北海道ぐるっとローカル線の旅 留萌本線後編(留萌駅→増毛駅→深川駅→増毛駅...)

2016年12月07日

留萌本線の旅日記・後編です。それでは旅を続けましょう。

 深川発増毛(ましけ)行き普通列車(4925D)は留萌駅で13分停車、3両目は留萌駅で切り離し2両編成で増毛駅に向かいます。3両編成のキハ54形気動車はあまり見る機会がないので留萌駅でも写真を撮りましたが、やはりステンレスボディはすっきりした格好良さを感じます。

 留萌駅を出発すると、列車は遠くに見える住宅街を左にカーブしながら進み、やがて進行方向の右側に日本海が広がります。美しい真っ青な日本海、早く見たいですね!

1.jpg2.jpg3.jpg留萌駅に停車中の4925D

 留萌~増毛間の駅をご紹介しましょう。
 これは留萌駅に掲示されていた紹介版で、次の瀬越(せごし)駅から終点・増毛駅までの各駅の風景・歴史・特色などが紹介されています。北海道のローカル線では珍しい駅間距離の短さ(16.7キロメートルに9駅が存在)や、いずれの駅も小さく(増毛駅を除く)、いわゆる「乗降場」の作りであることもわかります。とてもありがたいですね。

4のコピー.jpg増毛駅までの各駅の紹介版(留萌駅)

 午後0時17分 留萌駅発車!
 留萌駅からは本年12月4日をもって廃止となる区間です。「天気に恵まれた夏の車窓の風景は、もう2度と見れない!」と思ってましたので、写真だけでなく、できるだけ記憶にも残そうと思ってました。

5.jpg

留萌駅発車  

 列車はゆっくり前進。ちなみに留萌~増毛間は所要時間は30分、平均時速にすると何と約32キロメートル。駅が多いこともありますが、列車はのんびり進みます。

 鉄橋を渡り住宅街の間を掘った左カーブの上り坂の切通しを抜けると...、うぁ~見えてきました真っ青な日本海!いや~綺麗ですね~!これぞ留萌本線自慢の車窓の風景!車内の鉄道ファンも、皆さん進行方向右側の風景に釘づけ。天気に恵まれ、本当に来てよかったです。

6.jpg 車窓の風景・待ってました日本海!(留萌~瀬越)

 午後0時21分 瀬越駅到着。
 駅前には真っ青な日本海が広がります。間違いなく夕陽の絶景ポイントですね。この日は留萌~増毛間を1日2往復し、車窓から美しい夕陽の眺めも楽しもうと思ってましたので、とてもワクワクしてました。ここで臨時停車してくれれば、海辺まで行けるのにな~。

7.jpg瀬越駅

 瀬越駅を過ぎると「ゴールデンビーチるもい」が見えてきました。盛夏には、たくさんの人がここを訪れると思います。私も学生時代、JR(当時は国鉄)を利用して留萌市近郊の羽幌線・臼谷駅で下車し、海水浴を楽しんだことがありますが、たくさんの海水浴客で凄い賑わいでした。
 テントが見えますね。前日も天気が良かったので、きっと楽しい週末になったことでしょう。8.jpg

車窓の風景・ゴールデンビーチるもい(瀬越~礼受)
 
 留萌本線はこの付近で国道と立体交差し、国道越しに日本海を見ることになります。風の強い地域なので風力発電の風車も複数ありました。 
 阿分(あふん)駅を過ぎると海岸線に沿って国道は右にカーブしますが、列車はトンネルを抜け直進するので、ここで暫し日本海とお別れです。残念ですが、この地形では仕方ないですね。

9.jpg10.jpg車窓の風景・阿分~信砂間の日本海

 次の信砂(のぶしゃ)駅の手前で信砂川を渡ります。大きな川ではありませんが、留萌~増毛間では最も大きい川です。濁りがなく清らかな流れですね。大雨の影響がないのでしょうか?少し不思議です。

11.jpg車窓の風景・信砂川(阿分~信砂)

 午後0時33分 信砂駅到着
 留萌~増毛間の駅には読みずらい駅名がありますが、信砂(のぶしゃ)駅、次の舎熊(しゃぐま)駅はその代表格。特に舎熊駅は、まるで熊がいそうな北海道らしい駅名です。駅名の由来はアイヌ語の地名ですが、「しゃぐま」は「魚を干す竿」という意味なので、漢字から想像するイメージと駅名の由来がまったく異なる珍しい駅ですね。

12.jpg信砂駅 

 午後0時38分、列車は朱文別(しゅもんべつ)駅を発車、再び海岸線を走り進行方向の右側に日本海が広がってきます。遠くに薄ら見えるは留萌の街です。

13.jpg車窓の風景・朱文別~箸別間の日本海

 午後0時41分 箸別(はしべつ)駅到着。
 箸別駅は上り坂のカーブの途中にある小さな駅で、何となく運転士泣かせの駅のような感じがします。ちなみに留萌~増毛間の駅は市街地のどこにあるのかわかりずらい駅が多いのですが、箸別駅も国道からはわかりずらい所にあります。ちなみに舎熊駅はわかりませんでした。(苦笑)これも北海道では珍しいと思いますね。 

14.jpg 箸別駅
  

 午後0時41分 箸別駅発車!
 列車はゆっくり前進。高馬力のキハ54形気動車でも加速に苦労している感じです。

 列車は国道の跨線橋にゆっくり向かいますが、実はこの跨線橋、絶好の撮影ポイントとして鉄道マニアに知られており、この日もたくさんの人が撮影してました。

 私も別な日にこの跨線橋で写真を撮りましたが、日本海を背景にした列車の撮影が可能な数少ないポイントで、しかも列車の通過速度が遅いので何枚もじっくり写真が撮れます。これが人気の理由なんですね。動画を撮影している地元の人もおり、皆さんそれぞれの思いを抱きながらカメラに記憶にこの風景を納めているのだと思いました。15.jpg16.jpg箸別の跨線橋から留萌方面の眺め(箸別~増毛)

 列車は、終点・増毛駅に向かいます。
 箸別の跨線橋を過ぎると、進行方向の右側に再び日本海が広がります。海岸線が湾の形をしていて(増毛湾)、湾岸に沿って列車はゆっくり進みます。列車の速度が更に落ちてきました。時速25キロメートル、まさに徐行運転!このあたりは進行方向の左側が崖で、雪崩や土砂崩れの影響で長らく不通になった区間と思います。
 増毛港が見えてきました。何とここにはヨットハーバー(ノーマルマリーナましけ)があるのですね。驚きました。

17.jpg車窓の風景・ノールマリーナましけ(箸別~増毛)

 午後0時47分 増毛駅到着
 深川駅を出発して約1時間40分経過しましたが、あっという間に過ぎてしまいました。天気に恵まれ、素晴らしい車窓の風景をプレゼントしてもらった気がします。これも秩父別開基百年記念塔で鐘を鳴らしたご褒美かもしれません。(笑)
 窓を開け、扇風機を回し、爽やかな夏風を浴びて、素晴らしい車窓の風景を堪能する! 北海道ローカル線の夏の旅、最高ですね!

18.jpg増毛駅(終点を告げる行先表示板)

 
 増毛駅に降りると、駅にもプラットホームにもたくさん人がいて、皆さん我先にと写真を撮っていました。私も駅舎の写真を撮ろうと思ってましたが、深川行き普通列車の発車時刻は10分後の午後0時57分。JRの職員さんがハンドスピーカーで「間もなく深川行き普通列車は乗車できます」と案内してましたので、駅舎の撮影は諦め海側の座席の確保を優先することとしました。
 増毛町は歴史的な建造物など魅力的な街なので、もう少しゆっくりしたかったのですが、この日は「乗り鉄」に徹しました。(泣)

19.jpg慌ただしい様子の増毛駅プラットホーム

 あらためて増毛駅を訪ねました。とても閑静な雰囲気で、プラットホームには到着した列車が静かに停車しており、駅舎も歴史を感じる増毛の風情にぴったりです。20.jpg21.jpg普段の閑静な雰囲気の増毛駅

 さて、話を旅に戻しましょう。深川行き普通列車に多くの人が乗り込みましたが、あっという間に海側の席が埋まりました。皆さん考えていることは同じ、作戦成功です。

22.jpg深川行き普通列車まもなく発車(増毛駅)

 午後0時57分 増毛駅発車! 
 列車は留萌に向けてゆっくり進み、進行方向の左側に増毛湾が見えてきます。

 「同じ風景を続けて2度見て飽きないかい?」と思う人もいると思いますが、進行方向が異なると意外と風景の見え方が変わりますし、あらためて気づくこともありますので 理解が深まり記憶に残ります。

 でも...眠たくなることもありますよ。ガタン・ゴトン・ガタン・ゴトンを聞きながら「うとうと」眠るのは結構気持ちがいいので。時々爆睡してしまい、楽しみにしていた車窓の風景を見逃し、何をしに来ているかわからない時もありますが...。(笑)
 
 午後1時15分 阿分(あふん)駅到着
 車窓の風景を見ているうちに、いつの間にか「うとうと」していたら、鳴りやまない踏切の警報機音で起こされ、外を見るとそこは阿分駅。写真のとおり阿分駅はプラットホームが短く列車の半分もありません。もしかしたら北海道で一番短いのかもしれません。ただ前乗り前降りのワンマン列車しか停車しないので、特段問題もないようです。私の目の前にあった警報機が目覚まし時計となった貴重な経験でした。校舎の裏側に隠れるようにある駅で、私にとってはとても印象に残る駅となりましたね。

23.jpg阿分駅 

 午後1時23分 瀬越駅到着
 瀬越駅からの日本海の眺めは、何度見ても綺麗ですね!よく見ると列車に向かって手を振る大人がいます。どうやらお子さんがこの列車に乗っていて、手を振り合っているようです。心が温かく優しくなる瞬間で、ローカル線の魅力を再発見しました!
 ちなみに私も友好の気持ちを込めてすぐに手を振りましたが、その必要はなかったようです。(笑)

24.jpg車窓の風景・瀬越駅

 瀬越駅がすっかり好きになりました。日本海を背景に列車が瀬越駅に到着する風景を秋に撮影した写真をご紹介します。海岸線に沿って車道と歩道が整備されていて浜辺で佇んでいると、海を眺めている人、ランニングをする人、犬を連れて散歩する人、ギターを弾いて熱唱している人...いろんな人に出会いました。皆さんにとって素晴らしい故郷であり、憩いの場所なんだな~と思います。羨ましいですね。

25.jpg瀬越駅からの風景

 列車は午後1時27分留萌駅に到着し午後1時30分に発車。留萌駅までのスローペースとは異なり、およそ時速80キロメートルにぐんぐん加速し深川駅を目指します。
 午後1時54分、まもなく峠下駅に到着。遠くに増毛行き普通列車が見えます。
 本日最初の上下線列車の行き違い。キハ54形気動車2両編成同士の列車行き違いは、現在の北海道内のローカル線ではあまり見る機会がないかもしれません。私にとっては 貴重な写真となりました。 

26.jpg27.jpg28.jpg29.jpg30.jpg峠下駅・列車行き違い

 午後2時8分 真布(まっぷ)駅到着
 列車は恵比島峠を越え石狩平野に入り、「駅名をローマ字(MAP=地図)にしたら外国人にわかりやすい駅」真布駅に到着。小さな駅ですが、その割には駅舎が大きく妙に目立ちます。駅舎内には通学に使用する自転車が保管されていて、それでこの大きさなのか、また屋根の角度がかなりあるのは積雪対策なのか...。駅舎もプラットホームも全て木造の真布駅、とても手づくり感のある駅ですね。

31.jpg32.jpg真布駅

 午後2時27分、まもなく終点・深川駅、函館本線と合流です。

33.jpgまもなく深川駅

 午後2時28分 深川駅到着
 この日のミッション(深川~増毛間の2往復)の1往復目が終了。流石に少し疲れました、やれやれです。2両編成のキハ54形急行用車両もここで見納め、午後2時35分頃、列車は旭川方面へ移動していきました。深川駅の車庫で一休みかな?お疲れ様。 


34.jpg35.jpg深川駅

 私も深川駅前のラーメン屋で遅い昼食を取り一休み。本日のもう一つのお目当てである留萌~増毛間の美しい日本海の夕陽に出会うため2往復目に備えます。ただ、増毛行き普通列車は1両編成、さらに始発が旭川駅なので、海側の席が確保できるか一抹の不安はありました。それからもう一つ、天気予報によると留萌地方は夕方から曇りとのこと...夕陽は見えるかな~?でも行くしかないですね。

 午後3時44分、旭川発増毛行き普通列車が深川駅4番ホームに到着。とりあえず海側の座席確保には成功!あとは天気...祈るだけです。折角なのでこの列車も撮影。
 ところが車両をよく見ると...え~!何と驚き...というか不思議...先ほどまで乗車していたキハ54・529ではありませんか。終点・深川駅で一休みしていると思っていたのに...? 
 キハ54・529とキハ54・528は、深川駅で一休みすることなく、そのまま旭川駅まで回送列車として運行していたんですね。そして旭川駅で列車を切り離し、キハ54・529だけが折り返し運転で増毛行き普通列車となった。確かに時間的にはぎりぎり可能で、いや~やられた~!という感じでした。私にとっては、まるで作家・西村京太郎さんの世界のようです。(笑)


36.jpg旭川発増毛行き普通列車(深川駅)

 午後4時9分 深川駅発車!
 この日2度目の深川~増毛間の往復です。さぁ~気合い入れていくぞ~!
 留萌地方の日没時間は午後6時10分頃、留萌~増毛~留萌間の乗車時間は、午後5時8分~午後6時17分、天気さえ良ければ車窓から日本海の夕陽を楽しめるはず。あとは天気次第か...。

 午後5時7分 留萌駅到着
 駅改札口に夕陽の看板を発見!夕陽を見れなかったら数の子を買って帰ろう。(笑)


37のコピー.jpg留萌駅1番ホーム

 午後5時12分 瀬越駅到着
 よく見ると浜辺に座り佇む人の姿があります。やはり瀬越の海岸線は人を引き付けるんですね。ただ、水平線上には帯状の厚い雲が...、夕陽は無理かな~?


 38.jpg車窓の風景・瀬越駅からの眺め

 結局、この日は天気予報が見事に当たってしまい、太陽はその後分厚い雲の中にすっぽり。美しい夕陽には出会えず本当に残念...疲れがどっと出ました。(泣)
 ただ日中の車窓の風景だけで十分満足していたので、夕陽は近いうちにまたチャレンジすることとしました。楽しみは取っておきましょう。 
 
 ということで、後日あらためて撮影した夕陽の写真をご紹介します。 
 まずは、箸別駅付近の国道の跨線橋から撮影した夕陽の写真です。
 跨線橋のすぐ下は留萌本線が走っているので、同じような風景が車窓からも楽しめると思います。増毛湾越しの夕陽、本当に綺麗です!夕陽が沈んでくると増毛の街も見えてきます。

39.jpg40.jpg箸別の跨線橋から望む増毛湾に沈む夕陽(増毛~箸別)

 夕陽が完全に沈むと空と海の青さが増し、増毛の街の灯りも見えてきます。本当に幻想的な風景でした。増毛発深川行き普通列車が、増毛湾の向こう側から湾岸沿いにやってきました。まるで朝焼けの中を走る早朝の一番列車のような雰囲気でしたね。

41.jpg 増毛湾沿いにゆっくり走る深川行き普通列車(増毛~箸別)

 次に、瀬越駅。写真は、夕陽が沈んだ後の駅の風景です。

42.jpg夕焼けの瀬越駅

 時間の経過とともに夕焼けが進み、空全体が水平線の向こうから赤く照らされている感じがします。駅のプラットホームや浜辺には夕陽を眺めている人がいました。やっぱり綺麗な夕焼けは人々の心を引き付けます。もっと素敵な夕焼けの日はあると思いますが、波の音を聴きながらこの風景に包まれただけで私には十分でした。来てよかったです。

43.jpg綺麗な夕焼け(瀬越駅)44.jpg 綺麗な夕焼け(瀬越駅前の浜辺)

 夕陽が完全に落ちて時間が経過すると空も海も青さが増します。そんな中を列車が去って行きました。留萌~増毛間の海の風景はとても魅力があります。しかし、そのような車窓の風景に出会えるのも本年12月4日まで。残念ながら鉄路はなくなりますが、素敵な記憶は多くの人の心に残ると思います。もちろん私もその一人です。 

45.jpg夕暮れの瀬越駅

 最後に「留萌本線・記念硬券入場券セット」をご紹介します。硬券入場券、懐かしいな~。車社会が到来する前は、人々の移動手段の中心は汽車でしたので、多くの人が駅のプラットホームで家族、友人、そして旅人を見送ったと思いますし、その時手にしていたのがこの硬券入場券。留萌本線のドラマと歴史を感じますね。

46のコピー.jpg47のコピー.jpg48のコピー.jpg
留萌本線・記念硬券入場券セット

 留萌本線・留萌~増毛間(16.7キロメートル)は、留萌線が全線開通した1921年(大正10年)11月5日に営業を開始し、2016年(平成28年)12月4日をもって廃止、およそ95年の歴史に幕を閉じます。

 とても残念なことですが、歴史的な役割りは十分果たしたのだと考えます。長い間、ありがとうございました。

 また機会があれば瀬越駅前の海岸に行き、鉄道のある風景に思いを寄せながら、あの素敵な夕焼けに出会いたいと思います。

(文・写真)平瀬 一弘

トラックバック

トラックバックURL: http://blog.hokkaido-np.co.jp/mt/mt-tb.cgi/7342

コメント

いつも鉄道愛にあふれたブログを拝見しております♪。特に感心するのは何気ないようで「どう撮ったの?」と、通り一片の車窓からの撮影に留まらず、何度も途中下車をしながら画像でも読者に伝えようとする、ご苦労が偲ばれる写真の数々♪
北海道は採算が取れない路線が多いのでしょうが、廃線となると寂しいものですね。夕日・夕焼けの写真が郷愁をさそいます。

メッセージありがとうございます。鉄道愛・・いい言葉ですね。
私は、単線・非電化の鉄道風景が好きです。北海道の自然豊かな風景とのマッチングは最高です。私の鉄道旅日記が故郷北海道を思う気持ちや郷愁を誘うのであれば、とても嬉しいことと思っております。またぶらりとローカル線に乗り、「鉄」分を補給してきます。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

(公開されません)

(HTMLタグ(b,i,br/,p,strong,em,ul,ol,li,blockquote,pre)が使えます)