。先人の苦労を思い浮かべると、本当に頭が下がる思いだ。
25.jpg車窓の風景・列車泣かせの連続S字カーブ(中越信号場~上越信号場)
26.jpg斜面にへばり付くような切り通しと覆道(中越信号場~上越信号場)
27.jpg谷間に架かる鉄橋を渡る「特別快速きたみ」(中越信号場~上越信号場)

 午後4時10分、上越信号場に到着。特急列車待ち合わせのため3分停車。ここは峠の山間にある小さな信号場。かつての駅舎は古い木造建築で歴史をとても感じる。ところで...あっ!あった!駅中央にある白い縦書きの凄い看板「石狩北見国境標高六三四米上越駅」。一年振りの再会、よかった~撤去されてなくて!この看板は、ここがかつて標高634mにある上越駅だったことを告げているが、驚きなのは「国境」という言葉!「石狩国・北見国」は1869年、蝦夷(えぞ)地を北海道に改めた際、北海道を11に分けた時の地域(国)の名称で、ここが石狩国と北見国の「国境」にあたることを示しているが、150年経った今、このような表現を目や耳にすることはない。更にここを通過する列車からは、この看板に気づくこともない。まさに昔にタイムスリップしたお宝級の看板!帰りの普通列車(4626D)だけが唯一看板近くで停車するので、その時に必ず写真を撮ろう。チャンスは一度、うっかり忘れないように...。
28.jpg「特別快速きたみ」上越信号場到着

 午後4時12分、網走発旭川行き「特急オホーツク6号」が、まるで徐行運転のようなスピードでゆっくり近づいてきた。その姿を見ていると「白滝駅からここまで、急な坂を上り続けてきたので、やれやれ...という感じなのかな?」と、つい勝手に思ってしまう。30年以上走り続けているキハ183・0系気動車、社会人ならいわば永年勤続表彰を既に受けている功労者、一日も長く頑張って欲しい。
29.jpg上越信号場をゆっくり通過する「特急オホーツク6号」

 午後4時13分、上越信号場を発車するとすぐに1932年に開通した「石北トンネル」へ入る。いよいよ石狩国から北見国への峠越えだ。トンネルに入るとまもなく、車内に響いていたエンジン音が急に静かになった。「おや...?ここから坂を下り始めたのかな?ということは...ここが峠の頂上!」と妄想に耽り、何かを発見した自己満足に勝手に浸る。こんなことを考え乗っているのは、きっと私だけ(笑)。列車後方のデッキからトンネル内を眺めると、トンネル内に光を照らす左右の蛍光灯が次々と遠く去って行き、石狩国がどんどん遠のいていく。トンネル内にブレーキ音を響かせながら、列車はまだ遠いトンネルの出口を目指して行く。
30.jpgいよいよ石北の峠越え!石北トンネルへ(上越信号場~奥白滝信号場)

 約4分で石北トンネルを通り抜けた「特別快速きたみ」は、S字カーブが続く下り坂を慎重に下りていく。進行方向右側は切り通しの急斜面、左側には谷が見えてくる。エンジン音は静かで惰性走行とブレーキの繰り返し。勾配がきついことが、運転の様子からもわかる区間だ。
 午後4時23分、奥白滝信号場通過。線路を覆う樹木が西日に反射し逆光で思うように車窓の風景が撮れないまま、ここまで来てしまった...う~ん残念(泣)。そこでこの付近の上り坂を進む「特急オホーツク6号」をご紹介します。踏切付近から更に勾配がきつくなるので「特急オホーツク6号」は排気煙を屋根から一気に吹き出しパワーアップ!列車全体から響き渡る大きなエンジン音と共に石北の峠を目指して行く。ちなみに秋には、上り坂を走る札幌行き「特急オホーツク」の車輪と線路の間に落ち葉がはさまり、車輪が空転することがあるとのこと。これはまったく知らなかった。まさにこの区間の厳しさを象徴するエピソード。野生動物も出没する。本当に大変だ。
31.jpg石北の峠を目指す「特急オホーツク6号」(上越信号場~奥白滝信号場)
32.jpg「特急オホーツク6号」上り坂・左カーブの踏切を通過
33.jpgエンジン全開!屋根から煙吹き出す「特急オホーツク6号」

 さて、旅を続けましょう。列車は森の中を左右に曲がりながら、湧別川に架かる鉄橋を渡り、まもなく上白滝跨線橋を通り抜ける。おっ...1両編成の「特別快速きたみ」が森の中からひょっこり姿を現した。原生林とローカル線、うぁ~これはいい!これぞ北海道のローカル線!
34.jpg森の中から姿を現す「特別快速きたみ」(奥白滝信号場~上白滝)

 上白滝跨線橋を通り抜けると、北海道らしい色鮮やかな風景がいきなり広がる。青い空、白い雲、山の緑と小麦色のコントラスト!いや~いいね~列車がいなくても本当に素晴らしい鉄道の風景だ。鳥の囀りや虫たちの鳴き声を聞きながら、ここでたま~に来る列車をの~んびり待つのも、いいものですよ(笑)。この右カーブを過ぎると列車は山間区間をやっと抜け出し下り坂の直線区間で再び加速、まもなく上白滝駅を通過する。ちなみにこのスポットは、小麦畑刈り取り前の7月中旬~下旬がベストです。
35.jpg北海道らしい色鮮やかな夏の鉄道風景(奥白滝信号場~上白滝)

 午後4時29分、列車は上白滝駅を通過。上白滝駅は1日上下各1本しか列車が停車しない「秘境駅」として知られ、全国の鉄道マニアが立ち寄る駅。この日も数人の旅人が「特別快速きたみ」の通過シーンを撮影している。きっと大切な思い出になったことでしょう。上白滝駅を通過した列車は、下り坂の直線区間を快走し白滝駅を目指す。天気に恵まれ、とても楽しかった「特別快速きたみの旅」も、まもなく終焉を迎える。後ろ髪をひかれる思いだが、そろそろ降りる準備を始めよう(泣)。
36.jpg車窓の風景・直線区間を快走する「特別快速きたみ」(上白滝~白滝)

午後4時32分、白滝駅到着。厳しい峠越えにも関わらず、旭川からの85.9kmを1時間27分(平均速度60km)で走り抜けた「特別快速きたみ」の健脚ぶりは大したもの。峠への上り坂もさほど苦戦している様子がなく、実に快調な走りでした。白滝駅といえば時計塔のある駅舎が特徴。帰りの列車までは、あと30分。閑静な雰囲気に浸りながら、まずは一休み。目を少し休ませなくては...(笑)。
37.jpg「特別快速きたみ」時計塔のある白滝駅到着

白滝駅前に出ると、いきなり目に入る「白滝ジオサイトマップ」の大きな看板。「白滝ジオパーク」のパンフレットによると「旧石器時代(約2万5千~1万年前)、北海道に初めて人がやって来た頃、白滝はたくさんの人で賑わっていた。それは、ここに黒曜石という優れた刃物になる石が大量にあったから。彼らは1万年もの間、黒曜石で石器を作り狩りの旅に出かけていた。」とのこと。ここで作られた石器は日本各地のほか、遠くはシベリアでも発見されていると聞くので、当時は「巨大石器工場」がここにあったのでしょう。看板の現在地(赤色表示)の下に円形に示されているエリアがあるが、そこが白滝黒曜石の原産地(白滝駅北側の山中)。当時の様子は、白滝にある遠軽町埋蔵文化財センターへ行くと、とてもよくわかります。ちなみに私、白滝村がこの地を国指定史跡「白滝遺跡群」として国に申請した時、幸運にも少しですがその仕事に関わりました。北海道でもあまり知られていないスケールの大きい史実!是非、多くの人に知ってもらいたいですね。
38.jpg「白滝ジオサイトマップ」の大きな看板(白滝駅前)
39.jpg遠軽町埋蔵文化財センター(遠軽町白滝支所に併設)

午後4時32分、白滝駅を発車した「特別快速きたみ」は、遠軽発旭川行き普通列車(4626D)との行き違いのため、午後4時42分下白滝駅(2016年3月に信号場へ変更)に停車。乗客が多い日は2両編成のようです。
40.jpg列車行き違いのため下白滝駅に停車する「特別快速きたみ」

午後4時46分、旭川行き普通列車が下白滝駅到着。共に2両編成のキハ54とキハ40のツーショット。これは珍しい、貴重な光景ですね。
41.jpgキハ54とキハ40のツーショット(下白滝駅)

 午後5時2分、旭川行き普通列車が白滝駅到着。いや~懐かしいな~4626D!普通・快速列車で2日間1,000kmを巡った、昨年の修行のような旅をつい思い出す(笑)。あれ?乗車してビックリ!車内は「鉄」の旅人で結構混んでいる。1年前の閑散とした車内とはまったく違う光景だ。おそらく石北本線の下白滝駅・旧白滝駅・上白滝駅が、2016年3月に廃止になることが報道された影響なのかもしれない。これは予想外の展開だが、北海道のローカル線を旅する人が増えたことは嬉しいこと。高校生などが数人降り、私一人を乗せて、午後5時2分、白滝駅発車!
42.jpg嬉しい再会!旭川行き普通列車(4626D)(白滝駅)

 白滝駅から石北トンネルまでは延々上り坂が続くが、キハ40はキハ54に比べ車体が重く馬力が小さいため、エンジンを思い切り唸らせても、なかなか思うように加速していかない。この車両もかなりのベテラン。もはや他人事ではない。まるで自分を見ているようだ(泣)。
 午後5時8分、上白滝駅到着。数人の旅人が乗ると、列車はすぐに発車!先ほどプラットホームにいた旅人の皆さんは乗ったのかな~?何しろこの4626Dに乗り遅れたら大変!次の旭川行きの列車は翌日の4626Dなので...。
43.jpg4626D「秘境駅」上白滝駅を発車

 車内には大きなエンジン音が響き渡るが、それとは裏腹にスピードは時速30km程度。 本当に大変そう...。この状態が石北の峠越えまで続くのかと思うと、少し心配になってきた。まさに今時珍しい正真正銘の「鈍行列車」...頑張れキハ40!!
 午後5時20分、奥白滝信号場通過。ここは白滝駅から8.3kmの地点だが、ここまでの平均時速は何と28km!まるで自転車のようなスピード。でも遅い分、車窓の風景を十分楽しむことができる。急ぐ旅ではない、のんびり行こう! 4626Dは夕暮れの中を、ゆっくりゆっくりこちらに迫ってきた。

44.jpg4626D・奥白滝信号場通過

45.jpg上り坂をゆっくり進む4626D(奥白滝信号場~上越信号場)
 4626Dは持っている力を最大限使い、連続するS字カーブを上り続けている。頑張れ!もう少しで石北トンネルだ!

46.jpg勾配のきついS字カーブをゆっくり進む4626D(奥白滝信号場~上越信号場)
午後5時38分、4626Dはその後も奮闘を続け、何とか峠の上越信号場に到着。特急列車待ち合わせのため15分停車。キハ40に一言「ここまで本当にお疲れ様」。何事も高速化の時代に逆行するようなゆっくりした走り、しかし懸命に走るその姿には、何か感じるものがある。歩みは遅くても諦めないで前に走り続ければ、必ずゴールにたどり着くことを、あらためて教えてもらった気がした。ありがとう。やっぱりいいな~ローカル線は!あっ、いけない!例のお宝看板を記念撮影しなくては!
47.jpg上越信号場のお宝看板!
車内には低いエンジン音だけが響き、ゆったりと時が流れている。なんか...眠ってしまいそう...ZZZ...やばい、寝てはいかん!まもなく待望の特急列車がやって来るはず。
午後5時50分、睡魔と闘いながら待つこと12分...札幌発網走行き「特急オホーツク5号」がやって来た。おっ!何と、スラントノーズのフル編成!ここでまた会えるとは、今日は実に運がいい。きっと旭川駅で出会った「特急オホーツク4号」の折り返し運転なのでしょう。私にとってはとても貴重な上越信号場での一コマ!うたた寝しなくてよかった(笑)。
48.jpgスラントノーズ・フル編成の「特急オホーツク5号」がやって来た!(上越信号場)
 午後5時53分、束の間の休息を終えた4626Dは上越信号場を発車し峠を下りていく...が、その走りは上り坂とはまったく別人で、実に軽快!まるで新春箱根駅伝の「5区・山登り」と「6区・山下り」のランナーの違いようで、何と人間味のある列車なのだろう。

49.jpg別人のように軽快に峠を下りる4626D(上越信号場~中越信号場)
 午後6時16分、上川駅到着。日没後は夕暮れが一気に進み、残念ながら車窓の風景の楽しみはここで終了(泣)、でも十分満足です!ちなみにその後は、午後6時53分上川駅発車、午後8時5分旭川駅到着。旭川駅前で「名物・旭川ラーメン」を堪能し、旭川駅午後9時1分発の網走発札幌行き「特急オホーツク8号」に乗車、そして午後10時38分札幌駅到着。天気に恵まれ、とても楽しく、たっぷり「鉄」分補給できました(笑)。
 石北本線・旭川駅~白滝駅間は、山あり、川あり、峠あり、在来線では日本で一番長い駅間区間があり、そしてキハ40の奮闘ぶりなど、魅力一杯の「穴場」区間と思います。列車ダイヤ改正のため、現在は「特別快速きたみ」と特急列車との列車交換が上越信号場から伊香牛駅に変わったと思いますが、ほぼ同様の旅は可能と思いますので、日の長い夏にお楽しみください。
 なお、キハ183-0系気動車(スラントノーズ)は、2018年3月に引退発表がありました。自然環境厳しい北海道の鉄道を、30年以上支え続けてきたその姿が見られなくなるのは、時代の移り変わりといえ本当に残念なことです。その引退発表に合わせて、JR北海道さんがスラントノーズと縁のある全道17駅で「キハ183-0系記念入場券」を2018年10月まで発売、その中で石北本線の終点・網走駅の記念入場券をご紹介します。通称「白坊主(キハ183-104)」と「スラントノーズ」の貴重なツーショット(「安足間駅」と思います)これは最高ですね!長い間お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

50.jpgこれは貴重なツーショット!キハ183-0系記念入場券(網走駅)

(文・写真)平瀬 一弘

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コメント

この路線に乗ったことはないのですが、学生時代に旭川、愛別、北見付近に何度も部活の遠征でお世話になっていて、車で移動するときに列車と並走したり、橋を渡る列車を眺めたりするのがとても好きでした。

あの頃の思い出がよみがえるほどのブログの臨場感。加えてキハ40のエンジン音と底から響く震動すら思い出しました✨いろいろなつかしい!

別の駅で出会った折り返し列車とすれ違うときは、私も思わず「お疲れさま」という気持ちになります(^^)

メッセージありがとうございます。ちーぼうさんのお話のとおり、石北本線は国道と隣接する区間が多く、私も故郷へ車で帰る時などは、好んでこのルートを通り、お気に入りの場所で車を止めてはローカル線の風景を写真に撮っています。列車と並走したり、橋を渡る列車の風景・・とってもいいですよね!私も大好きです。石北本線の情景が思い浮かぶ臨場感を表現できたとしたら、とても嬉しいことです。キハ40の奮闘ぶりも、いつかお楽しみください!ありがとうございました。

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