憲法改正と戦後レジーム

2017年05月09日

DSCN1919.JPG

                  庭のオオバナノエンレイソウ 

ニーチェによれば、-「主人の眼でものを見るようになった奴隷」が真の奴隷である。彼には自由人になるチャンスが訪れない。-

哲学者でありフランス文学者であり武道家でもある内田樹氏が、憲法記念日に寄せた新聞インタビューで引用し、今日の社会、政治情勢の視点を述べている。哲学的なことは理解出来ないが、なるほどと思った。

憲法記念日に安倍首相の口から突然、2020年という期限を切って、具体的な憲法改正の強い意志が示された。

「存在はするけど行使はしない。」というこの国の集団的自衛権の考え方を否定する閣議決定が行われた時と重なった。十分な議論もないまま、強引に数の論理で既成事実を先行させる政治"技術"に共通性がある。

政治家の質が低下する中で平和主義の否定と基本的人権の否定に繋がる仕組みづくりがどんどん進むことに言い知れぬ不安感を覚える。

内田氏の言説を、誤解を恐れずに要約すれば、日本はあまりにひどい負け方をしたので、対米従属を通じて同盟国として信頼を獲得するしか段階的に国土と国家主権を回復してゆく方法が無かったが、

今や対米従属そのものが目的化し、宗主国の統治理念から許される範囲でかつての"強い日本"に回帰することで属国たるフラストレーションを発散している。それも国民に向けて、と解釈される。ニーチェが引用される所以か。

憲法改正は逐条では無く、首相がいみじくも言う「戦後レジームからの脱却」とは何かという深い議論をすることではないかと思う。

内田氏は、沖縄返還があり、経済成長があり、『日本人は自分達は「ふつうの主権国家」だと思い上がって、「対米自立=主権回復」という国家目標を忘れてしまったのです。今の日本は「対米従属を通じての対米従属」という不条理なループの中にはまり込んでいます。』とも述べている。

信頼されるリーダーの下でしか憲法改正は出来ないし、してはならないということを改めて思う憲法記念日だった。戦後の旅路を踏み外してはならない。

トラックバック

トラックバックURL: http://blog.hokkaido-np.co.jp/mt/mt-tb.cgi/7970

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

(公開されません)

(HTMLタグ(b,i,br/,p,strong,em,ul,ol,li,blockquote,pre)が使えます)