テニスの頂点に立つウインブルドン選手権。未明の死闘は、フェデラーの2年ぶり、6度目の優勝となった。本当は、その場面は、テレビで見ずにダウン。朝、慌てて起きて知ったのは、想像を絶する4時間18分の激闘だった。
この欄でテニスの話題は初めてですね。待っていました、この日を。実は、僕の高校のころの部活は、テニス部でした。硬式より、軟式が一般的だった時代に、高校の2年上の先輩たちが、汗水流してローラーをかけて、コートを作り上げました。僕たちは千葉県立船橋高校の硬式庭球部3期生として、朝晩、ボールを打ち続ける日々でした。
ウインブルドンは、テニスプレーヤーにとって聖地です、憧れです。まさか、自分が出ようなどとは、思っていませんでしが、出来ることならあのセンターコートで試合を見てみたい、がテニス少年の夢でした。
その歴史あるセンターコート。ウインブルドンは、ほかに何面もあって、予選などはそこで行われるのですが、その日のメーンの試合だけを行っていきます。1年に一度、この日のために整備された芝のコート。決勝戦が近くなるにしたがって、芝がはげて、土が顔を出します。まさに熱戦の跡ですね。ただ、今大会から開閉式の屋根ができて、万が一雨が降っても、屋根を閉めて試合ができるようになりました。
これは大進歩であり、大改革だった。
シングルスを4時間も戦う! 一度でもテニスを経験したことのある方なら理解できるでしょう。テニスは、予想以上に疲れる!4時間も最後まで全力の試合を続けたら、どんなことになるか。あの二人の試合が決まったシーンも見ましたが、よくもあそこまで、出来るものだと、感心を通り越して、あきれてしまいました。
現代のテニスは、強烈サービスで相手をエンドラインに釘付けし、ドライブショットの打ち合いで、決着をつける-が主流ですね。ダブルスも昔のようにサーブ&ボレーですぐに前に詰めるより、まず、ラインでの打ち合いが見られるようになりました。
その原因は、つまりサービスが昔に比べて、格段に強くなったこと。各プレーヤーのスピード、パワーがアップされたからでしょう。フェデラーの強烈サービスは、この試合で50本もエースを稼ぎ出しました。こうなると、ラリーは副次的勝因で、まずサービスが、勝敗の行方を握っていると言っていいでしょう。ラケットの高品質化が進み、面が大きく、反発力の高い製品が次々と開発されています。そんな理由もあるでしょうね。ちなみに、ラケットの面の大きさに制限がないことを知っていますか?
フェデラーの4大大会優勝は、これで15度目。そんなに一人で独占しないでよ、と言いたくなりますが、あのサンプラス(アメリカ)の持つ通算14度を上回るとは。
またまた、信じられない記録が破られました。記録は破られるためにある、と言うけれど、本当にすごい、ただただすごい。彼の凄まじいまでの勝負に対する執念を感じました。
最後に。僕は、2人のプレースタイルを見て、率直にフェデラーのテニスの方が好きです。理由は、バックハンドの多彩さと、きれいさ。フェデラーは、バックはスライス、つまりカットボールが主体なんですね。無理くり打つ、バックのドライブは、なんか昔のテニスとは違うものを感じてしまいます。
ウインブルドンというと忘れられない思い出があります。ケン・ローズウォールというオーストラリアの選手を知っていますか。70年代までに、4大大会で8勝をした大選手で、当時僕たちの憧れのプレーヤーでした。理由はフォームがとてもきれいだった。ウオール、つまりボールに対してキチンと壁、つまり面を使って打つ選手で、バックは徹底したスライス。ベースラインプレーヤーで、どんなボールに対しても、踊るようなすばらしさでボールをさばいていました。
そのローズウオールは、どういうわけかウインブルドンだけ勝てなかったのです。72年、39歳で最後の挑戦となった全英決勝の相手は、当時21歳のジミーコナーズ。彼はテニスの歴史を変えた変則プレーヤーでした。フォームはめちゃくちゃ、ボールはこすり上げるフォームから変な回転ばかり。おまけにラケットを投げ出したり、悪態をついたり。そのコナーズに敗れて、ローズウオールのテニスも時代遅れとなってしまったのです。
フェデラーは、テニス史を変え、歴史に名前を残すでしょう。大きく変遷した現代テニスですが、彼が多用するきれいなスライスボールに、ちょっと郷愁を覚えるのでした。