« チェロを弾く役者「その2」 | メイン | チェロを弾く役者「その4」 »

チェロを弾く役者「その3」

2010年06月03日

「TPS・・・Theater・Project・Sapporo」公演、「銀河鉄道ノ夜」。

千秋楽の舞台が終わってみると、このすばらしい役者の皆さんと、
もう一度、別の作品で同じ舞台に立ちたい、、
出来れば一緒に旅公演にも出たい、、
そんな欲張りな思いが、日に日に強くなって行きました。

叶わぬ夢と思っていた夢を、二つともいっぺんに叶えて下さったのが、
プロデューサーの平田修二さんと、
TPSのチーフ・ディレクター、斉藤歩さんでした。
歩さんは、僕をまじえた芝居を考えて下さり、その結果生まれたのが、
「春の夜想曲(ノクターン)~菖蒲池の団欒」で、
その新しい作品が、僕にとって舞台出演2作目となったのです。

その作品は、雪解けを迎える早春の季節、
札幌の中島公園の、池の真ん中に取り残された浮島に、
期間限定で出現する、ホテルのナマ演奏付きの特別室。
その特別室に宿泊することになった、叔母と姪との物語です。

特別室にある掘り炬燵の下には、
無数の秘密のトンネルが張り巡らされている、、、という奇想天外な話ですが、
心温まる話でもあるのです。

僕の役は、名は「次郎さん」。札響の首席チェリストで、
大酒飲みで、風のように適当な男、、、
ナマ演奏付きの特別室でチェロを弾くために、
札響のコンサートをすっぽかし、札幌コンサート・ホール「キタラ」から、
秘密のトンネルを這いつくばって、ホテルの特別室にある掘り炬燵から現れます、、、


101.jpg

2008年、韓国公演:右はホテルの支配人、吾郎の永利靖さん。
撮影;高橋克己

チェロを弾くために来たのに、チ ェロをトンネルの中に忘れて来てしまう、、
そのような、風のように適当な男なのです。
そして、コンサートをすっぽかしたことがばれて、
札響をクビになる、、という役です。


芝居の冒頭では斉藤歩編曲の、ショパンのノクターン第2番を弾きました。

この編曲は、チェロとピアノがロマンティックに対話をしながら進んでいく編曲で、
僕はとても気に入っています。

でも、お客さんがどう評価するかは、気になるところです。
一計を案じて、僕は聴きくらべをやってみる事にしました。

ノクターン第2番。

「1」ショパンのオリジナル曲、、ピアノ・ソロ。「2」ハンガリーのチェロの巨匠、
ポッパー編曲のチェロとピアノ。「3」斉藤歩編曲のチェロとピアノ。

コンサートで、この3曲を続けて弾き、聴きくらべをやってみました。

「、、、皆さん!同じ曲でも、オリジナル曲と、編曲もの。
編曲ものも、編曲者によって、こんなに違います。
皆さんは3曲のうち、どれが一番お好きですか?、、、」お客さんに問いかけました。

結果は、数回のコンサートすべてで、斉藤歩編曲が圧倒的多数で一位だったのです。
僕は本当に嬉しくて、その都度終演後に歩さんにメールで知らせました。

「お~い、今夜も斉藤歩編曲が一位だったぞぉ~ダントツだぞぉ~」

歩さんは、いつも返信してくれましたが、
この件について触れたことは一度もありませんでした。

彼は、案外照れ屋なのかも知れません。

酒を飲む、愉快な場面もありました。

酒に目がない「次郎さん」は、ホテルの支配人に薦められるままに、
甘口の酒を湯呑みでグイグイ飲みました。

しかし、それは酒ではなく味醂でした。
酒と味醂の違いがわからない、おっちょこちょいのボーイが、
味醂を持って来てしまったのです。


%E3%83%8E%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3%EF%BC%93.JPG


次郎さん・「このお酒、何?」、、支配人・吾郎・「え~っと(ラベルを見る)」
次郎さん・「ちょっと甘ったるいね」、、吾郎・「次郎さんごめん、これ味醂だわ」
次郎さん・「味醂か」、、吾郎・「飲んじゃった?」
次郎さん・「全部飲んじゃった」吾郎・「ごめんね」
次郎さん・「いいよ」

2010年再演:道内8都市、本州4都市。計28回の公演を行う。
左はホテルの支配人、吾郎の斉藤歩さん

撮影、高橋克己


「春の夜想曲(ノクターン)~菖蒲池の団欒」

ホテルの特別室に宿泊することになった、叔母と姪との物語。

病をかかえ、厚木で一人暮らしの叔母。
父に捨てられ、母と死に別れ、結婚生活の夢破れ、
度重なる不幸に襲われながら、くじけることなく北海道で一人たくましく生きる姪。

他に身寄りのない、二人の突然の再会から始まる物語は、
喜劇的な場面をはさみながら、フィナーレへと向かい、観終わったあとは、
ほのぼのとした、心温まる思いで家路につくことが出来る芝居なのです。

つづく。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.hokkaido-np.co.jp/mt/mt-tb.cgi/12236

コメント

英順さん!こんにちは!
英順さんのブログを毎日更新されてないか
チェックするのが日課になりつつあります☆笑

秘密のトンネル・・・
あったらぜひくぐってみたいですね♪

えっ!更新を毎日チェック?
うれしくて、涙がこぼれるよ。
更新は毎週木曜日ですよ。

秘密のトンネルはやめたほうがよいですよ。
沖縄公演では、トンネルの中で、
迷子になっちゃいました。
トホホ。

英順さん、いい表情の写真ですね(*^_^*)

新しいお芝居の練習、頑張ってください!

でも・・・ハイタッチが暫く出来なくて淋しいデス~

斉藤歩さんではなく、ミキサーの歩です^^
一旦ですが、「チェリストの休日」お疲れ様でした(^O^)/
だけど、これから、大変な毎日が始まりますね(@_@;)
番組中は、なかなか、お話出来る時間がなかったし、担当させてもらってから、心地よいひと時を頂いていました♪
だって・・・クラシックピアノをやってたから!!
しばらくは、英順さんのブログを拝見させて頂きます(^_^)/
いつか、この面白い舞台を観に行けたらと思っています!!

芝居頑張るよ。もちろんチェロも。

しばらく仕事を協力出来なくて、
ごめんなさいね。

一息ついたら、また戻れるように、
がんばるよ。

短い間でしたが、お世話になりました。

おかげさまで、安心して
おしゃべりが出来ました。

また戻れるのかどうか、
先のことはわかりませんが、
一日一日を、大切に、頑張っていきます。

以前お誘いしても「パソコンは…」と言ってらしたのに
ブログをはじめられていたとはっ!\(◎o◎)/!

ラジオがなくなった分、毎週の更新を楽しみにしていますね。
コメントも入れられるし(o^-')b

いつもお忙しそうで心配していますが
今年は去年よりもさらに?
どうぞお気をつけて…

で…たまには私とも遊んでくださ~いっ!

今回も楽しませていただきました!
東京公演には、7歳の子供を連れていったけど、あきることなくちゃんと最後まで見てました。
また楽しみにしています。
えみ

えみさん、コメントありがとう。

来週からは、イプセン原作の、
「ペールギュント」の稽古が始まります。
8月が本番です。

東京公演がある時は、
7才のお子様と観に来て下さいね。

kyoさん、いつもラジオのスタジオに
お便りありがとう。

パソコンは、面倒と思っていましたが、
ブログを薦められてはじめてみると、
なかなか面白いですね。

やっぱり、人生はチャレンジですね。

良いお芝居に恵まれて本当に良かったね。
東京公演を拝見したけど、役者さん達や舞台の素晴らしさに感動しました。
ありがとう。。
ふみこ

ふみこさん。
役者さん達と、すばらしい出会いがあって、
芝居の奥深さ、楽しさ、難しさを
知る事ができました。
これからも、頑張ります。
東京公演の時は、ぜひ観に来て下さいね。

英順さん いつも ありがとう ございまうす。

お話の中でいつも私自身、その場面にいるように感じ読んでいます。
私の知らない世界を拝見させて頂いてます。
通常の日々では考えられない世界に、ブログを読んでいて、わくわくドキドキです。

楽しみにしています。

プロフィール

プロフィール

土田英順
つちだ・えいじゅん。日本フィル、新日本フィル、札幌交響楽団の首席チェロ奏者を歴任し、ボストン響およびボストン・ポップス響でも演奏。現在はソリストとして札幌を拠点に活躍するかたわら、2007年には役者デビュー。国内のみならず「春の夜想曲~菖蒲池の団欒~」では海外公演も果たす。73歳にして初めてパソコンを購入し、ブログの新世界で弓を引く。

ブログ内検索

カテゴリー

最近のエントリー

バックナンバー

コメント

トラックバック