種子法廃止に思う

2018年07月06日

『主要農作物種子法』という地味な法律がある。「種を制する者は世界を制する。」という言葉があるくらい、農作物の種子生産は戦略的な農業資材である。

中でも米、麦、大豆は我が国の基礎的な食糧であり、戦後の昭和27年に増産という国家的なプロジェクトとして「主要農作物種子法」が制定された。

これら作物の品種開発の遺伝資源となる優良な作物の「原々種」の保管と「原種」の栽培管理を試験研究機関が行い、原種を指定した農家圃場で増殖して農家に「一般種子」として安価で頒布するシステムだ。

都道府県が責任を持って行うことになっており、安全で安く安定的な種子の供給が図られてきた。まさに縁の下の法律だ。

その法律が今年の4月に廃止された。1年前に廃止法案が国会に提出された時の理由は『最近における農業をめぐる状況の変化に鑑み、主要農作物種子法を廃止する必要がある。』の一文だけだった。

公的機関が民間の参入を阻んでいるのではないかという「規制改革推進会議」の意見が事の発端のようだったが、廃止した場合の幾多の影響がどれほど議論されたのか疑問だ。

遺伝子組み換え技術を駆使して、ある種の害虫や雑草に耐性のある品種を開発し、その種子を薬剤とセットで販売する外国企業が現れないとも限らないし、地域の栽培条件に適合した多様な種子生産が損なわれるかもしれない。

廃止法案が出た段階で法律に代わって拘束力のある条例の制定に向かった県がある中で、ようやくと言うべきか、食糧生産基地の北海道知事が現在開催中の議会で条例化を表明した。

 食料自給率4割の国が基礎的食糧の種子まで海外に依存するようなことにならないよう北海道こそ先頭に立って法律の趣旨を残す取り組みを期待したい。

 

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