瀬棚 ガンビ岱

2019年02月25日


そらのレストラン.JPG

道南の瀬棚町の丘陵地は沢が襞のように入り込み、海からの風で傾いたガンビの木(白樺の方言)が目立った。戦後開拓入植で牛飼いが始まった地域だ。

地元の人は地区名の東大里と西大里一帯を"ガンビ岱"と呼んでいた。道に入って振り出しの檜山支庁時代によく通った。

牛飲馬食。酪農は水を多用する。風を避け、水の得られる沢地に牛飼いの人達は入植したという歴史がある。

昭和50年代、集乳体制を近代化するために酪農家をタンクローリーの走れる道路の近くまで沢から上げる事業が始まった。

補助事業なので施設は2戸共同利用が出来なければならない。沢を隔てて点在する地域は困難が伴った。

調査をしていたある日、Kさんが入植時のアルバムを見せてくれた。本当に小屋がけのような牛舎だった。

そしてバイオリンを持ち出して、「久しぶりに引くか。ここではこんな曲でないとね・・・」と笑って『船頭小唄』を引いてくれた。涙が出た。ガンビ岱を何とかしなくてはと決意した日だった。

他には当時珍しかったチーズ製造に取り組んでいたもう一人のKさん、花見の宴の後にそのまま家に泊めてくれたYさん兄弟・・・。

転勤して数年が経って畜舎完成パーティーの案内が届いた。小学生で共進会の牛を曳いていた娘さんが中学生になっていて新築牛舎にいた。

希望者の半数くらいの6戸の牛舎と草地が整備されたと記憶している。

先日、妻に誘われて新千歳空港シアターに初めて行って、瀬棚を舞台にした映画『そらのレストラン』を観た。なだらかな海の見える綺麗な草地が嬉しかった。

映画に登場する酪農家とガンビ岱の人々がずっと重なっていた。バイオリン弾きのKさんが登場すればもっと嬉しかった。

Kさんはどうしても共同利用の形を作れず事業に乗せることが出来なかったが祝賀パーティで髭の明るい笑顔を見せてくれた。


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ゆったりシートも同一料金

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