TGA

2018年09月29日

日米首脳会談の着地点は事前にリークされていたので、正式結果について報道機関がどのような見解を示すか注目していた。

26日未明の発表でTGA(日米物品貿易協定)』なる言葉が飛び出し、プーチン会談、トランプ会談の時に必ず登場するNHK岩田明子記者が政府報道官の如く、会談はウイン・ウインの合意に至ったとの解説を興奮気味に行った。

安倍首相にとっては自動車に対する25パーセントの関税上置きが取り敢えず回避され、トランプ大統領にとっては日本が2国間交渉のテーブルに着くことを11月の中間選挙に向けてアピール出来るからというのがその論旨だったように思う。

政治としてそうだとしても実際のところはどうなのか。「共同声明(邦訳版)」を読んでみた。何故かタイトルの無いA4たった1枚なのが暗示的だ。

岩田記者の解説は国民には明らかにミスリードだった。

その一つは、「農産物に係る関税交渉なのでサービス分野も含むFTAではない。」という解説だ。

声明の「3」には「他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じるものについても、交渉を開始する。」と書かれており、「4」に至っては「協定の議論の完了の後に、他の貿易・投資の事項についても交渉を行うこととする。」とある。

二つ目として、そもそも"25パーセントの追加関税"なる文言はどこにも無い。

これはもう「TGA」なるものは将来、日米二国FTAになし崩し的に移行するための国内向け便法に過ぎない。

時間が十分有りながら、読めば素人でも直ぐに分ってしまうことをプロの報道記者が何故あのような解説を行うのか、事態は別の意味で深刻だ。

"自動車と農業"は日米の貿易交渉で長いこと議論されてきた。それ故に日本は味方を作れる多国間交渉に拘わり、WTO交渉では農業の多面的な価値についても論陣を張ってきた経過がある。

ことは安全・安心な食糧生産、国土の保全、農村景観の維持など、安全保障や国家主権と密接に関わる大きな問題を含んでいる。

報道機関は米国抜きの「TPP11」で素通りしたことをもう一度きちんとテーブルに乗せる役割がある。

 

 

 

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