春の羊蹄山 24年前の雄姿に「再会」 グーグルマップ頼りに

2017年05月04日

 20代の頃、私は写真撮影が好きで、特に小樽から羊蹄山周辺は、よく撮影に出かけていました。

 当時はデジタルカメラはなく、フィルム一眼レフでの撮影でした。ネガフィルムでの撮影が一般的でしたが、プロのカメラマンや商業写真家はリバーサルフィルム(ポジフィルム、スライドフィルムともいいます)を使う人が多かったので、フィルム代が高価でしたが、私もリバーサルフィルムで撮影していました。

▼お気に入りの写真は大きく引き伸ばして額に入れ、今でも自宅に飾っています。1993年の5月に撮影した羊蹄山のこの写真は、最も気に入っている一枚です。

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▼当時撮影したスライドフィルムの原版も、大切に保管しています。ペンで「93.5.16(日)」の日付が確認できます。下部の「50mm・・・」は、使用レンズ、露出補正、使用フィルムのメモです。「RD」というのは、当時のフジフィルムの最も安価なリバーサルフィルムの略称記号です。24年経過した今でも、カビや退色などはありません。画像を再生するのにパソコンや専用ソフトなど不要ということも考えれば、フィルムの保存状態を良好に保てば、既存のデジタルメディアよりも長期間の保存が可能なのかもしれません。

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 数年前から「この写真は、羊蹄山周辺の、どのあたりで撮影したのだったかな?もう一度5月の残雪の頃、こんな羊蹄山を撮影してみたいな」と思うようになりました。撮影当時は、若気の至りで「いい写真を撮りたい」という思いばかりが先行して撮影場所の記録はなく、今では記憶にも残っていません。

 少し話がそれますが、先日、映画『LION/ライオン ~25年目のただいま~』を劇場で鑑賞しました。インドの貧困地域に生まれ、兄と仕事を探しに行く途中、5歳で迷子になりオーストラリアの裕福な家庭で養子として育った青年が、幼い頃の記憶を頼りに「Google Earth(グーグル・アース)」で自分がかつて住んでいたインドの家を25年ぶりに見つけ出すという、実話をベースにしたヒューマンストーリーです。

 この映画にヒントを得て、昔の羊蹄山の写真の、尾根や谷の位置、ふもとの町の場所などをもとに、グーグルマップで、当時のおおよその撮影場所がわかるかもしれないなと思い、航空写真に切り替えたり、拡大・縮小・ストリートビューなどを駆使して、撮影当時の記憶も頼りに、「この場所で撮影したのかもしれないな」という牧場エリアを特定できました。

▲グーグルの規定により、一般のブログに「グーグルマップ」を掲載する場合、上記のような「真上」からの表示のみ掲載が可能です。左上の「拡大地図を表示」をクリックし、その後、「ctrl」キーを押しながら、マウスの左ボタンを押してマウスを移動させると、3Dの立体表示が可能です。羊蹄山を地上から見た景色がわかるので、この表示モードで、当時の撮影場所を探しました。余談ですが、この3Dモードでグーグルマップを閲覧すると、世界中を航空機で瞬時に旅をしている気分になり、これだけでもじゅうぶん楽しめます(ちょっとキーとマウス操作にコツが必要ですが)。

 

 

 GWの後半、快晴に恵まれた昨日5月3日、スマホ片手に「その場所」に出かけてみました。
 

▼下の場所が、当時撮影したであろう牧場の全景です。この場所から見る羊蹄山は、残雪の白い輝きまでも含めて当時と変わらぬ雄姿でした。しかしながら、この牧場は2010年に宮崎県で発生した家畜伝染病「口蹄疫」流行などの影響もあり、一般人の立ち入りはできなくなっていました。おろらく24年前は立ち入ることが許可されていて、私はこの牧場のどこかの樹をアクセントにして、あの羊蹄山の写真を撮影したんだろうと思います。

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▼24年前の羊蹄山の写真と、今回の写真を拡大して比較すると、山の稜線や残雪の分布などから、ほぼ同じ位置からの撮影であることが確認できます(上は24年前、下が今回の写真)。

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◆ 

 24年が経過し、カメラはすっかりデジタルにとってかわり、人も、町も、私自身も、何もかもが変わっていくなかで、羊蹄山は変わることなく、その雄姿を私に見せてくれました。

 24年前の写真は、色補正やトリミング直しができない高価なスライドフィルムだったからこそ、集中して気合いを入れ「真剣勝負」で撮影できた一枚であり、もしも当時デジタルカメラで撮影していたら、あの写真は撮れなかったと思います。24年を経て、あらためて「アナログ」の価値を再発見しています。とは言え、グーグルマップという「デジタル・ツール」がなければ、またこの風景に再会することもできなかったことでしょう。

 自然の偉大さ・時代の流れを実感しながら、『(若いころから)ずいぶん遠くに来てしまったな~』と、春の羊蹄山に話しかけている自分がいました。

文と写真=電子メディア局・編集グループ・立花幹彦)


※希望するかたに本ブログに掲載した24年前の羊蹄山のスライド写真をデジタルスキャンしたjpeg画像を無償でお分けします。 mtatibana@yahoo.co.jp にメールをください。メールでご返信いたします。

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