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招致委員会よ、驕るなかれ!

2013年04月29日

 東京五輪招致委員会会長の猪瀬直樹東京都知事がニューヨークタイムズのインタビューを受け、イスラム教国やトルコ国への非難中傷ともとれる発言をし、IOC(国際オリンピック委員会)から事実関係について確認を求められた。

 当初、知事は「真意が表されていない」と反論したが、ニューヨークタイムズは「インタビューは録音されている」と説明し、結局知事は「他都市に言及し、IOCルールに抵触する可能性が一部あったことを認め、謝罪」した。

 IOC憲章及び行動規範では、立候補都市は他の候補都市に対し、人種・宗教・政治・経済・国力・国民意識などに対し、批判、非難中傷などの行為を禁じている。ここが野放しになれば、非難中傷合戦となり戦争の危険性さえ生まれることは歴史が証明しているからだ。よってIOCは五輪立候補都市及び開催国へ「五輪教育」の徹底を求めるのだ。にも関わらず、9月の開催都市決定前4か月という段階での「IOCからの事実関係の確認要請」と「知事の謝罪」及び「東京招致委員会理事長名でのルール順守の約束」提出という事実は、開催都市決定に多大な影響を及ぼすだろう。しかも、それ以上に世界100人のIOC委員と世界のスポーツ界に悪影響を与えるのは、「日本にはスポーツ文化はあるのか?」という命題だ。

 日本は過去に東京五輪、札幌五輪、長野五輪を成功させた五輪開催国だ。ただ、それらは戦後の復興という国民の悲願のなかで成功を勝ち得たものだ。今回、2020年の招致にあたり、「大震災からの復興」の旗印は「それは自国の問題」とのIOCの指摘で外さざるを得ず、「開催理念」は明確ではなくなった。だから、知事発言は「イスラム初の五輪」という理念で先行するイスタンブール(トルコ)に対する焦りのあらわれだ。

 いま、世界が日本に寄せる視点は、「日本のスポーツ文化」だ。日本発祥の柔道での「女性蔑視、暴力的指導、順法精神の欠如」問題、そして今回の招致委会長発言は間違いなくスポーツ文化に反する行為だ。IOC自体に貴族主義があることは明白で、それは開催種目の決定方法をみれば分かる。しかし、いま東京招致委員会に求められることは、驕るなかれ、貴族主義に走るなかれということだ。日本は傲慢な国ではない。1964年東京五輪は「ようこそ」が合言葉で世界を迎えたのだ。今の日本は、世界の支援に「ありがとう」とこたえ、「もったいない」と生活し、世界が「ともだち」と表明すべきなのだ。

 傲慢な貴族主義での招致活動ならば、東京に勝ち目はない。

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プロフィール

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伊藤 龍治
1947年札幌生まれ。札幌啓明中では夏は野球、冬はスキー。旭丘高では夏はバスケット、冬はスキー。「スポーツ二毛作」実施者。早稲田大でスキー。日本初のアルペンサービスマン、世界初のジャンプワックスマンは自称ながら事実。スキーで4年おきの「骨折五輪」に3度出場。全日本アルペンコーチ。北海道新聞に「いい汗いい話」を12年半執筆。テレビ、ラジオ、講演などスポーツジャーナリストとして活動中。

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