いざカムイヌプリ(摩周岳)へ (その2)
2009年04月29日
さて、熊の足跡を見てしまったくらいで引き返しては男が廃る。
でも、この熊の足跡の向かうほうへ進むのもなかなか勇気がいる。
この日、平日の月曜なので他の登山者はおらず、ひとりぼっち。
これを想定して今回、持ってきたのが心強い味方!?″熊撃退スプレー!!″

釧路市内のスポーツ用品店に売っていたのでちょっと高価だけど命には代えられないと迷わず購入。
ナイフや鉈など熊相手に到底役に立たないと解っていながら今までとりあえず持ち歩いていたけど、これならもう少し何とかなりそうな気がする。
アメリカ製で中にはカプサイシンというトウガラシエキスが入っていてレバーを引くと凄い勢いで7m前後噴射されるそうです。
ツキノワグマの研究で知られる米田一彦さんはこれで6回も、そして冒険家の大場満郎さんやラインホルト・メスナーさんもこれでホッキョクグマを撃退しているそうです。
効果の程は分かりましたが実際、襲い掛かってくる熊の鼻っ面にぎりぎりまで我慢して噴射できるもんでしょうか?
以前、(もう10年以上前になりますが)北海道に移住したての頃、熊が見てみたいと夏に知床の羅臼岳~硫黄山へ一泊の縦走登山に出掛けました。
その頃、まだ北海道の山の事を大して知らないまま、人気ルートで登山者は多く、熊鈴なんて要らないだろうと持たずに山に入ったのですが羅臼岳までの道程は日帰りで往復する人が多く賑やかでしたがそこから硫黄山までの縦走路にはほとんど人影はなくなっていました。
羅臼平から三峰、サシルイ岳と稜線を歩いていると遠くに先へ進む二人の登山者が見えました。
日没が差し迫り、心細く、何とかその人達に追いつこうと早足で進みこの日のキャンプ地、二つ池までもう少しというオッカバケ岳の下りを歩いていると前方の山陰で「バキバキッ」という木を踏みつけた様な音がしました。
キツネや鹿が踏みつけたんじゃない明らかにもっと重量感のある音・・・。
さらにその後、「シャーーーッ」と蛇が威嚇する時に出すような不気味な声が聞こえてきた。
まさか・・・と思いつつ登山道を外れてその物音のする方を覗きに行くとハイマツ帯で立ち上がった姿勢のヒグマがいるではありませんか!!
距離にして50~60mでしょうか・・・。
さらにそのヒグマは肩を前後に揺らし始めて完全に臨戦態勢!!
今にも走って向かってきそうです・・・。
こちらは凍りついたまま身動きひとつ出来ず、膝がガクガク笑っている・・・。
それでも決して視線だけは逸らさずゆっくりと後ずさりし視界から外れたら、元、来た道をバテて動かない体に鞭打って死に物狂いで歩き、夕闇が迫っていたのでそれ以上戻る事も諦めこの日はオッカバケ岳のピークでやむなく野営。夜も食料狙って襲ってくるんじゃないかと一晩中、恐怖と戦いながらひたすら長~い夜が明けるのを待った。
≪話が脇道にだいぶ逸れてしまいましたがこの際なのでこの山行の結末までお付き合いください・・・。≫
無事、夜が明けたけど行く手を阻まれて困った。
怖くてとても先へは進めない・・・。
引き返して元、来た道を帰るしかないのか、それとももう少し待って硫黄山方面へ行く登山者を待ってみようと時計とにらめっこしながら待つと一組のカップルが硫黄山手前まで行くというので同行させてもらった。
じきに昨日、熊と鉢合わせした現場に入り、彼ら二人に鈴をいっぱい鳴らしてもらい無事進む事が出来ました。お二人にお礼を言い、別れて進み、やがて硫黄山の山頂にたどり着くと二組の登山者が休んでいました。そのうちの一組のカップル・・・昨日、途中から追いかけていたと思われる二人に声を掛け、事の一部始終を話すと「うちらも夕方、熊を見たよ~。」という声が返ってきた。
もう一つのグループ、中高年の三人組の人達も雪渓の上を移動する親子熊を見たと言っていました。
ここが熊たちの楽園、彼らの住処なんだと知った瞬間でもありました。
この後、三組一緒に長い下りを時におしゃべりしながら眼下にカムイワッカ湯の滝を見ながら無事下山しました。
無事に帰って来れたから笑い話にもなるけど、熊鈴の重要さを思い知らされた旅でもありました。
この時の経験から、熊撃退スプレーを持っていても結局、冷静に使える自信など持てないけど、それでも鉈などの道具よりは数段、心強いのは確かですね。
話が逸れてほとんど余談になってしまいました。
(その2)で完結のはずが(その3)につづく・・・あしからず・・・。













