申し分のないキャディさんが現れた
2008年04月27日
100点満点のキャディさんと出会った。
正確に言えば「100点満点だ」と私が思えたキャディさんということになる。
仮にTさんという名前にしておく。
会ったのは、4月のある休日、オークウッドゴルフクラブ(胆振管内安平町早来富岡438、電話0145・22・4488) でのラウンドの際だ。
◇
Tさんは、40歳代後半(多分)の女性である。
中肉中背、丸顔。あらゆるマチの、任意の町内に一人は必ずいるような普通のおばさんの風情である。
スタート前から会話が弾んだ。
15年ほど前、オークウッド開場の際、賃金が有利ということで、それまで長年いたコースから移籍。以来、ここで働き続けているという。
ホールが進むにつれ、キャディ技能のパーツ・パーツがどれも標準以上であることが分かった。
①聞き取りやすい発音②距離やラインに関するアドバイスが簡潔③ラフに残っているか0Bゾーンに沈んだかの判断が必中④的確なクラブの受け渡し⑤各プレーシーンでの位置取りが良い⑥程よいユーモア……。
どれも合格点だった。しっかりしている。
しかし、どうだろう。
パーツが個々に輝いているだけでは、いわば料金分で、物足りなく寂しくはないだろうか。
パーツの寄せ集めだけでは70点にしかならない、というのが私の感覚だ。
10数年のゴルフ歴で、少なくとも200人以上のキャディさんと18ホールの道中をともにしており、パーツの①から⑥までを十分な形で備え、さらに化粧栄えのする笑顔がまぶしいスラリとした美人が何人もいたが、それだけでは残念ながら70点止まりだ。
◇
Tさんは、楽々と残りの30点を獲得していた。
いつも申し分のないキャディさんを求めていたが、その女性はどんな姿をしているのか、どんな言葉使いをするのか、具体像がなかなか思い浮かばなかった。
しかし、Tさんを目の当たりにして「ああこんな風だったのか」と納得できた。けっこう深い感動だった。
抽象概念が、ある魔法により、自己限定をへて形をつかみ、着物をまとって目の前に現れた。
まあ言ってみればこういういきさつになる。表現が少し大げさな気もするけど…。
◇
この日のプレー代は、9000円弱。帰宅後、清算書を点検していたら、キャディフィーが、4200円だと記されている。
4200円は高くないか。調べてみたら、例えば小樽カントリーが3150円、輪厚コースが3465円、ニドムは3885円だった。
そこでオークウッドのフロントに電話を入れた。先日楽しくプレーさせてもらった苫小牧の川人と申します、と名乗り、4200円の理由を聞いてみた。
他コースとの数百円の差にTさんの「魔法」を解くカギがあるかもしれない。
少しハスキーボイスが混じる女性が、きわめて感じ良く答えてくれた。
「はい、理事会で決めたことで、特段の理由を私は聞いておりません」
ふーん。高めのキャディフィーを取ることで、特別な人材確保・教育をほどこしているわけではない。それだけは分かった。
◇
Tさんが獲得し、私に伝わった残り「30点」の内容はいったい何だったのか。
それを調べるため、今後とも通う必要がありそうだ。
コースに特にお願いすれば、再びTさんと組み合わせてもらえる可能性はある。しかしそれじゃあ面白くない。人為によって魔法が解け神通力が失われてしまうもしれない。
幸いにオークウッドは、コースがすばらしい。高速道路からも近い。料金も合理的だ。
自然体での再会を祈りながら、30回も足を運べばなんとかなるだろう。
▲ オークウッド・アウトコース1番のティーグラウンド
▲ 芝の上で打てる練習場。このコースの魅力のひとつだ
<口からシャンク>
「きょうのキャディさん、良かったんだって?」
「ハイ、助言は簡にして要。そばにいてもらうだけで温かい気持ちになるんです」
「普通のキャディさんだって?」
「一生懸命。ライン読みも悪くない。料金分の仕事はしてくれました」
「悪いキャディさんだって?」
「ソウソウ。OBを打ったら、薄ら笑いを浮かべて『やると思った』って言うんだよ」

