<己の感性を信じて>

2019年04月13日

4月9日に更新した<音楽は難しい>の続編です。 CD制作のための録音中のお話。

小生がテスト録音で弾いた 「ヴェラチーニのラルゴ」 を、ミキサー室で聴いていたディレクター、 楽譜にメトロノーム指定されているテンポより、小生の演奏はテンポが速いのではないか、と。

おっしゃる通りで小生はそれを百も承知でした。

楽譜に書かれているメトロノーム指定は四分音符 ♩ =54。

DSCN5517.JPGしかし・・・

メトロノームは1812年オランダのヴィンケルによって発明され、ドイツ人メルツェルによって改良されたものが現在のもの。

✪ ベートーベンとチェルニーがはじめて作曲の速度指示に用いた。 ✪

(新音楽辞典 楽語 音楽之友社)

ベートーベンの生誕は1770年。 チェルニーは1791年。

ヴェラチーニが生涯を閉じたのは1768年。

これでおわかりのように 「ヴェラチーニのラルゴ」 の楽譜に書かれているメトロノーム指定は、ヴェラチーニが指定したものではないのです。

更に・・・

楽譜にはイタリア語で 「情熱的に  激情的に」 「非常に表情豊かに」 「晴れやかな 穏やかな」 「急いで」 「せきたてるように」 などと書かれています。

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DSCN5523.JPGしかしバロック時代の作曲家は、このような指示を楽譜には書きませんでした。

近年、楽譜が出版された時に、テンポの指定とニュアンスは誰かが書き込んだのでしょう。

小生は楽譜にとらわれず、己の感性を信じ、思いのままに演奏した結果テンポは速めになったのです。

ディレクターに指摘された時は、困ったな、と思いました。 しかし小生は、レコーディングというコンサートとは違った身の縮まるような緊張が伴う仕事をしている中で、ディレクターと議論をする気にはなりませんでした。

「風のホール」 の出演者控室に会社の録音機材を持ち込み、スコアに目をおとして神経をとがらせながら仕事に打ち込むディレクター、ステージ上でマイクを前に、緊張で萎縮しそうな自分を自ら奮い立たせてチェロを弾くチェリスト。

お互いに顔の見えないマイクを通した両者の会話。

ひと呼吸、ふた呼吸、もうひと呼吸おいて小生はマイクに向かって顔の見えないディレクターに言いました。

" わかりました。 テンポをおとしてやってみましょう。 もう一度録音をお願いします。"

✩✩ 4月8日にミドリカワ ケイコさんから¥12,000を 「じいたん子ども基金」 にお預かりしました。

ミドリカワさん、たび重なるご支援、変わらぬご厚情に心より感謝致します。

ありがとうございました。

東日本大震災復興支援のために 「じいたん子ども基金」を開設しました。

(2012年12月10日)

【東日本大震災支援 じいたん子ども基金】 代表 土田英順

北洋銀行 札幌西支店 普通 5161660

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