« 12日に土田英順さんを間近に | メイン | 石狩砂丘は花畑 »

再生可能エネルギーで電気料金は

2011年06月14日

菅直人首相が、退陣までに「なんとしても」達成したい課題に「再生可能エネルギーの特別措置法案」の成立を掲げた。太陽光や風力などの自然エネルギーで発電した電力を電力会社が決まった価格で全量買い取る制度のことだ。

 自然エネルギーは発電コストが高いので、買い取り価格も高くなる。すでに国は余剰の太陽光発電の買い取りを実施している。住宅用で1キロワット時42円、工場やビルなどの非住宅用では、1キロワット時40円。各電力会社は、すでに今年4月から太陽光発電の買い取り価格分を「太陽光発電促進付加金」として、電気料金に上乗せして徴収している。

 北海道電力の場合、30アンペア契約の家庭で、1~120キロワット時まで約18円、121~280キロワット時までが約23円だから、いかに太陽光発電の買い取り料金が高いかがわかるだろう。

 北海道電力と北陸電力は、太陽光発電の設備が少ないため、1キロワット時あたり0・01円で済んでいるが、陽光に恵まれ、設備の多い中部、中国、四国電力は0・06円、九州電力は0・07円と全国でもっとも高い。住宅や施設に太陽光発電をとりつけられる人や企業のために、電気料金を使って、補助しているようなものだ。

 いままで、太陽光発電の設備が少なかった北海道だが、14日の道新朝刊でも報道されているように、通信大手ソフトバンクの孫正義社長が道内に50万キロワットのメガソーラーの建設を計画している。詳細は不明だが、もし余剰の太陽光発電と同じように、地域の電力会社が全量買い取ることになれば、北海道でも上乗せ分の電気料金が高くなることは確実だ。

 

 梅雨がなく、比較的日照時間の長い北海道は太陽光発電の適地で、今後、ソフトバンクだけでなく、多くの企業が道内にメガソーラーを作るだろう。太陽光発電が増えれば増えるほど、私たち道民が払う電気料金は値上がりしていく可能性がある。

 太陽光発電だけでない。風力発電もある。経済産業省は、風力発電の買い取り制度の詳細を決めていないが、買い取り価格は、1キロワット時15~20円になるとみられている。北海道の海岸線は、本州と比べて、安い建設コストで巨大な風力発電施設(ウインドファーム)を作れるため、これまで以上に、巨大風力発電が増えるだろう。

 風力発電に投資をして、利回りを得ている人もいるが、投資に回す資金のない庶民はひたすら高い電気料金を支払うだけである。北海道電力が買い取る制度になれば、自然エネルギーで発電量が増えれば増えるほど、道民の電気料金を押し上げる。

 それでなくても、東電の賠償金を電気料金の値上げで賄おうという仕組みづくりが検討されている。自然エネルギーの全量買い取りが、さらなる値上げの口実に利用されかねない。

 原発事故の反動で、太陽光と風力といった再生可能エネルギーによる発電が、あたかも救世主のごとくマスコミに取り上げられている。しかし、重要なのは、コストをかけても、現実に産業用として使える電気かどうかである。そして、電気料金が高くなることに地域の住民の合意が得られているかどうかである。

 太陽光も風力もこれまで普及してこなかったのは、コストが高いわりに発電量が少なく、さらに発電が不安定だったからだ。特に風力は、風が吹くときは、どっと発電するが、風がなければ、発電がとまる。特に北海道は日本海側に風力発電が多い。季節風などで同じ日の同じ時間帯にどっと発電する可能性がある。電力の供給と需要のバランスが崩れ、周波数が乱れ、工場の生産に影響が出かねない。

 原発の代替で最も現実的なのは、天然ガス発電で、多くの専門家たちがその有効性を指摘しているが、なぜかマスコミでは取り上げない。おそらく天然ガス発電が普及すれば、日本の原発は確実に廃炉になるからではないだろうか。

 自然エネルギーの導入で、新しいビジネスが生まれ、富を得る企業が出る一方で、電気料金は確実に高くなる。日本は工業立国だ。電気料金が上がれば、大企業は生産拠点を国外に移す可能性がある。大企業のように資金がなく、国外に移転できない中小企業は、工場をたたみ、廃業という道を選ぶかもしれない。

 再生可能エネルギー。たしかに聞こえはよいが、その実態を見極めなければ、安易な導入で、国力を衰退させかねない。首相の個人的な理想論で導入されては困るのだ。

 ついつい心配になって、あれこれ書き連ねてしまった。

                                       

<KAMU>

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.hokkaido-np.co.jp/mt/mt-tb.cgi/15829

コメント

ひとつだけ、ツッコミを。全量買取が導入された場合、一番有利なのは、北海道のはずではないでしょうか。

今回の全量買取の最大の特徴は、太陽光以外の風力・地熱・バイオマス・小水力に対する助成が強化される点にあります。北海道は、日本で最も豊富な地域に属します。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13696

太陽光:この全量買取では、従来からの家庭用の助成には変更がありません。もっと大規模な設備の助成が強化されます。
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004629/framework.html
日照量が多く広い場所がある地域が有利になりますが、北海道は道東に日本随一の日照量が多い地域があります。
http://unit.aist.go.jp/rcpv/ci/about_pv/output/irradiance.html

これらを組み合わせれば電源の多様化がすすみ、より安心して使えるようになるはずです。また化石燃料が値上がりする一方、これら自然エネルギーのコストは全体として低減が予想されます。導入時にはお金も時間もかかりますが、根気よく続られれば、ドイツのように国全体では利益を得ることが可能でしょう(あまり急激に進めてもダメですが)。

なお現在の技術では、1000km送電しても、損失は3~4%程度で済みます。制度的な問題までは分かりかねますが、少なくとも技術的には、本州への送電も可能と思われます。

ご参考になれば幸いです。

マスコミが騒ぐことの多くが、非科学的で根拠のない熱狂が多くなりました。代替エネルギーのことも、有名な経営者が出てくると,インフラをまともに整備せずに儲けようとするだけの話かなと感じてしまいます。代替エネルギーの開発に促進するのであればいいのですが。もっと掘り下げた議論を期待します。異論を闘わせれば、真実が姿を表しますから。国難です。方向が正しくなりますように。ご活躍を祈ります。

前提が現行の制度なので法案の内容もはっきり調べずに憶測で心配している内容だと思います。法案の内容とそのバックグラウンドを調べずに書くのはフェアではないでしょう。現行の利権を守る結果になります。自然エネルギーの価格についても丁寧なプレゼン資料が公開されていて先行する各国の実情もリサーチ済み。一般家庭で月30円ほどの上昇が普及当初はあるものの、それも下がる見込みです。また、この法律が通れば誰もがさまざまな規模の発電を行うことができ、現在多くの事業所が持っている発電能力をフル活用できるので電力不足も解消できるのです。
何よりも新規事業が起こしやすく雇用も生まれます。電力は自由化して国力を回復すべき時代なのです。

プロフィール

プロフィール

スタッフ
 電子メディア局に在籍する「不特定多数」「老若男女」のメンバーで構成しています。他のブロガーのみなさんに比べると北海道の「通」とは言えませんが、曲がりなりにも北海道の最新情報を日々発信する職場から、何かしら皆さんのお役に立てればと思っております。

※イラストは道新グループの会員組織「道新ぶんぶんクラブ」のキャラクター「ぶんちゃん」 です。




ブログ内検索

カテゴリー

最近のエントリー

バックナンバー

コメント

トラックバック