残り40秒の奇跡!うららの復帰に号泣!

2017年05月05日

「午後1時からアップ開始です。阿部を先にお願いします」と、うららが言った。膝蓋腱損傷で痛みのある阿部は「小学校1年生から続けてきたバスケット、あと1か月なんです。だから我慢してでもやりたいんです」と訴えた。出来ることはいわゆる太ももとふくらはぎをマッサージして膝への負担を軽くすることしかない。

札幌新川高校女子バスケットボール部に驚かされたのは、安部が礼を言うだけではない、仲間たちが次々にきて礼を言うのだ。

うららのマッサージを始めた。もちろん、観客席のだれもが見える場所だ。誰が見ても「爺ちゃんが孫の面倒を見ている」と思うだろう。うららが言った。「第1試合、森岡先生が最後の30秒、私を出そうと思ったと言ってました」。私は軽口で返した。「ふ~ん、それなら3分は絶対大丈夫なように念入りにマッサージしとくわ」。

前十字靭帯断裂をしたうららは5か月間バスケが出来ていない。体育の授業も見学だ。でもバスケ部の主将だから、プレーはできないが声を出し練習の補助を続けてきた。その苦しい胸の内は部員全員が知っていた。

うららは私の亡くなった親友に縁があり、復帰トレーニングやリハビリに私も参加することになった。森岡先生と連絡を取り合い、「決定権は医師と森岡先生」を合言葉に協力するのだ。3年ほど前から森岡先生を知り、私は好意を感じていた。ゲーム中、先生は選手を「怒鳴らない・罵倒しない」。選手が苦しい時、先生が言う言葉は「がんばれ」だ!その「がんばれ」には万感の思いが込められていることを選手全員が理解できるのだ。

ゲームは強豪相手に敗戦は決定的だった。残り1分、先生はうららを指差し出場を指示した。うららが本当に理解するまでに10秒ぐらいが必要だった。先生が最後に残していたタイムを取り、円陣で指示をしだした時チームメイトはもう泣き出していた。うららがユニフォーム姿になったとき、保護者席にも涙は伝染していた。

ゲームが再開された。うららは3ポイントゾーンに立っている。守備にはいかない。つまり、野球でいう攻撃専門選手として、DH選手として登場したのだ。相手5人に対して新川高は4人で守る。4人はボールに食らいつく。なぜなら、うららにノーマークで3ポイントシュートを打たせたいのだ。うららにボールが渡った、うららが打つ、2本とも外れた。ゲーム終了寸前、2年生がカットしたボールがうららに渡った。うららが打った。ボールはリングに吸い込まれた!その瞬間、ゲームが終了した。

新川高校選手全員が号泣した。保護者もほぼ全員が泣いている。皆が5か月の苦闘を知っていたからだ。

いま、ここでうららを起用すれば、24日から始まる高体連札幌予選にチームが加速する。高校スポーツの真髄は「全員参加」だ。私は森岡英生という名将の「マネジメント能力・デザイニング能力・思いやり能力」に圧倒された!

困ったのは家までの運転だ!考えまいとしても、光景が浮かんでくる。うららは号泣して抱き着いてきた。全員が泣きながら私にまで「ありがとうございました」という。うららはこれほどまでに皆に好かれていたのか!

私は赤信号のたびにハンカチを使うはめになった!!

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コメント

龍治さん、しばらくぶりです。冬にはお目にかかる機会も有りましたが、私も他人の文章を読んで久々に泣かされました。私達指導者たるものが一番心しなければならない総てが書かれていました。スポーツを通じて何を伝えるのか?小中学生を指導している者として、何時も高校に送り出す立場として、願いを託す高校の指導者の方々に是非とも読んで頂きたいと思いました。龍治さんの応援歌、また楽しみにしています。

大変ご無沙汰しております。
森岡英生先生、すばらしい指導をなさっていますね。
彼が中学校で指導していた頃、とても親しくさせていただいただけに、この記事を読ませていただいて、本当に感動しました。彼の決して怒鳴らない指導のスタンスは不変ですね。
私も隆治さんの応援歌、また楽しみにしています。
             厚田中学校 三浦崇史

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