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I LOVE 張娜②

2007年10月31日

 張娜(チャンナ)選手についてまた書きたい。

 彼女に惹かれる理由はもうひとつある。

 笑顔が胸に染みるのである。
 笑顔の柔らかさに胸が温かくなるのである。

 ナマの彼女を見たのは、7月末のアクサレディースと9月末の日本女子オープン(いずれも私の住む苫小牧市で開催)の2度だ。
アクサレディース最終日の8番ホール。結構難しいパーパトが決まった。ギャラリーから「ナイス、パー」と大きい声が上がった。
人差し指と中指で挟むようにボールをカップから拾い上げ、その手を軽く上げて、笑顔でかすかに会釈した。

 この笑顔が良かった。

 日本人の若い女子プロの「サクセスストーリー」が、ゴルフ雑誌に繰り返し掲載され、好んで読んでいる。

 一定の「型」があるかもしれない。
 高収入の父親、ステージママの母親。幼いころから、ゴルフの特別訓練を受け、早くから頭角を現す。
ゴルフ漬けの成長期。ゴルフがうまくなればそれですべてOK。関心はスコアと自分自身のことだけだ。

 そんな「型」が浮かんでしまう。

 そのせいだろうか、概して日本の若い女子プロは愛想がないように感じられる。ツンツンしていて、ときにはイライラしているようで…。

 これは私の感覚であり、もちろん例外もあるだろうけど。(トップレベルの選手は、テレビカメラの前では素敵な笑みを演出する。各種のスポンサーが背景にいるわけでこれは当然)

 しかし、張娜選手の笑顔は明らかに違う。付け焼刃ではなく、しっくりと板についているのである。
 
 この笑顔がどこから来るのか、よくは分からない。

 これまで公開されている数少ないデータから彼女の経歴を振り返えってみた。
1981年12月、北京生まれ。身長167センチ。学生時代に砲丸投げ、やり投げで注目される。19歳でゴルフの道に入り(始めたきっかけは不明)、すぐ中国国内の大会では無敵に。昨年、日本のツアー参加資格獲得試合に加わり、今年からツアーに参戦。10月末までに4勝をあげている。
 生い立ちの情報は、「両親と弟がいて、弟も中国でゴルフのプロを目指している」といった程度で、肝心な部分はベールに包まれている。

 勝手に想像してみる。

 大家族、祖父母を含めた年長者との深い交流、伝統的で絆の太い地域社会、。
こうした古い家族的空間で、彼女は育ったのではないか。

 周囲に絶えず気をつかい、年長者からの配慮には礼と笑顔で応えるよう、たたき込まれてきた。
そんな少女期だったのかもしれない。

 グリーン上の、万感の笑顔を見ていたらつい発想が広がってしまった。
 
 本当はどうだろうか。

 アイ・ラブ・チャンナ。

 スポーツジャーナリズムの報告に目をこらすことにしよう。


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▲日本女子オープンの公式案内書で紹介された張娜選手


<口からシャンク>

 「人気プロとかけて、故郷を慕う気持ち、と解きましょう」
「その心は?」
「アイキョウがあります」

I LOVE 張娜①

2007年10月12日

張娜(チャンナ)という中国人女子プロ選手に心が向いている。

25歳。今年から日本ツアーに参戦、これまで4勝をあげた。獲得賞金は約7900万円で4位(10月8日現在)にまで達している。舞台初登場とは思えない快進撃だ。

彗星のように流れてきて、いきなり太陽のように輝きだした。

生の張娜選手を、私は7月29日、苫小牧市のエミナゴルフクラブで開かれていた「アクサレディース」で初めて見た。

最終日だった。最終組に彼女がいた。
8番ホールから18番までついて回った。

――ありえないだろうさ。

8番・ミドルのティーグラウンドで、彼女のドライバーのスイングを目にしたとき、こんな言葉が口からこぼれそうになった。

バックスイングが速いのである。とてつもなく。

始動してからトップまでのスピードが、普通のプロ選手の2倍、アマチュアの3倍はあるだろうか。

機器を使って正確に計測してみれば、いささか違う結果になりそうだが、私にはそのぐらいに感じられた。

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▲アクサレディースでの優勝を報じる北海道新聞の紙面


――「バックスイングはゆっくり」
レッスン書が10冊あったら、9冊にはそう書いてある。「クラブヘッドに蝿がとまるぐらいゆっくり引け」とたとえている有名なシングルがいた。
 残りの一冊は、あまりにも当然なことなので触れていないだけだろう。

エミナゴルフクラブの8番、ティーショット。見事に高速で引かれた張娜選手のドラーバーヘッドは切り返しの後、さらに加速しボールを真芯でヒットした。ボールは空気を切り裂いて真っ直ぐ250ヤード余地点へ向かった。

――ありえるんだ。

その後のホールも好調を持続し、余裕を漂わせて3勝目をあげた。

9月16日、マンシングウェア東海クラッシクでは最終日に大逆転を演じ、V4の笑顔をみせた。

週刊誌「バーゴルフ」が10月2日号で、「張娜VS全美貞(ジョンミジョン) 柔と剛のドライバー」という特集を組んでいる。

張娜のスイングが「素早い」剛で、全美貞が「ゆったりの」柔という位置づけ。

シニアプロの金井清一選手が「(張娜選手のスイングが)これだけ素早く回転しているのは筋力も素晴らしいのですが、球筋が安定するようにグリップをいろいろ工夫して…」などと解説している。

張娜選手自身も、学生時代に砲丸投げをしていた経験を振り返ったうえで、「この砲丸を上に投げるのではなく横に投げるのが私のスイングのイメージ」と説明。さらに「よく速いねと言われますが、私としてはこれが自然なんです」と続けている。

別の試合のテレビ中継で、樋口久子・日本女子プロゴルフ協会会長が「投てき競技の実績から筋肉が強い。背筋力も相当あるだろう。男性的ともいえるな力強さだ」と分析した。

フーン。つまり、鍛え上げられた筋肉が支えとなり、バックスイングが法外に速くても、オンプレーンのスイングを描けるというわけか。

確かに、アクサレディースの際、真近で見た、張娜選手のふくらはぎはすごかった。

くつろいでいるときも迫力満点なのだが、スイングの途中で、隆々と膨張するふくらはぎには目が覚めるようだった。

宝物のふくらはぎだ。

9月下旬、苫小牧市の樽前カントリークラブで開かれた日本女子オープンでも張娜選手のプレーぶりを見ることができた。(この日はパンツ姿だったのでふくらはぎはおあずけ)。

りりしかった。

ナマの張娜選手を見て、胸が高鳴らないゴルフファンは、そう多くはないだろう。

アイ・ラブ・チャンナ。



         <口からシャンク>
「張娜選手の台頭、日本選手はどう思ってるのかな」
「バストみたいな感じじゃない」
「?」
「キョウイでしょう」
              




プロフィール

プロフィール

川人正善
かわひと・まさよし。55歳。北海道新聞社員。ゴルフのオフィシャルハンディは14.4。高校・大学と落語研究会のメンバーで、落語鑑賞・口演を通じての交流もめざしており「らくごるふ」は「落語流布」の意味も。妻に3女。余市町生まれ。
へぼゴルファーの喜怒哀楽を、同好の仲間たちとの交友、北海道のゴルフコースの雄大さを交え描きます。

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