【王位戦】そして、2日目の朝が明けた
2008年07月15日
決戦2日目の朝が明けた。曇り空だった。最低気温15度、最高気温17度の予想。空気が少し冷たい。周囲に広がる森の中の網走湖は朝霧に霞んでいる。2人の対局者は霧の彼方に何を見ているだろうか。
羽生善治名人が封じて終わった1日目の対局。その41手目を読み切って、深浦康市王位は静かな夜を迎えられたか。いずれにしろ午前時9時になれば、すべては動き出す。
ホテルの自慢の一つは大浴場と露天風呂である。夕食が終わって足を運んでみた。こんこんと湧き出すお湯に浸っていると、夜のとばりの向こうにカエルの声が聞こえた。精一杯生きているぞ、と主張しているかのように、絶え間なく、力強い。
ふと、昨年9月の王位戦第7局を思い出した。神奈川県秦野市鶴巻温泉、陣屋。深浦王位が「7七」に放った会心の一手が初タイトルをたぐり寄せた。あの時もそうだった。1日目の戦いの後、露天風呂に入ると一面は虫の声だった。夕食後、深浦王位が池の前で何かを断ち切るかのように瞑目していた。見上げれば、月の光が柔らかく、その姿を照らし出していた。
網走からの出発。それは、真夏の日本列島を南下する過酷な戦いの始まりであると同時に、その行方を占う乾坤一擲の大一番である。豊かな自然は相対峙する2人の強者のどちらに勝利を運ぶのだろうか。
まさに、この「北天の丘」は新たな伝説の始まりの地となるのである。
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