味わい増した丸ちゃんのトーク
2008年10月30日
丸山茂樹選手(39)が主戦場を日本国内に戻すと宣言、ブリジストンオープン(10月23日-26日)に参加し「-15」のスコアで3位となった。
最終日の様子をじっくりテレビ観戦した。
丸山選手は、ホールアウト後のインタビューに応じ、さらに解説をつとめていた深掘圭一郎選手の「マルちゃん、そのまましゃべってよ」という誘いにものって、にわかコメンテーターを10数分間続けた。
語りの味わいが米国に行く前より深まっていた。
楽しかった。
いいぞ丸ちゃん。
私がナマの丸山選手を見たのは、12年前のANAオープン(札幌・輪厚コース)。ティーグラウンドでも、グリーンでも、笑顔の丸山選手が現れると、周囲がパッと明るくなるような魅力があった。
いくつものテレビCMにも出演していて、各商品の売り上げ増に寄与していると聞いた。
テレビのバラエティー番組にもよく出演。師匠といわれる尾崎将司選手の声帯模写をし「丸山? まだまだだね」などと言って爆笑を取っていたのが特に印象に残った。
場を盛り上げる語りに非凡な軽妙さがあった。
この人は落語家でも成功するんじゃないか、と思った。
歌のように響く話し声に、ときおり交じる<テノール>が、先代の桂文楽を連想させハッとしたことがあった。
◇
春の青空の上げヒバリ。
一点のくもりもない満月。
胸に大きなバラの刺繍をほどこした仕立ての良い新品のシャツ。
そんな絵を、当時の丸山選手に重ねることができた。
◇
8年前に、米ツアーに本格参戦。4年間で3勝し、日本人で史上最強のゴルファーであることを印象づけた。
◇
今回の日本復帰について、著名なゴルフライター・舩越園子さんは、最近のブログで以下のようにしるしている。一部を引用させてもらう。
「今、とても気がかりなのは、あの丸山茂樹がアメリカから消えてしまったという事実だ。今季の成績が散々で、18試合中、予選落ちが4回、途中棄権が5回、賞金ランクもフェデックスカップランクも200位に近い丸山が、やる気を失くした表情と態度を見せていたことは、以前にも書いた。7月のUSバンク選手権inミルウォーキーが終わったら日本に帰ると本人が漏らしているという話は、6月ごろから方々で耳にはしていた。コトの真偽を確かめようと試みたAT&Tナショナルでは、やはり途中棄権してしまい、駐車場まで追いかけたものの無言で去ってしまった」
「そして7月。私は全英オープン取材に行っていたのだが、その同週に裏で開催されたミルウォーキーに丸山は過去の優勝者資格で出場。予選通過を果たしたにも関わらず、棄権してしまい、その後、ツアーから姿を消してしまったのだ」
◇
丸山選手が、ケガを中心にさまざまなトラブルに陥っていたことは、ほかの一連の情報でも確認できる。
つまり…いろいろあったんだ。
◇
今回のブリジストンオープン。テレビの画面に、丸山選手の顔が大映しになったとたん、「オヤッ」という声が出そうになった。
いやあけっこう歳をとったなあ。そんな感じで、フーと息がもれた。
あわてて録画のスイッチをオンにした。
トークが始まった。テンポの良さとテノールは変わらない。
しかし何かが変わっていた。
例えばこう話した。「矢野東など30代の初めが頑張らないとネ。いま頑張らないでいつがんばるんだ」
……39歳の丸山選手は<いま頑張らないでいつ頑張るんだよ>の時期を過ぎてししまったというのか。
私は彼の心に膨らむ気弱さみたいなものを感じた。
昔日の屈託のなさが見付けにくくなっていた。
霧に包まれたヒバリ。
雲と交差する満月。
袖口が雨で汚れたシャツ。
--そんな構図が浮かんだ。
アメリカで、いろいろあったんだろうなあ。
あらためてそう思った。
◇
しかし、いいじゃないか。
苦労はキャラの幅を広げる。
災い転じて福となる、はずだ。
◇
丸山選手にはいろいろ語ってほしい。
アメリカで何があったのか。
日本とアメリカは何が違うのか。
最前線のゴルフプレーヤーにとって<老い>とは何なのかか。
ツアーの最前線で戦いながら、同時にあの話芸を存分に披露してただきたい。
つまり「らくごるふ」。
ゴルフと落語の楽しみがまたひとつ増えた。
▲降雪で真っ白の新千歳カントリークラブ(千歳市協和1392、電話0123・21・2111)=08年4月5日=今回はシャンク用の写真
<口からシャンク>
落語で「ウソつき弥次郎」という噺がありますが…
ご隠居「北海道じゃあ雪の中でどうやってゴルフやるんだい?」
弥次郎「向こうにはスノーウェッジってのがあるんだ」
ご隠居「グリーンに積もってたらどうするんだ?」
弥次郎「転がってるうちに雪だるまになるから、カップがバケツでできてる」
(浮世床さんからの投稿)
