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年末・年始に古典落語の名作はいかが

2008年12月31日

暮れも押し詰まるなか、三遊亭円生の「鰍沢」を聞いた。


この作品は、キングレコードから出たCD「円生特選ライブ6」に収められていて、今から50年ほど前の1月に東京・人形町の寄席「末広」でライブ録音されたものだ。


物語の場所は身延山(山梨県)につながる山中の道筋。正月の参拝の帰りに大雪で道に迷った旅人が、一軒家に宿を頼む。お熊と名乗る美女が住んでいて、やりとりののち、お熊は旅人に毒入りの酒を飲ませて命と金を奪い取ろうとする。しかし…。


  ―――目をつむってこの鰍沢を聞いた。円生の声を通じて、降る雪、燃えるたき火、お熊の首に走る大きな傷、鰍沢の急流などが、鮮やかにまぶたの裏に描き出された。


聞き終わるまで24分。すごい。とってもいい。

これまでも何度も聞いたCDだが、あらためて描写の細かさに酔い、円生の名人芸の迫力に気圧された。


                  ◇


円生が描く人物に、底抜けの「お人好し」はまずいない。


与太郎でもご隠居さんでもばか殿様でも、どこかに<底意地の悪さ>のようなものが浸み出して影をつくってしまう。


私にはそう感じられる。

笑顔の裏の本音、どことない薄情さ、ニヒルな上から目線、欲得ずくの交情…そんな類のトゲがやがて面にあらわれ、聞き手の心に刺さってくる。


けっして不快なわけではない。

それが円生の芸風というものなのだ。

むしろトゲが徐々に気持ち良くなる。


                ◇


円生が呼んでくるお熊は、絶世の美女だが、根の暗い小悪党でもある。いわば円生ワールドのお姫様。
性悪のお姫様に殺されかけるのは、旅人だけではない。円生の声に耳を傾ける私をはじめ…。


                ◇


円生「鰍沢」のCDは、書店や音楽店の落語コーナーに常備されていることが多い。ネット配信の「モーラ」(私も愛用)にも入っており、この料金は525円。

いかがでしょうか。

石川遼君に舌を巻いた1年だった

2008年12月28日

川人「らくごるふ」の08年10大ニュースを記したい。

写真は、、真駒内カントリークラブ(札幌市南区常盤200、電話011・591・8422)の藻岩コース・アウト1番の第2打地点を、今年の四季折々にを写したもの。


①石川遼選手は本物だった。人生の楽しみが増えた。あの「マン振り」が頭にこびりついて、老骨が折れそうになったが…。


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▲4月29日


②この「らくごるふ」に関し、現代随一のゴルフ随筆家・鈴木康之さんの取材を受け、その成果が週刊刊ゴルフダイジェストに2回にわたり掲載された。2編の名文が私の人生の宝物に。

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▲7月13日


③この「道新ブログ」に樽前カントリークラブの営業部長・佐野祐司さんがお目見え。私の願いが実現した。コースの経営主が外資のアコーディアに代わったが、佐野節はさえ渡っている。

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▲7月27日

④オフィスシャルのハンディが14・2から14・4に落ちた。やれやれ。来年の目標は14・0。やるっきゃない。

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▲8月5日


⑤私のホームコースの札幌カントリークラブが2度目の倒産。民事再生法の適用を受け、再建の道がスタートした。大事なのは良いコースで安定的にプレーできること。それ以外望まない。新経営陣、たのむよ。

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▲8月24日


⑥昨年11月に始めた「詩の心、水面にみつけ…」を今年11月で終了。全6回。真駒内コースの風景と、立原道造の詩とを結びつけた、いわば「こじつけ文章」だが、書いていて面白かった。想像力駆使の甘味さ。


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▲9月7日


⑦中古クラブをネット通販で初めて購入。PW、5ウッド、ドラバーの3本。どれも悪くない。ネットとゴルフ道具購入との関係をさらに研究する必要あり。

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▲10月25日


⑧4月、オークウッドゴルフクラブ(胆振管内安平町早来富岡438)の18番ホール(パー4)で、第2打が直接カップインしイーグル。第2打は、やや打ち上げの170ヤード。5番アイアンをフルスイングしたら、ボールが勝手に飛んでいってくれた。ロングホールでのイーグルは経験済みだったが、ミドルでは一生不可能と思っていた。だからどうだ、といえばその通りだが、やはり生身の人間としてはうれしかった。

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▲11月22日


⑨6月、平取カントリー倶楽部(日高管内平取町荷菜48-1、電話01457・2・2834)を回り、名物のジンギスカンを食した。美味、お勧め。日高の自然もすばらしい。これを幸福といわず何を…

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▲12月13日


⑩「らくごるふ」執筆を継続。これも読んでくれるみなさんがいるおかげ。
良い年をお迎えくださいませ。

              <口からシャンク>

「10大ニュースとかけて、インスタント食品を1年分、と解きましょう」
「その心は?」
「年間のソクセキが並んでいます」


霊感居酒屋で私のゴルフを占ってもらった

2008年12月19日

苫小牧のネオン街に、霊感占いの飲み屋さんがある。

先日訪れ、さっそく占ってもらった。

カウンターだけの小さな店で、お通しが800円、ビールの中瓶が600円だ。高くはない。

中年男性のマスターが霊感を駆使して、人生のよろずごとを占ってくれる。占い料は取らないという。

この日、同行したのは、いずれも私より若い、職場の仲間3人(男だけ)だ。


マスターは笑顔を絶やさない。

「当たるも八卦、当たらぬも…と言いますからね…アハハ。でも私のはけっこう当たると誉められますけど…アハハ」

場がなごむ。
              ◇

占ってもらうことにした。

お願いすると、「ハイよ」といって、まずお灯明を備えた。

少し荘重な風が流れ始めた。

4人ともやや緊張気味か。

若い方から順にマスターの前に立つ。

1人目。マスターは、相手と指先同士をくっつけ、次に氏名を言わせた。


そして口を閉じ、目をつむった。掌を鼻の前に掲げ縦に揺らした。

……10数秒後、目を開けて語り始めた。


「あなたの気性には短気な部分があるかもしれない」と指摘した上で、「自動車が見えます。車の運転に注意してほしい。速度を出しすぎてはいけない」と注意した。


ホホー。
                 ◇
そんな流れで3人に諭すようにメッセージを伝えた。


(メッセージの出所は霊の世界ということなのか。確認しそこねたけど…)

言われた方の反応はさまざまだった。


「なんか当たっているなあ」と驚く一方で「イヤー全然違うなあ」と反発する場面も多かった。


私の番になった。大きく息を吸い込んだ。注文をつけた。「ゴルフに関して占ってください。どうすればうまくなれるか?」


同様の所作を経て、マスターは私の目をのぞき込みながら3つのことを語った。

①「足首が見えます。何か故障しているかもしれないので注意を」

②「高い所に家が建っている。心当たりは?」

③「あなたは何かの学校に通っているのではないか?」

              ◇

①の足首に関しては、確かに私のかかとは爆弾を抱えている。骨の一部が突起しており、数年に一度、疲労がたまると骨が神経にさわり、激痛となる。病院の世話にもなっている。

そこで私は答えた。

「ハア…やはり分かりましたか。足首を一層大事にします」と感謝の気持ちをマスターに伝えた。

②と③には思いつく節がなかったので、「よくわからない」と率直に言った。


               ◇


お前は霊感などを信じるのか?と問われたならどう答えようか。


10回のうち9回は「イヤー。あんまり罪つくりなことを言って人を不幸に陥れるのだけは許さない」とクールに反応したい。


あとの1回は「そう完全な否定では人生の趣がなくなる。精神は肉体の様相は描けても、精神の自らの姿はとらえにくいだろうから」などと答えてもみたい。

つまり、遊び感覚による結論の先送り。


              ◇

「ところでマスター、私のゴルフのことは出ていませんか?」と聞いてみた。

「全く出てこないワ」と素っ気ない。

……客の注文に応じて、なんでも臨機応変にしゃべるというのではないらしい。

かえって誠実さを感じて面白い。

              ◇

店を出ると午前1時を過ぎていた。

師走のネオン街も、静かになりつつある。

犬が遠くでほえた。


ゴルフがうまくなりたい。借りれるモノなら霊感の助けだって借りたい。

店に通わなきゃ。

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▲苫小牧の師走のネオン街。「バーディー2」という名のスナックをみつけ、なぜか安心する

          <口からシャンク>


「商品として結構な値段がついていても、ウラナイとはこれいかに?」

「万感を呼ぶ占いでも、レイカンというがごとし」

残念…ハンディキャップが落ちた

2008年12月10日

私のホームコース「羊ヶ丘カントリークラブ」(札幌市豊平区西岡549、電話011・581・3511)から新しいJGAハンディキャップの証明書が来た。

春から秋までの実績で、14・4だという。

今年春にもらったのは14・2だから、「0・2ポイント」悪くなったことになる。


そうかー。


今年は、なんというか練習が不足気味で、スコア的にやや振るわなかったかなとも思っていたが、やはり数字に出た。


いいわけはできない。


微妙な陰影も映し、ハンデキャップは正直だなあ。あたらめて実感する。


                 ◇


「お前は何者だ?」と聞かれたら、私は何と答えるべきだろうか。

父と母に深く愛された者です。

まずこう返答すれば、間違いはない。

次に、妻や子供との絆を説明することでも分かってもらえるだろう。


さらに、仕事や生まれ育った町の様子を語りたくなる。

次のように言えばどう思われるだろうか。「遠い昔、美しい女性に文章をほめられて有頂天になった男です」

               ◇

顔蔽(おお)いせる者「お前は何者じゃ」

人間「私は人間でございます」

顔蔽いせる者「では、死ぬる者じゃな」

(倉田百三「出家とその弟子」の冒頭)


  この応答は、流行(はやり)、廃れのないスイングの基本かも。

                      ◇

それではこれは。「羊ヶ丘カントリークラブからハンディキャップ14・4をいただいている者です」

なんかいい。

14・4という数字には、夏を挟む半年間に照った太陽の光、吹いた風、降った雨、私の心身に起きたあらゆる現象が流れ込んでいるようで、数字を見詰めると背筋が伸びる。


アイデンティティー(存在証明)の序列の上から5番目ぐらいに位置する感じで、しっくりくる。

                       ◇

羊ヶ丘カントリークラブは11月中旬でクローズした。この私のホームコースは、一見おっとりしている美女だが、不用意に妙な部分を刺激して怒らせると、一筋縄では行かなくなる。


まるで誰かさんのよう。


そんな質(たち)の18ホールは、いま雪の下だ。


来春からは、気合いを入れてコースに挑み、ハンディキャップを上げよう。

アイデンティティーの順番が3位ぐらいになるように。

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▲はがきの一部に印刷されたハンディキャップ証明書


             <口からシャンク>

「ゴルフのハンディキャップとかけて、離婚でもめている、と解きます」

「その心は?」

「なかなかシングルになれません」


練習場行脚…グアム島編

2008年12月04日

グアム島へ先日、行った。


家族の一人が記念日を迎え、それを機にみんなで出かけた。


私はゴルフを楽しみたかったが、本コースのラウンドは日程を含めた状況が許さなかった。

せめてもと思い、ホテルから歩いて30分ほどの練習場「タモン・ゴルフ・ドライビング・レンジ」に行ってみた。
        
                           ◇


いつものことだが、旅の途中、遠目にゴルフ練習場をみつけると、つい引き寄せられ、足を踏み入れることが少なくない。


施設のたたずまいを味わい、カチーン・カチーンとクラブヘッドがボールを弾き出す音を聞きながら「御同輩、やってーますねー」とつぶやくと、なぜだか微笑みがわいてくる。


                         ◇


ゴルフ練習場は、市街地と郊外の境界付近に立地することが多い。


あきらかな郊外なら集客力は心もとないし、逆に地価の高い中心市街地なら商業ビルやマンションが建ってしまうからだ。


                         ◇


都市の境界ゾーンには都市のさまざまな顔が張り交ぜになっているようで面白い。


陽と陰。明と暗。遠心力と求心力。賑やかさと寂しさ。

諸要素が交錯し、つかみ所が少ない都市の境界ゾーンには、何ともいえない「気だるさ」のようなものが流れている。私にはそう思われる。


                     ◇


「タモン・ゴルフ・ドライビング・レンジ」もやはりそんなあいまいな場所にあった。

日曜日の午前10時半。


南洋の草に覆われたアスファルトの歩道をしばらく歩くと、車の中古部品を大量に積み上げたヤードに突き当たった。


そこを曲がり、視線を上向きにすると「タモン・ゴルフ・ドライビング・レンジ」の大型ネットが現れた。

駐車場が大きく、周囲を囲む背の高い草が風に揺れている。


近くに小さな教会がポツンとあり、日曜の行事が静かに進んでいるようだ。

「ハロー」と言いながら、「タモン・ゴルフ・ドライビング・レンジ」のロビーに入っていった。

「ハイ、ハロー」と笑顔を返事をしてくれたのは、受付の若い女性だ。


「ジャスト ルック OK?」と私。

「シュアー」と彼女。


私の英語力が十分なら、彼女とじっくり話をし、「都市の境界ゾーンに漂う倦怠感」について気心を確認し合いたいところだったが、そうはいかなかった。


私の英会話は「ジャスト ルック OK?」までで力が尽き、舌の筋肉が痙攣しそうだったので、やめることにした。

                         ◇

打席フロアは2階建てで、打席数は合計76。1球づつ自分でマットに置く方式だ。

1球の値段は、曜日や数により5円から10円弱。

最も遠いヤーデージ看板は250。50ヤードごとに看板が立っている。

日本の中小都市に普通にあるような施設で、日本の業者が、島に多数訪れる日本人ゴルファー用に設計・施工したのかもしれない。

そのとき練習をしていたのは、中年の女性と30歳代の男性の2人のみ。

日曜日のグアム島は、正午ごろまで「朝寝」状態なのだろうか。


              ◇


静かな練習場に、スイングに集中する2人の打球音だけが響く。
いいなあ。

コツーン、コツーン、コツーン…。


目をつむって打球音を聞く。


いいなあ。

「グアムまで来て、何をしているの?」

背後から家族の怒ったような声が響いてきた。

見ると顔にはあきれた色が浮かんでいる。


失礼しました。


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▲「タモン・ゴルフ・ドライビング・レンジ」の打席レーン。全体の雰囲気は日本の施設と同じようだ
▼同レンジの遠景
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                   <口からシャンク>

ご隠居「落語とゴルフの共通点は?」

八「おなかがよじれるところ(石川遼のマネをしすぎで)」

熊「18番(おはこ)で一番拍手が多いところ」

金「トリがえらいところ(バーディー、イーグル、アルバトロス)」
                      (浮世床さんの作品)


プロフィール

プロフィール

川人正善
かわひと・まさよし。55歳。北海道新聞社員。ゴルフのオフィシャルハンディは14.4。高校・大学と落語研究会のメンバーで、落語鑑賞・口演を通じての交流もめざしており「らくごるふ」は「落語流布」の意味も。妻に3女。余市町生まれ。
へぼゴルファーの喜怒哀楽を、同好の仲間たちとの交友、北海道のゴルフコースの雄大さを交え描きます。

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