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石弘之さん、札幌で原発事故について講演

2011年05月23日

  21日の土曜日に、「ジャーナリスト会議北海道」の主催で、環境問題研究家の石弘之さんの講演会がありました。参加者は30人くらいのこじんまりした集まりでした。

 講演では、原発の発電の仕組みから福島の事故経過、人や生態系への影響、代替エネルギーまでと幅広く多岐にわたる内容でしたが、その中で、気になった部分を紹介します。

 第一に、今回の東京電力・福島第一原発事故と、1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故との比較です。(データは石さんが講演で紹介した数字です)

 チェルノブイリ原発では、ウラン燃料3・6トンを含む約180トンの核燃料がありました。
これに対して、福島第一原発(福島と略)は1号機から4号機まで、保管中の使用済みの核燃料も含めると、1048トンありました。チェルノブイリの6倍です。この1048トンのうち、使用済みの核燃料は、699トン。実は、人体に有害な放射性物質の量は、核燃料を燃やす前よりも、燃焼したあとの方が増えます。実は、チェルノブイリよりも福島の方がのちのちの被害や影響は深刻かもしれません。

 <写真は、講演会で話す石弘之さん>

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 現在、地球上の放射能の3パーセントは、25年前に起きたチェルノブイリ原発で放出されたものといわれています。福島は、まだ事故は収束していませんが、日本は半永久的に、放射性物質を地球上にばらまいた責任を問われることでしょう。

 第二に、事故が収束したあとの、原発の廃炉の費用の問題です。
原発は、正常に停止した場合でも、一基につき600億円かかるといわれています。事故を起こした原発は、さらにその何倍もの費用がかかります。

 これから日本で何基の原発が廃炉になるかわかりませんが、少なくとも現在計画中のものは作らせない、建設中のものは、放射能に汚染されないように建設を中止しなければ、日本の財政破たんは回避できないでしょう。財政破たんの前に待ち構えているのは、もちろん大増税です。

 一方で、原発推進のために、国から福島県に支払われた交付金の累計は、1877億円。そのお金はどこにいったのでしょうか。このお金をストックしておけば、年間の外部被ばく量が20ミリシーベルトを超える可能性のある地域に住む子どもたちの集団避難が可能になり、その子どもたちの将来の健康被害を少なくできたことでしょう。

 最後に、私たちは何ができるか。

 まず、事故を忘れないこと。「のどもと過ぎれば熱さ…」といいますが、日本人は、重大事故が起きても、その教訓を生かせない。
 原発は、国主導で進める政治の問題。だから、選挙で、電力会社が後ろ盾にいるような候補は選ばぬこと。
 そして、生活を省エネルギーにして、電気と水の消費を三割減らすこと、などを挙げています。

 原発の代わりに、自然エネルギーの利用促進が提唱されていますが、石さんは自然エネルギーは発電コストが高く、1か所で大量の発電が難しいので、原発の代替は難しいとみています。たとえば、風力発電で、原発1基分の電力をまかなうとしたら、一基(本)2000キロワット級の巨大な発電用風車をなんと1700本建てなければなりません。

 発電用の風車は、さっぽろテレビ塔くらいの大きさがありますから、干渉防止のため、100メートルくらいの間隔が必要です。さらには、羽根の回転で低周波も発生する。

 まずは、自然エネルギーで原発分の電力を作るという発想ではなく、生活の無駄を見直して、原発分を省エネでまかなうという発想が最も有効です。

 ◇◇◇ ◇◇◇

 日本ジャーナリスト会議北海道主催の次回の講演会は、6月2日(木)午後6時半から、札幌市民ホールで開かれます。入場無料。大震災後に、被災地に入り、その惨状をニューヨークタイムスなどで伝えたフリーカメラマンの野口隆史さんと、日本科学技術ジャーナリスト会議理事の柴田鉄治さんが講演します。

<KAMU>

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コメント

旭川在住です。札幌で原発関連の講演会が開かれているのは知りませんでした。しかし参加者が30人とは・・・。北海道の人は、危機意識が低いような気がします。泊原発と札幌は、福島と東京より近い訳ですから、もっと真剣に考えなくてはならないと思います。最近の道新さんの原発への取組に、力強さを感じ、安心します。道民がもっとつながりを持って、対応できるように、情報発信をお願いします。

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