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キャディさんは17歳だった

2007年07月15日

一人の女性キャディさんに逢った。

先日、札幌市近郊のゴルフ場でのことだ。

17歳だという。

臨時のアルバイトかなとも思ったが、専門の従業員だと話す。
17歳は高校3年生に当たる年齢だ。

顔を覗き込んでみると、眉毛をすっかり抜き、あとに眉を描く訳でなく、そのままにしている。「ゴルフ場のスタッフには似合わないなあ」と思った。

どんな心情なのか。「青春の大波」をかぶり、なお翻弄され続けているのかもしれない。

月給を2回だけもらったと言うから、今春からこの道に入り、最近やっと独り立ちしたばかりのようだ。

有料のキャディ(このコースはプレーヤー1人当たり3800円取る)としての技量は下の下、いまのところ箸にも棒にもかからない、と言ったら少し酷だろうか。

声を出すタイミングが悪く、例えば距離の情報が聞こえない。芝目を全く説明できない、クラブを戻すバッグが違う…。

彼女も悪いが、こういう新人を訓練途中で現場に出す、コース管理者の気も知れない。

「あんた、先輩からちゃんと教えてもらってる?」。私を含めたお客4人は、最初戸惑った。いらつく場面もあった。

しかし、3ホール目を過ぎたあたりから、徐々に違う趣も広がってきた。

彼女がとてもひたむきだからだ。

何より返事がいい。気が回らない分、ひらすら体を動かしてカバーしようしている。「この仕事以外に私が生きる道はないよ」という退路を絶った覚悟のようなものがにじむ。

こういう姿勢は、おじさんゴルファーの胸にグッと来る。

ひとつの仕事を身に付けるまでには、苦行の連続が待っている。ドジを踏んで冷笑され、人様の家の勝手口で、地面に額をこすりつけるようにしながら、涙をこぼすような場面も多いだろう。 

それが仕事だよ。

客4人のサポートもあり、なんとか18番のホールアウトまでこぎつけた。

最年長の人が、こう言って彼女を励ました。職人肌の会社経営者である。
「がんばりなさいよ。1年後ぐらいにまた会おう。どれぐらい成長したか見てあげるから」

彼女はちょっと神妙になって、深く頭を下げた。


230.JPG
▲コースの脇に置かれ、出番を待つ芝刈りの道具=ニューしのつゴルフ場(石狩管内新篠津村)


<口からシャンク>
「仕事とかけて、フリッツ・フォン・エリックの試合、と解きましょう」
「その心は?」
「かならずクロウがあります」

プロフィール

プロフィール

川人正善
かわひと・まさよし。55歳。北海道新聞社員。ゴルフのオフィシャルハンディは14.4。高校・大学と落語研究会のメンバーで、落語鑑賞・口演を通じての交流もめざしており「らくごるふ」は「落語流布」の意味も。妻に3女。余市町生まれ。
へぼゴルファーの喜怒哀楽を、同好の仲間たちとの交友、北海道のゴルフコースの雄大さを交え描きます。

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