北海道新幹線開業日 列島縦断 一日で函館から熊本へ

2016年03月27日

 もう30年以上前の学生時代、夏休みの帰省の際に国鉄の急行だけで日本列島を縦断した記憶がある。札幌から「すずらん」で函館まで。青函連絡船で青森に渡り、青森から日本海沿いに「きたぐに」で大阪へ。大阪から熊本までは「ひのくに」だった。

 別に鉄道ファンだった訳ではないが、安く済ませようとしたのだ。しかし、夜行の急行の硬いいすで3晩を過ごすというのは、さすがに辛かった。故郷は熊本県本渡市(現・天草市)なので、プラスでバスの2時間半も必要だった。夏が終わって札幌に帰る際は、「きたぐに」「すずらん」ではなく舞鶴港〜小樽港の新日本海フェリーにしたものだ。長時間に変わりはないが、船内を歩き回れる。夜はトラック運転手向けにカラオケ大会が開かれていた。

 さて、3月26日に北海道新幹線が開業し、その新函館北斗駅発のチケットが偶然にも手に入った。青春は随分遠く離れてしまったが、もう一度鉄路で熊本を目指そうか。東京駅から先の新幹線切符を入手して25日夜、函館入りした。

P1000106.jpg函館駅、3月26日午前5時40分。女子高生が記念のセルフィーを撮っていた

IMG_0829.jpg函館駅からの函館ライナー第1便が出発。大混雑で乗れなかったので次の便で新函館北斗駅へ

 JR新函館北斗駅を午前6時35分に出発した北海道新幹線の一番列車「はやぶさ10号」は30分後には青函トンネルの深部へと走行していた。車窓を見ると、白く曇っている。青函トンネル内は湿度が高く、窓が曇ってしまう。事前に聞かされていたのだが、見てみるとなるほどと思う。ただ、最深部の吉岡海底駅を通過した当たりから、曇りは消えてしまっった。なぜだろう。

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車窓から見えた函館山。「函館山を横に見ながら、北海道新幹線は北の大地を疾走しています」とアナウンスが流れた

 

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新幹線は青函トンネルへ入っていった

 「北海道新幹線は、いよいよ海峡を渡りきろうとしています」。そう車掌が案内した直後、車窓が急に明るくなり、青森の風景が飛び込んできた。「わーっ」と車内から一斉に拍手が起きた。車掌は努めて冷静な口調で続けた。「ついに、はやぶさ10号は本州に上陸しました」。JRのアナウンスは、事務的な印象が強いが、この日の車内では、津軽海峡での洞爺丸台風にほる悲劇にさかのぼり、トンネル建設、そして新幹線延伸の歴史を解説したり、大サービス。歴史的瞬間を伝えたいとの思いが伝わってきた。

津軽いまべつ駅2.jpg奥津軽いまべつ駅では歓迎の旗が振られていた(動画から切り出し)

 間もなく、奥津軽いまべつ駅に到着。ホームを大勢の地元の人が旗を振って歓迎してくれる。何か熱いものを感じてきた。

 さらに、いくつかの短いトンネルを抜けると、車窓の向こうには青函海峡が広がっている。つい先ほど、焦燥から函館山を遠望していた。その向こうにあった海を今は反対側から見ているのだ。やはり新幹線は速いと実感した。

青森の車窓.jpg青森県の車窓の風景。遠くに海も見える


 午前7時41分には新青森駅着。直前にJR北海道の車掌が「まもなく新青森。乗務員はこの駅で交替します」と告げ、この先の旅の安全を祈るとのアナウンスをしていた。

 JR北海道の管轄はここまで。新函館北斗駅から高揚した気分で乗り込み、チケットの入手法など情報を交換し合っていた鉄道ファンや、乗客にインタビューしていた取材陣の相当部分は下りてしまった。乗り込んできた人たちは、生活の一部としてを利用する人たち。何か浮き浮きした車内の空気が一変して、普通の生活空間に戻ったよう。車掌も「東北新幹線はやぶさ10号です」ときわめて事務的に北海道新幹線の旅が終わったことを伝えていた。

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大宮駅では、カメラマンらの姿が目立った

 その後は、福島駅では旗の波で新幹線通過を歓迎されたり、大宮駅では鉄道ファンが大勢カメラを持って待っていたりしていた。はやぶさ10号は定刻の午前11時4分に東京駅到着。再び大きな拍手が車内で起きた。20番線ホームは、写真撮影のファンらで新函館北斗駅以上の大混雑だった。

原田.jpg「函館・道南鉄道ものがたり」の筆者・原田伸一さん(中央)が精力的に取材を続けていた

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東京駅のホームはアマチュアカメラマンで大混雑

 

鉄路の旅は後半の延長戦に

 20番ホームの喧噪を抜け出して昼食の後、午後1時10分、のぞみ35号で博多へ出発する。さすがに、いすが硬く感じてきていた。

 車窓の景色には新鮮みが薄い。ただ、北海道・東北新幹線に続けて乗っていると、東海道は平たんでトンネルが少なく、ひたすらマチが続いていると、当たり前のことを改めて感じてしまう。携帯の電波も途切れないので、タブレットでのニュースのチェックも楽だ。こちらの方が日本標準なのだが。

東京駅出発.jpg お約束の富士山は、上半分は雲に隠れて見えない。静岡、名古屋、琵琶湖がちらりと見えたかと思うと京都。うとうとしていると、新大阪、新神戸が通り過ぎていった。岡山県に入って気づいたのは、山のサクラが満開に見えること。京都、滋賀では気づかなかった。この当たりをサクラ満開の前線が通過中なのだろうか。

京都.jpg京都を通過。向こうに見えるのは大文字山だろうか

 夕暮れが近づくころ、新関門トンネルを抜け小倉に到着。このトンネルは18,713メートルあるそうだから、青函の3分の1くらいあり、通過に結構時間がかかる。

北九州.jpg北九州の工業地帯の風景は、やはり室蘭に似ている

福岡到着.jpgJR九州は観光列車が豊富。明日は、そのうちの一つに乗車する

 さて、午後6時11分、のぞみはやっと福岡へ到着した。函館を出て約12時間。列島縦断はほぼ成功したと言えそうだ。普段はここの駅では、博多ラーメンを食べるところなのだが、きょうは三つ目の新幹線の発車時刻が迫っている。ネット予約のチケットを発券して、次のホームに向かった。

福岡出発.jpg熊本到着.jpg 午後7時14分、さくら565号で熊本駅に到着。出迎えてくれたのは、いつものくまモン。特に感慨はなかったが、ホテルのベッドに入っても、通り過ぎた街の風景が頭をぐるぐる回っているようで、なかなか寝付けなかった。(電子メディア局・高田純一)

本当の番外編

 さて、翌27日は鉄路での最終目的地・三角駅へ。このA列車の旅は、以前にも書いたので、こちらをお読みください。

 ここでは、写真を4枚だけ紹介します。

三角へ.jpg三角車中.jpg三角到着.jpg

鉄路の最終目的地・三角駅

三角番外.jpgここまでくまモンかと驚かされた小型船

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