父の形見・42年前のカメラで網走を写す

2015年04月29日

 個人的な話になりますが、昨年4月に実父が他界し、形見としてカメラを譲り受けました(=下の写真中央=)。「キヤノンEF」という1973年発売の高性能一眼レフ。画期的なAE(自動露出機能)を搭載した、当時の最先端機種です。

 まだ正常に動作します。レンズは50mmF1.4と28mmF2.8の単焦点2本。父が大事に使い、晩年は大切にケースに保存していたので、中古市場でもこれだけ状態のいいものは少ないと思います。今見ても美しくてかっこいい!!

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 私は写真撮影を趣味にしていますが、その原点は父のキヤノンEFにあります。中学の頃は、当時の最高位カメラ「キヤノンF-1」が欲しくてたまりませんでしたが、手が届くはずもなく、カタログを見るだけの憧れの的でした。この頃には「スーパーカー」のブームもありました。

 20数年前、社会人になってやっと手に入れたのが「キヤノンEOS630」という、オートフォーカス一眼レフカメラ(=上の写真右=)。状態のいい中古品を手に入れ、少しずつレンズを揃えていき、10年間以上、メイン機として使い続けました。使いやすく本当にいいカメラです。

 先日、実家の網走で父の一周忌の法要を行い、その機会に形見のキヤノンEFにフィルムを通してみました(=写真下=)。私自身、この10年近くデジタルカメラを使用しているので、フィルムを通すだけで緊張します。

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 金属製でズシリと重いボディー。三脚を使用して撮影しました(=写真下=)。42年前のものとは思えない精悍(せいかん)な顔つきです。

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 シャッターやフィルム巻上げ部分は機械式のため、今も正常動作します。ただレンズ内の「絞り羽根」という、光の量を調節する部品が動かないので、絞り開放(羽根が完全に開いた状態)のみの撮影です。電池を入れていないため内臓の露出計(光の量を計るセンサー)は機能せず、私の一眼レフカメラを露出計代わりに使い、カメラ本体のシャッタースピードをセットしました。親父と私の一眼レフによる、二人三脚ならぬ「二台三脚」による撮影です。

 キヤノンEFで、まだ湖面に氷が残っている春先の網走湖を撮影した一枚です(=写真下=)。ピントが甘くプリントの仕上がりもイマイチですが、不思議と全体がレトロな雰囲気になっていて、なんとも言えない味わいがあります。

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 最近では新聞紙面に「iPhone6で撮影」のタイトルの見開き全面広告を見かけます。デジタルカメラを通り越し、写真はスマートフォンで撮影する時代になったことを象徴しているようです。いずれメガネや腕時計にカメラが組み込まれ、自分が見ているもの全てを記録すること(=ライフログ)が簡単にできる時代が到来するのでしょう。そういう時代だからこそ、親父のカメラが余計に愛おしく、魅力があるものに感じてなりません。


 毎年、父の命日の季節に、形見のカメラで春の景色を撮影しようと思います。
 親父がファインダーで見ていた風景を、私の心のフィルムに写し込むために。

(電子メディア局・編集グループ・立花幹彦)

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