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小さなギャラリーの丸木俊生誕100年記念展

2012年12月06日

 「原爆の図」で知られる北海道出身の画家、丸木俊さん。今年が生誕100年だったことをご存じでしょうか。つい最近知り合った画廊の経営者の方から「記念展を企画しました。よろしかったらおいでください」と誘われ、行ってきました。

 丸木俊さんは空知管内秩父別町生まれで、絵を学ぶために家族の反対を押し切って上京。苦労しながら女子美術専門学校(現女子美大)に通い、千葉県の尋常小学校での代用教員を経て日本大使館員の子供の家庭教師としてモスクワに、その後、ミクロネシア群島に滞在、創作の幅を広げました。夫の日本画家・丸木位里さんが広島出身だったことから現地で被爆者の救援に当たり、その体験を基に夫婦共同で代表作の「原爆の図」を描きました。その後も創作を通じて戦争や原爆、原発への反対運動に懸命に取り組み、2000年に87歳で亡くなっています。

 誘ってくれたのは、札幌市西区二十四軒4の3に昨秋、ギャラリー「北のモンパルナス」を開いた清水真知子さん(64)。ギャラリーの名前は、大正の終わりから戦後にかけて、東京都豊島区のJR池袋駅から西側一帯に木造の古めかしいアトリエが並び、多くの若い画家が集まった「池袋モンパルナス」にちなんだ名前だそうです。実は、俊さんもその池袋モンパルナスの中で活動した画家の1人なのだそうです。
 こちらがその清水さんです。

 清水さんは、東京で会社勤めをしていてこの池袋モンパルナスを知り、軍靴が響く暗い時代に芸術に情熱を傾けた画家たちに魅せられました。そして、作品を少しずつ買い集め、40年ぶりに札幌に戻った後、「自由のない時代に池袋モンパルナスに集った若者たちが情熱を傾けて描いた絵を多くの人に見てほしい」とギャラリーを開設したそうです。

 俊さんの生誕100年記念展を思い立ち、準備を始めたのは今年に入ってから。オープンしたばかりの小さなギャラリーで本当にできるのか、と思いながらも「ぜひ出身地の北海道で俊を顕彰したい」と決意。あらためて俊さんの絵を買い集める一方、埼玉県東松山市にある丸木美術館に通い、作品の貸し出しを要請。快諾を得て、出身地・北海道の小さなギャラリーでの記念展が実現することになりました。

 展示されているのは、丸木美術館などから借り受けたもの22点、清水さんの手持ちの作品20点の合計42点。俊さんの作品だけでなく、夫の位里さんの水墨画、位里さんの母スマさんの作品も飾られています。俊さんに関しても、原爆の図は縮小レプリカですが、この作品に関連する人物画、そして海外の風景、絵本の原画など、多彩な作品が並んでいます。人間がもたらした最悪の悲劇の一つを描いた「原爆の図」と、愛らしさ・優しさがあふれた絵本の原画や人形を描いた作品を見ていると「どちらも人間の一面、俊はその両方を行き来して心のバランスを取りながら描き続けていたのかな」などと考えさせられます。


 東京で男性に伍して働き続けた経験から「俊は、あの時代に、女でありながら画業を貫いた。よっぽど自分自身が強くないとできなかったことでしょう」という清水さん。「『原爆の図』を持って海外に行った際、『なぜ原爆を落とされたのか、日本が大陸で何をやったのか』と突きつけられ、南京大虐殺にまで目を向け、自分の世界を広げていった。これで終わりということがなかったんです」と俊さんの魅力を語ってくれました。

 札幌にいて、平和のために世界的規模で活躍した丸木俊さんの作品に触れられるのは、オープンさせたばかりの小さなギャラリーでも、ぜひ「北海道の誇り」である俊さんを顕彰したい、という清水さんの情熱のおかげ。清水さんも俊さんと同様、しっかりと自分というものを持って前に進んでいく人なんだな、と感じました。みなさんもお時間がありましたらどうぞ足を運んで、俊さんと、そして清水さんの情熱に触れてみてください。

 「丸木俊生誕百年記念展 -『女絵かき』ふるさとに帰る-」は12月29日(土)まで。火曜日~土曜日の午前11時~午後6時で入場は無料です。「北のモンパルナス」の連絡先は、011・302・3993。地図はこちらをご覧ください。ちなみに、「記念展の収益は東北の被災地に送らせていただきます」とのことです。

<編集グループ・飯島>

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