全英オープン…ワトソンの1打の秘密
2009年07月27日
この1週間余、ひとつの映像を繰り返し見て、そのたびに感慨のため息をはいている。
ゴルフ・第138回全英オープン最終日(7月19日)、最終ホール、最終組の1人トム・ワトソン選手(59歳)のプレーだ。
映像を文章に移すのが楽しい。
◇
ドラマの分岐点は第2打。ボールはフェアウエーの真ん中にあり、ピンまで約190ヤード。
これを載せれば、2パットで優勝だ。
ワトソン選手は、(後で分かったことだが)8番アイアンを抜く。
軽く2度素振りをして、何気なくアドレスを取り、柔らかく振りぬいた。
ボールは、強い意志を持つかのように真っ直ぐ飛び、グリーンに着地。
そのままピンを目指して転がる。
………完璧なショットに見えた。
しかし強い。やや強すぎる。
グリーンをオーバー、山になったカラー部分を通過して奥へこぼれ、ラフに半分身を寄せる形でやっと止まった。
<やれやれ……これじゃあと2打でのカップインは難しいかも>
ライブ映像を見て、解説者と一緒に私も気をもんだ。
案の定だった。そこからパターを使って3ストローク。
36歳のスチュワート・シンクと同スコア(-2)となり、プレーオフ(4ホール)へ。
ここでは惨敗だった。59歳のメジャーVという奇跡を起こす力はもう残っていなかったようだ。
◇
この間の事情を解析するレポートをあれこれ探した。
最終日当日の読売新聞夕刊で、近藤雄二記者が書いた「59歳ワトソン 痛恨の18番」という記事が心にしみた。
それによると、ワトソン選手は自らクラブ選択の誤りを認め「あれは9番だったね」と言い、記者会見では「ここは葬式じゃないだろう…。おれにはまだチャンスがあるってことだよ」と笑ったという。
いいなあ。
◇
ワトソン選手が、8番アイアンのグリップをつかんでからボールが、グリーン奥のラフに身を寄せるまで約30秒。
何度見ても胸が高鳴る。
ここで<還暦目前の心身>に何が起きたのか。
テレビの解説者は「どたん場のアドレナリン(興奮させる物質)が必要以上に出たんでしょう」とコメントした。
そういうことなのか。どうなんだろう。
◇
ゴルフは面白い。あらためてそう思う。
この30秒間の映像は、私の人生の宝物になった。
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▲ワトソン選手の大健闘が、中高年のゴルファーの励みになっていることを伝える北海道新聞の紙面=7月23日夕刊
<口からシャンク>
「今年の全英オープンとかけて……鞍馬天狗のおじさん、と解きましょう」
「して、その心は?」
「アラカンさっそう」
