スパイサー報道官の辞任

2017年07月23日

トランプ政権が誕生して間もない今年の1月にアメリカの経済学者のタイラー・コーウェンという人が経済雑誌のコラムに書いたことを思想家の内田樹氏が翻訳して紹介していた。(Why Trump's staff is lying?  Bloomberg View 23 Jan 2017  by Taylor Cowen)

大統領報道担当官スパイサーが「トランプは就任演説でアメリカ史上最多の聴衆を集めた。」という明らかな虚偽を申し立てたことを引き合いに、リーダーは何を考えて部下に嘘を言わせるのかを書いている。

報道官が何故すぐ分かるような嘘を言っているのか、痛々しくも奇異だったので記事のことは印象深く残っていた。スパイサーが辞任するというニュースを聞いて、もう一度読んでみた。

題して、『なぜトランプ政権のスタッフは嘘をつくのか?』

少し乱暴な〝意訳〟かもしれないが、トランプが明らかに「Xでない」場合に「Xだ」と言うタイプの嘘をつくのは、これは彼がビジネスとメディアでのキャリアを通じて有用と知った戦術らしいのだが、

実は権力の誇示であり、

メディアや政治的対抗勢力を断固として無視するという意思表示であり、

非常識なこと、愚劣なことを部下に命じることで忠誠心をテストしているのであり、

そのことで部下が自分への依存を強め、命令機構に対して単身で抵抗出来なくしている。

ということになるだろうか。

彼は家族以外は指名した閣僚も支持者達も信用していないので、相互不信から「最初の100日は破局に向かう日々だ。」と記事は結んでいる。

スパイサー辞任は上司に当たる広報部長にヘッジファンド創業者を充てるという大統領の人事に抗議してのこととか。報道官が6ヶ月で交代するのは異例のことという。コーウェンの見立ての通りのことが100日を越えてどんどん進んできたのかもしれない。

ここで「リーダーが嘘を言わせる。」「部下が忖度する。」に、「家族」「お友達」に置き換えると今の日本の政治情勢によく当てはまることに気づいた。そして支持率の低下も。

リーダーは自身が原因となっている〝嘘の連鎖〟を断ち切らない限り、何をやっても日米ともに信用は戻らないことに気づくべきである。

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