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温泉の主な泉質について-2

2009年02月03日

■単純泉
 温泉水1kg中の成分が1gに満たないが、源泉温度が25℃以上あるものです。
⑦単純泉、アルカリ単純泉
 単純泉やアルカリ単純泉は、含まれる成分量が少ないのですが、名湯といわれる湯がたくさんあります。肌当たりが柔らかく刺激が少ないので、肌の弱い人や病後、湯治などに適しています。東大沼温泉・旅館留の湯(とめのゆ)、カルルス温泉、阿寒湖温泉、層雲峡温泉、温根湯温泉など。
 北見温泉・ポンユ三光荘はアルカリ単純泉で、肌が石けんをぬったようにツルツルします。

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ポンユ三光荘はアルカリ単純泉

⑧モール温泉
 植物成分が堆積した亜炭層や泥炭層からわき出る褐色の湯です。「美人の湯」として知られる十勝川温泉では「モール温泉」と呼んでいます。この有機成分にはフミン酸が含まれ、肌をしっとりさせる保湿効果がありますが、有機成分は泉質名に記されないため、主に単純泉やアルカリ単純泉に分類されています。しかし、場所によっては、食塩泉や重曹泉でこの有機成分を含むものもあります。
 こうした褐色の温泉は、帯広市周辺のほか、石狩低地帯の札幌市東部から苫小牧市周辺にかけて、また、道東の釧路湿原の周囲でも見られます。

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十勝川温泉の湯は褐色のモール泉(はにゅうの宿)

●硫黄泉
⑨硫黄泉、硫化水素泉
 一般に硫黄泉と呼ばれるものには、硫黄のにおいの元である硫化水素を含むものと、含まないものがあります。新泉質名の場合は、最初の方に「含硫黄――」と記し、硫化水素を基準以上含むものなら、末尾に「――(硫化水素型)」と記述します。

例えば
 温泉情緒を醸し出す硫黄の香りがする、登別温泉・第一滝本館の「美肌の湯」は
 酸性-含硫黄-ナトリウム-硫酸塩泉(硫化水素型)(旧泉名:酸性硫化水素泉)です。

 また、温泉中の成分が1gより少ない場合は「単純硫黄泉」「単純硫化水素泉」「単純硫黄冷鉱泉」などと書かれています。冷鉱泉とは特殊成分を基準以上含む、源泉温度が25℃未満のものです。

 硫黄泉は殺菌力や解毒作用があり、ウルシかぶれや慢性皮膚病、切り傷に効くといわれます。また、硫化水素は皮膚から吸収されると毛細血管を拡張して血行をよくする働きがあり、動脈硬化症や高血圧症によいとされています。このように、湯治効果が高く人気がありますが、湯の刺激も強いので、肌の弱い人には注意が必要です。

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塩別つるつる温泉は硫黄泉

 北見市留辺蘂の滝の湯温泉や塩別つるつる温泉は単純硫黄泉の代表格でpHが9.5もあるアルカリ性の湯です。湯につかると石けんをぬったように肌がツルツルします。
 登別温泉、ニセコ五色温泉、ニセコ湯本温泉、雌阿寒温泉などは酸性の硫化水素泉です。

 ただ注意があります。銀を硫化水素泉につけると真っ黒に変色するので、入浴の際はアクセサリー類は身に付けないでください。

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ニセコ湯本温泉・雪秩父の男性露天風呂。手前の白濁した湯が硫化水素泉

●炭酸泉
⑩二酸化炭素泉
 二酸化炭素を含んでわき出てくる温泉です。二酸化炭素は皮膚から吸収され、毛細血管を拡張して血液の流れをよくします。高血圧や心臓病に効くとされています。湯の温度が高いとすぐに消え去ってしまいますので、新鮮なぬる湯でなければいけません。湯につかると、肌にびっしり気泡が付きます。
 積丹半島の先端にあるシララ温泉・温泉旅館北都(重曹泉)、蘭越町のニセコ薬師温泉(弱食塩泉)などがあります。ただ、これらの温泉の泉質名には、二酸化炭素の記述はありません。
 それは、「含二酸化炭素-」と泉質名に記載するには、温泉水1kg中に1グラムもの二酸化炭素が必要だからです。しかし、0.5gも含んでいれば、十分効能は期待できるという専門家もいるようです。ちなみに、シララ温泉・温泉旅館北都の二酸化炭素量は0.6525gです。残念ながらニセコ薬師温泉の場合は温泉分析書が古くて記載がなく不明です。道内には、まだ、何カ所も二酸化炭素泉があるのですが、温泉水を循環・ろ過しているため、大切な二酸化炭素が抜けてしまっている施設もあるようです。

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湯底から二酸化炭素と一緒にわき出る
ニセコ薬師温泉の透明湯

●ラジウム泉
⑪放射能泉
 通常、温泉水を分析する際には、空中に放出される放射性物質については調べないため、脱衣場などに掲示されている温泉分析書には記されていません。
 大量の放射線は遺伝子を傷つけ、ガンなどの重大な病気を引き起こしますが、「ホルミシス効果」といって、微量の放射線は免疫力や抗酸化機能を高め、健康や老化防止に役立つと言われています。
 ドイツやオーストリアではラドン浴が関節痛などの痛みの治療に利用され、顕著な効果を上げていますが、そのメカニズムはまだ解明されていないようです。

 地下にある岩石や鉱物の中には微量の天然放射性同位元素があります。ウランがラジウムに崩壊した後、ラドンに変わり、ラドンはラドンガスとして地殻の割れ目にそって移動し、温泉とともに地上に出てきます。
 γ(ガンマ)線を放出するラドンは、湯の中にはとどまらず空中に放出され、呼吸で人体に取り込まれます。
 鳥取県の三朝(みささ)温泉は「放射能泉」としてさまざまな効能があることで知られていますが、その放射線もラドンが放出するγ線です。

 北海道立地質研究所発行の「北海道立地質研究所報告第78号(2007年)」に掲載された論文「北海道の温泉ゆう出地から放出されるγ線」(秋田藤雄、柴田智朗)によると、道内の自然ゆう出の温泉地を中心に82カ所を調べた結果、γ線の値が一番高かったのは、根室管内中標津町の養老牛温泉で、二番目が後志管内島牧村のモッタ海岸温泉、三番目が十勝管内上士幌町の幌加温泉でした。モッタ海岸温泉は腰痛や骨折などのリハビリに効果が著しいという評判がありますが、放射線の効能なのでしょうか。

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モッタ海岸温泉の男性浴室と露天風呂

 温泉分析書に記載される正式な泉質名は、温泉法に基づく環境省の「鉱泉分析法指針」による「療養泉」の基準を満たした「鉱泉」についてだけ付けることができます。その詳しい説明は別の機会にさせていただきたいと思います。

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プロフィール

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青木和宏
1954年北海道滝川市生まれ。フリーライター兼編集者、報道カメラマン。85年から内戦のアフガニスタンなどを取材。88年から北海道新聞社出版局「道新Today」編集部スタッフ。2003年からフリー。編集プロダクション「オフィスAWO(あを)」代表

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