晩夏の道東、つれづれ旅日記

2013年09月13日

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 8月下旬、晩夏の道東をめぐる3日間の旅に出た。

 ■初 日

 道東へは新千歳空港から空路で中標津に入った。午前8時すぎ、「視界不良で着陸できない場合は新千歳空港に引き返す」という条件付きで離陸した。およそ40分後、雲の中をぬうように高度を下げていた搭乗機、視界がパッと開けたと思ったら地上の牛舎がすぐそこに迫った。およそ1分後、タイヤは滑走路に接地、ハラハラドキドキの到着となった。IMG_6907.JPG

   中標津空港からはレンタカーで根室へ向かった。酪農地帯を突き進む直線道路、道の駅では道内旅行を楽しむ家族連れやツーリング中の学生らが旅の疲れを癒やしていた。道外から来たというライダーたちは「憧れの北海道、天気は悪いけど最高」「心が洗われた。また来たい」。

 

 彼らと話していると、約25年前、道内各地をバイクで走った大学生時代が思い出された。当時、関西からフェリーで約30時間かけて北海道入り。広大な大地を疾走する爽快感、すれ違うライダーが手を挙げてあいさつする習慣、見知らぬ人との出会いなど、学生という気楽さもあったが、勝手気まま旅はすべてが新鮮だった。

  

 根室には昼ごろに到着。親戚を通じて地元の自転車屋さんから移動が楽な電動アシストのマウンテンバイクを借りた。このマチは、小学3年からの2年間過ごしたマチだが、早速、私の心の原風景ともいえる公園を見に行った。そこは、JR根室駅から自転車で15分ほどのところにある明治公園。園内には、現存では国内で2番目に古いサイロが3基建ち、公園のシンボルとなっIMG_6705.JPGている。

 

 公園の歴史を振り返ると、1875年(明治8年)に開設された開拓使根室牧畜場までさかのぼる。この牧畜場は当時、国内で2番目の国立牧畜場として作られ、最初は馬289頭、豚6頭が飼育されたという。その後、農商務省(当時)が所轄し、道庁や第二十銀行、明治乳業などを経て、1982年(昭和57年)にその一部が明治公園となり、経済産業省の「近代化産業遺産」に認定されている。

 

 私にとってこの公園は、昆虫を追いかけて遊んだ思い出の場所だが、緑に映えるサイロは牧歌的な雰囲気を漂わせ、今でも私の脳裏に焼き付いている。根室での夜は、今が旬の花咲ガニやサンマなど地元の魚介類を堪能した。

 

 ■2日目IMG_6811.JPG

 この日は知床を目指した。途中、道東沖で始まったばかりのサンマ漁の水揚げ作業を見に、根室・花咲港に足を運んだ。港には主力となる棒受け網漁の大型船(100トン以上)が帰港していた。水氷のびっしり詰まった魚倉からウインチを使って、鮮度抜群のサンマを次々と水揚げしていた。作業をしていた漁師さんによると、今シーズンのサンマ棒受け網漁は、燃料高騰などの影響で出漁が例年より1週間ほど遅いという。

 

  花咲港を後にし、知床方面へ。この日も朝から曇り空だったが、うっすらと浮かぶ国後島が車窓から望めた。およそ2時間後、世界自然遺産・知床の玄関口に到着した。知床は国内で3番目の世界自然遺産として2005年7月に登録された。総面積は約7万ヘクタール、流氷が接岸する地域としては世界最南端で、豊かな生態系と生物多様性が特徴だ。ヒグマやシマフクロウ、オオワシなど国際的希少種の繁殖地や越冬地でもある。この時季、知床の川にはサケが遡上するが、このサケをヒグマなどの動物が食べ、動物の死骸は土に返って森の栄養になる。冬に接岸する流氷は豊かな海を育むなど独特の生態系をつくっている。

 

 知床観光は今回の旅行のメーンだったが、知床横断道路を登るにつれ、雨こそ降っていなかったが雲は厚くなり、太陽は顔を出さずじまい。知床峠から雄大な風景は望めなかったが、知床の森の雰囲気は十分に味わえた。

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 知床峠から斜里側へ一気に下り、途中、町峰浜の陶芸工房「斜里窯」に立ち寄った。5回目の訪問となるが、これまで購入した陶器は作り手の顔が見えるだけに、愛着を持って使っている。

 いつものように、敷地内にあるカフェ「こひきや」に入った。このカフェは、斜里窯を主宰する中村二夫さんと息子2人が、窯で焼いた陶器に親しんでもらおうと2009年12月にオープンさせた。カフェの一室には陶器数百点が並ぶが、今回は、そばつゆ入れとそば猪口を購入した。カフェでは店長の良太さんが入れてくれた熱いコーヒーを味わいながら、ゆったりとした時間を過ごした。

  斜里窯を後にして、網走へ向かった。国道244号と並行して走る単線のJR釧網線(釧路-網走)には、ラーメン店やレストランを併設する無人駅が三つある。そのうちの一つ北浜駅(網走市)に寄った。駅待合室の壁は、旅人が記念に貼っていく名刺や切符で埋め尽くされ、駅舎横に建つ高さ5メートルほどの展望台からはオホーツクの海が目の前に広がっていた。

 

 ■最終目 IMG_6952.JPG

 網走で一夜を明かした翌朝、空には晴れ間が広がった。最終日のこの日は釧路空港へ。写真撮影スポットして名高い「メルヘンの丘」(大空町女満別)など絵になる風景や、タマネギ畑などの広大な田園風景を楽しむドライブとなった。

 

 途中、津別町市街地から国道240号(通称マリモ国道)を20分ほど走ったところの石窯パン工房「アエプ」に立ち寄った。東京から移住した増田秀夫さんが2001年2月にオープンした店だが、窯で焼くパンは、どっしりと重く、表面がぱりっとして、中はホクホク。行列ができる人気店だが、この日は定休日。増田さんも「町外にいる」とのことで、久々の再会は果たせなかった。

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  道東の旅も終盤、釧北峠を越えた。ここから釧路空港までは車で約1時間半の道のりだ。阿寒湖畔の温泉街や国際ツルセンターなどを経て、空港に無事到着。平日ということもあり、空港のロビーは閑散としていた。旅の余韻にひたる間もなく、搭乗機は午後6時すぎに釧路空港を離陸、一路、札幌へと帰路に就いた。

 3日間の短い旅であったが、道東は、季節や天気によって印象は全く違う場所、何度来ても新しい発見がある。今回は北海道の食材を使った料理を存分に味わい、大自然への畏敬の念を改めて確認する旅となった。(編集グループ・斉藤和浩)                                                                                 

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