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小沢征爾さんの思い出 (1) <譜面台の上には お父さんの遺影が>

2013年01月08日

& 小沢征爾さんの思い出話は、2010年、このブログを書き始めた頃にお伝えしましたが、
  タイトルもつけず、うまくまとめられなかったので、1部を補足・修正し、
  再登板することにしました。 お楽しみいただけたら幸いです。

僕のオヤジの死は突然でしたが、小沢征爾さんのお父さんの死も、突然でした。
心の準備がないままの永遠の別れは、本当につらいものです。

親思いの小沢さんの悲しみは、大変大きなものでした。

お父さんが旅立たれてから、数週間後だったでしょうか・・・

東京・目白のカテドラル教会で、ヴェルディの大作、
「レクィエム」のコンサートがありました。 死者のためのミサ・・ 死者を祭るミサ曲・・・

演奏、小沢征爾指揮、日本フィルハーモニー交響楽団・・・
当時、日本フィルの首席チェリストだった僕は、もちろんそのコンサートに出演しました。

小沢さんは、近・現代の、どんな複雑な曲でも、どんな大曲でも、すみずみまで頭に入れ、
暗譜で指揮をするのは、皆さんもご存知の通りです。

その日、ステージに出ると、いつもは置かない譜面台が、置いてありました。

「レクィエム」の演奏は始まりました。

曲が始まってまもなく、彼はボロボロ涙を流し、
手の甲で涙をぬぐいながら指揮を続けました。
一曲目が終わった時、僕は見かねて彼にハンカチを差し出しました。

彼は黙ってハンカチを受け取り、涙をぬぐいました。

ハンカチを渡した時、チラリと見えた譜面台の上にあったのは楽譜ではなく、
やさしい眼差しで微笑んでいる、お父さんの大きな遺影だったのです。

小沢さんにとって、この「レクィエム」は、お父さんのための「レクィエム」だったのでしょう。

つづく。


PS・・今後の公演スケジュールは、1月1日に投稿したブログでお知らせしています。

& 被災地の子どもたちのために、「じいたん子ども基金」を開設しました。

北洋銀行 札幌西支店 普通 5161660 
口座名 【東日本大震災支援 じいたん子ども基金】 代表 土田英順

ご支援、よろしくお願い申し上げます。

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プロフィール

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土田英順
つちだ・えいじゅん。日本フィル、新日本フィル、札幌交響楽団の首席チェロ奏者を歴任し、ボストン響およびボストン・ポップス響でも演奏。現在はソリストとして札幌を拠点に活躍するかたわら、2007年には役者デビュー。国内のみならず「春の夜想曲~菖蒲池の団欒~」では海外公演も果たす。73歳にして初めてパソコンを購入し、ブログの新世界で弓を引く。

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