« 2008年06月 | メイン | 2008年08月 »

プロの振る舞い…秘すれば花

2008年07月28日

千歳のザ・ノースカントリーゴルフクラブで開かれた男子ツアー「セガサミーカップ」(7月24日―27日)の3日目、現地に観戦に行った。

お目当ては石川遼、星野英正の両選手だ。

まず石川選手。「花があるなあ」と感じた。思っていたより体型ががっちりとして頼りがいがあり、フェアウエーを大股でぐんぐん歩いてゆく姿から勢いが伝わってきた。表情に渋みもある。旬なのだ。

ひょっとして雰囲気を演出する振り付け師のようなスタッフがいるのかもしれない。

スイングの形の良さはテレビて見てきた以上だ。遙か昔に誰かによって定められたスイングプレーンの上を、いまあらためてなぞるだけ-の感じ。

このスイング見たことあるぜ。

そんな予定調和。既視感を含んだ再現性が安心感を呼び、見る者の幸福感につながった。

スイングそのものに花が咲く。
いいねえ。
                 ◇

4日目は自宅でテレビ観戦した。18番のロングホール。ドラーバーが上々で、残り約265ヤード。
スプーンによる、第2打は逆風をついて直接グリーンをとらえピン手前4メートルに。見事だ。
(現場に行って痛感したことだが、ここのグリーンは手前に左から池が張り出していて〟準池越え〝。直接狙うプロの技量と勇気に脱帽した)

歓喜の石川選手が何度も跳び上がり、ガッツポーズを繰り返す。そのシーンをテレビカメラがとらえた。

なぜだろうか。そこで私は、わずかな違和感を覚えた。うまく言えそうにないが、寂しさのようなものも湧いた。

「花」は、自分からはしゃいじゃだめ。だれが見てもビューティフルなショットは、おとなしくしていた方が凄みが増す。

例えば、今回の驚愕のオンの直後は、はにかむようにしばし下を向き、ギャラリーの歓声が響き渡るのを聞いてはじめて手を上げ、笑顔を披露する。

そんな運びなら、これまでの予選落ちの悔しい思いを含め、今回の歓喜がより浮き彫りになると思うが、いかがだろうか。

「秘すれば花」という教えもある。

少し望みすぎかもしれないが、もし振り付け役がいたすれば検討してほしい。

         ◇

その点、星野選手は私の肌に合う。

「間」の取り方が好ましい。

自分からガッツポーズを取ることは少ない。
観客やインタビューアーから水を向けられて初めて目を開くように心情を表現するケースが基本型で、かえってそれが私の胸に迫る。
(暗さが漂う場面もあるけど)

つまりプロの花を感じるのだ。

          ◇

石川選手は花だ。

夢を託す花だ。

はしゃぎすぎて枯れてはこまる。

少し楽しませて、長く楽しませて。

004.JPG
▲最終日・最終ホールの2オンで喜ぶ石川選手=道新スポーツの紙面から

     
                     <口からシャンク>
英語のことわざにTime and tide wait for no man.
(歳月人を待たず)というのがあるが、全英オープンでのグレグ・ノーマン(53歳)の活躍をみて、思いついた。
Time and tide wait for Norman.
(浮世床さんからの投稿)


全英のノーマンと私は同学年

2008年07月25日

全英オープン(7月18日―21日)で53歳のグレグ・ノーマンが3位に輝いた。メジャー最年長Vを目指し、最後まで舞台の中央に立ち続けた。

全英オープンの過去の最年長勝利者は46歳。19世紀の出来事だという。

ノーマンの大健闘に驚いた。昨年の石川遼選手の日本ツアーでの優勝より、むしろびっくりした。

ノーマンは私より9カ月だけ若く同学年、まあ同い年だ。
50台なかばのおじさん同士(ちょと前までならおじいさん同士)である。

自分の肉体と頭脳の衰えを考えると(さまざまな条件の差を考えても)ノーマンの「メジャー大会・最終日最終組」の事実には息をのんでしまう。

50歳を超え、肉と頭の萎縮の速さは格別だ。われわれ凡俗ゴルファーが、大あわてしてスコアを崩すときのスピードに似ている。やれやれ。

ノーマンだって人の子。自分の衰退にうんざりしているはすだ。

しかし「53歳5カ月・メジャー大会・最終日最終組」は紛れのない歴史の事実としてわれわれの胸に刻まれた。


                        ◇
ノーマンに何が起きたのか。

「偶然の集積だよ」と片づけるのが一番分かりやすい。

ゴルフライターの舩越園子さんはこう書いた。「ハネムーンの仕上げと翌週の全英シニアオープンの予行練習を兼ねて全英オープンに出場したノーマンが優勝争いを演じたことは、新婚ゆえの幸福感がもたらした偶然の産物」(朝日新聞22日夕刊「素顔のプロたち」から)。

まあ、そうかもね。

しかし、それじゃ展開性が失われ、ちょっと寂しい気がした。テレビ中継の録画を見直し、さらに専門家の論評にいくつも当たってみた。

うまく説明してくれているものを見付けられなかった。

結局、私の心に残ったのは、テレビ中継(テレビ朝日)の解説役・青木功さん(65歳)の、うめくような切れ切れのコメントだけだった。

例えばこんな感じ。
「(ノーマンは)昨年、今年とツアーにほとんど出ていなかったけど、体はつくっていたんだね」
「年寄りがこれだけできるんだから、体は手入れをすることだ」
「(新妻のエバートからテニスを習っていることに触れ)ほかのスポーツをやって、眠っていた筋肉が目をさましたんじゃないかな」
「いろんな球技をやると、目が動いて勘が養われるんだ」


単なる偶然じゃないはずだ。それは何か? 言葉全体から、青木さんが必死に探求しようとする気持ちがにじみ出ていた。


どうすれば<老い>を手なずけて、トップレベルの勝負に適応できるのか。青木さん自身が重ねてきた自問自答や試行錯誤の跡に、私は触れた感じがした。

人は老いることで何を失い、何を手にするのか。分かっていることは、そう多くはない。

グレグ・ノーマンの謎。

それは川人正善の謎でもある。

ゴルフを続けることにしよう。


%E6%BB%9D%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%A9%20018.JPG
▲ノーマンの快挙を伝える道新スポーツの紙面

%E6%BB%9D%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%A9%20017.JPG
▲ノーマンがロイヤルバークデールで雄叫びを上げている日、私は滝のカントリークラブ(札幌市南区滝野213、電話011・591・5361)のラウンドで92点だった。OBが3発…涙。

<口からシャンク>
「全英オープンの舞台とかけて、ヌードデッサンの会に出かけたら、女性モデルの名前は橘井さんといった、と解きます」
「その心は?」
「ラフがきつい」


良いコース・登別カントリーを回って考えた

2008年07月14日

登別カントリー倶楽部(登別市上登別町9、電話0143・88・1123)を先日、回った。当コースでの初プレーだ。

道央自動車道・登別東インターを降り、登別温泉街をかすめるようにして、さらに高台を登り、クラブハウスへ。インターからは20分程度だ。

良いコースだった。ラフに散在する大型の樹木が特徴的で、ほかとはふた味違う趣を味わえる。

適度なアップダウンが楽しく、フェアウエー・グリーンとも芝は上々。キャディさんも穏やかな風のように動きコースになじんでいた。

プレー料金(土曜日午後スタート)は普通の割引券を使って、1万2千円。

総合的に考えて、「中の上」と感じた。

スコアは90点。初コースであることを含むと「中の中の下」か。
           ◇

全国屈指の温泉街のそばに広がるゴルフ場。温泉ビジネスとゴルフにどんなつながりがあるのか、興味が膨らんだ。

(ゴルファーにはふた通りあるように思う。「コースレイアウトと料金にしか関心がない派」と私のように「コースのルーツや経営の流れも知りたがる派」と)

ネットで調べた。グーグルで「登別カントリー倶楽部」で検索すると、16200件もの情報が出てくるが、PR情報が大部分で、私がほしいコースの歴史に関する記述はみつけられそうになかった。

そこで、北海道新聞社の記事データベース(1988年からの記事が蓄積されている)に当たった。

「登別カントリー倶楽部(あるいはクラブ)」で引くと、合計20本の記事が、浮かび上がった。

最も古いものが次の記事だ。.
.

<ひと交差点>ゴルフのあとで温泉、新しい登別PR 登別リゾート開発の唐神邦夫社長
 道内屈指の名湯・登別温泉から車で十分の距離に新設された登別カントリークラブが十四日、オープンした。同温泉の大手ホテルなど五社で出資、同クラブを経営する登別リゾート開発の唐神邦夫社長は「本格派向けの広大なフェアウエーに、豊富な樹種やコースわきを縫う大渓谷といった自然の美しいハーモニーが自慢」とPR。
 ゴルフのあとはゆっくり温泉で-という滞在型プレーヤーを当て込み、一部のホテルは、ゴルフと宿泊をセットにしたパックツアーも発売中。=登 別=


これで、ルーツの概略はつかめる。PRの部分と客観的な事実関係とが切り分けられていて、信用ができる。

自分の会社の商品ながら、新聞記事の威力をあらためて感じた。
残りの19本の記事を読み、なかの各用語からさらにデーターベース検索し、知識を広げてゆけそうだ。
    ◇
ゴルフ場は<公共施設>だと思う。相当な資金を投入し、少なくない負荷を自然環境に与えてコースは、できあがっている。

だから、ドーンと造って、パッと稼いで(逆にあっけなく倒れて)それで、おしまい。というわけにはいかない。

コースを産んだのは結局ゴルファーだ。ゴルファーは親、コースは可愛い子供。

生い立ちや生育の課程、将来性に関心を払うのが、ゴルファーの務め。そう考えるが、どうだろう。


%E9%A7%92%E5%B2%A1%E3%80%80%E7%99%BB%E5%88%A5%E3%80%80%E5%9F%8E%E5%B1%B1%20021.JPG
▲登別カントリー倶楽部のアウト1番・ティーグラウンド。ドラーバーショットの視界には周囲の山の稜線が入る
                   


                     
                       <口からシャンク>

(その1)
「ゴルフの悩みは、この『ショット・バー』のマスターに相談するといいよ」
「おれ、遠くまで飛ばしたいんだけど。」
「それなら、スクリュー・ドライバーをどうぞ」
「僕は、ピタッと止めたいんだけど」
「それでは、ハイボールですね」


(その2)
「パッティング・ラインとかけて」
「新聞に見入る近眼中年のメガネと解きます」
「その心は」
「よめなくて、外すのが情けない。」

          (いずれも浮世床さんからの投稿)

提唱……72歳は「ゴルフ還暦」

2008年07月07日

このブログにある私のプロフィールの年齢を今回「53歳」から「54歳」に差し替えた。

ひと月ほど前に誕生日が来ているのに、うっかりしていた。

年齢という情報の意味合いは軽くない、と思う。

文章など表現交流の場でも、年齢は内容理解への不可欠な手がかりだと感じる。

たとえば、同じ文章を読んでもらって「30歳の人が書いたよ」と付加するのと、「60歳の作品です」とするのとでは、読み手に伝わる陰影が異なるはずだ。

料理を出す際に、盛り付ける器で、味わいが変わってしまうように。

―――私は現在54歳。文句ありますでしょうか。
              ◇
「54」という数字を、見つめていたら、ふと気が付いた。

54は18の倍数である。54=18×3。

で「18」という数字は?

………おっと、みなまで言わせるな、という感じである。

つまり私は、人生の18ホールを3度ラウンドした勘定になる。

いま、スリーラウンド目の最終ホールを終えたところに来ているわけだ。

えらいよね。(何がえらいかわからないけど)

考えてみれば、タイガー・ウッズ選手(32)は2ラウンド目の中盤、石川遼選手(16)の四苦八苦はまだまだ第1ラウンドでの振る舞いだ。

いずれもツアーでいえば予選段階。
決勝はこれからだよ。
                ◇
「ゴルフ還暦」という言葉を思いついた。

通常の還暦は満60歳で、自分の干支(12年に1度)が5回目となる節目だが、ゴルフ還暦を「18年が4回巡ってきた」ということにすれば、72歳となる。

還暦は、生まれたときに還る、生まれ変わる、という意味もあるようだ。

日本は長寿社会であり、60歳でもピカピカの現役が増えている。60歳で生まれ変わるのにはまだ生臭過ぎるよ。

そこで72歳を「新還暦」とするのはどうか。

72は12×6であると同時に18×4でもある。

通常の世界もゴルフの方も、双方うまくおさまる。

倍数というものの不思議な関係である。(どこが不思議か説明しにくいけど)
           
男子ツアーや女子のメジャー大会は、予選を含め4ラウンド戦だ。

つまり還暦まで戦って初めて、勝利をつかむことができる。

これも奇妙な一致ではないか。

「ゴルフ還暦」。

声に出してみて、一人悦に入っている。

              ◇
もうひとつの数の偶然。

私の母親は10年ほど前に、「ゴルフ還暦の」72歳で亡くなった。

現在の私から、母の寿命までちょうど1ラウンドある。

愛する人に絡む偶然は、特別な意味を持って輝く。
              ◇
母は、夫(つまり私の父)を若いときに失ったこともあり、最後まで徹底した倹約の人生だった。

私のゴルフにかかる、けっして少なくない費用と時間を知ったら、母はなんと言うだろうか。

「家族に心細い思いをさせたら、絶対に許さないよ」

そうクギを差してくるかもしれない。

私は、その鋭い視線を手で制し、こう答えるだろう。
「わかった、わかった。母さんのいたあの場所まで、とりあえずもう1ラウンド」


%E7%9C%9F%E9%A7%92%E5%86%85%E3%81%AA%E3%81%A9%EF%BC%98%E5%B9%B4%EF%BC%95%E6%9C%88%20005.JPG
▲ゴルフ場の日没=今年5月、札幌北広島ゴルフ倶楽部(北広島市中の沢450、☎011・373・1111)


            <口からシャンク>

「良い還暦を迎えましたね」
「はい、おかげさまで。ドライバーの飛距離が少し伸びたぐらいです」

「還暦、どうですか」
「まずまず。飛距離は落ち気味ですが、逆にスコアがまとまりやすくなって…」

「還暦ですって。顔色がすぐれないようですが」
「先日、セルフで回っていて、ドライバーをしっかり振ったら、風にも乗って270ヤードを越えるような勢い。でも間もなくハッと気が付きました、そこがショートホールだってことを」


プロフィール

プロフィール

川人正善
かわひと・まさよし。55歳。北海道新聞社員。ゴルフのオフィシャルハンディは14.4。高校・大学と落語研究会のメンバーで、落語鑑賞・口演を通じての交流もめざしており「らくごるふ」は「落語流布」の意味も。妻に3女。余市町生まれ。
へぼゴルファーの喜怒哀楽を、同好の仲間たちとの交友、北海道のゴルフコースの雄大さを交え描きます。

ブログ内検索

カテゴリー

最近のエントリー

コメント

トラックバック


バックナンバー