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北湯沢温泉・河原の露天風呂-御宿かわせみ-②

2009年01月22日

 北湯沢温泉をはじめ、北海道南西部は、かつて海底で盛んに火山活動をおこなっていたところで、海の底がプレート運動によって持ち上げられ、そこに新しい火山活動で噴出した火山岩が堆積(たいせき)して、現在の地形になりました。
 もともと、火山活動が活発な場所ですから、地下には、いまも高熱を蓄えた岩体がたくさん存在しているようです。
 北湯沢温泉もその一つで、同地区の放出熱量は、層雲峡温泉、登別温泉、濁川温泉に匹敵する道内最大級です。

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御宿かわせみの露天風呂

 北湯沢温泉の温泉水の起源は、化学成分などの分析から、長流川(おさるがわ)流域全体の雨水や地下水などで、地下の比較的浅いところを流れ下るうちに熱せられ、堆積した火山岩の亀裂からわき出ています。
 北湯沢地区のボーリング調査では、深さ180m~200mの地点で、100℃前後の最高温度を記録しています。
 長流川の水位が増すと、温泉のゆう出量も増えるのですが、温度が下がることはないそうです。地下水量に影響されないほど大きな熱源があるからなのでしょう。

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露天風呂から下流の眺め

 さまざまな探査によると、北湯沢温泉の真ん中を流れる長流川沿いに約1000m、幅600m~900mの範囲の地下に、熱水をため込んだ部分があるようです。これは、川の西側より、東側に片寄っているそうで、地熱源は、北湯沢の東にある徳瞬瞥山(とくしゅんべつやま=標高1309m)周辺の地下にあるのではないかと考えられています。

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目の前に長流川の流れがある

 北湯沢温泉の水と熱は別々のものです。登別温泉のように、地下深部から熱をともない、化学成分を多量に溶かし込んでわき出てくる温泉水とは違うタイプなのです。

北湯沢温泉・河原の露天風呂-御宿かわせみ-①

2009年01月17日

 雪景色を眺めながら河原の露天風呂に入りたくて、伊達市の北湯沢温泉に出掛けました。
 札幌から国道230号で中山峠を越え、喜茂別町で支笏湖・苫小牧方面に向かう国道276号に入り、広島峠を越えて間もなく右折して国道453号を10キロほど行くと、川向こうに大型ホテルの「湯元名水亭」が見えてきます。北湯沢温泉です。

 今回の目的地は、さらに国道を400メートルほど進んだ左手にある「御宿かわせみ」(伊達市大滝区北湯沢温泉町39、電話0142-68-6665)。

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御宿かわせみは大正時代の料亭の伝統を継ぐ

 北湯沢温泉は、明治時代に開湯した歴史ある温泉地で、1957年(昭和32年)に国から国民保養温泉地の指定を受けています。

 「御宿かわせみ」は、1916年(大正5年)創業の料亭の伝統を引き継いでいて、食事をする広間にある透かし彫りの欄間や、立派な床の間などが、往時の繁栄をしのばせます。歴史を感じることのできる貴重な宿といえるでしょう。

 建物が古いうえ、長く設備投資がされず、修繕も自前の手仕事に頼っていたため、施設のあらが目立つのですが、昨年3月から、新しいご夫婦が切り盛りするようになって、全般的に改善が図られてきています。和食職人のご主人と、さわやかなおかみさんが、一生懸命応対している姿には好感がもてます。
 館内は掃除が行き届いています。以前は雑然としていた露天風呂に向かう通路も、だいぶ整頓されています。

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深さのある屋根付きの露天風呂(混浴)

 さて、目的のお風呂です。
 ここの湯は無色透明で、泉質は硫化水素泉です。高温のため若干加水して掛け流しています。溶け込んでいる成分量は少ないのですが、肌触りが優しく、よく温まります。
 浴室は、男女別の小さな内風呂と、混浴の、屋根のある深い露天風呂と河原の大きな露天風呂、女性専用の屋根のある小さな露天風呂があります。

 何と言っても、長流川(おさるがわ)の河原にある大きな露天風呂が気持ちいいんです。川面と同じ高さで、川の水に手が届く所にあります。
 少しぬるめの湯は長湯ができます。温まったら岩に腰掛け、冷めたらまた湯につかります。ぼーとしながら流れを見つめていると、知らぬ間に時間がたっていました。
 初夏の新緑も、秋の紅葉も、冬の雪景色も実に風情があります。

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河原の露天風呂が気持ちいい

 北湯沢温泉には、このほか、野口観光の大型ホテル「湯元名水亭 」「湯元第二名水亭」や「湯元ホロホロ山荘」、「温泉旅館たかはし」、「北湯沢ユースホステル」、「鯉の里なかむら」などの温泉宿があります。
 北湯沢山荘は配管破損のため、08年4月13日で「閉店」、休業しています。

 札幌市内中心部からだと、車で2時間半ぐらい。公共交通を利用する場合は、JR室蘭本線伊達紋別駅前から道南バス「倶知安行き」で約50分。「北湯沢温泉」下車です。

 北湯沢温泉の歴史は、1897年(明治30年)に原野の区画選定実測調査の際に道庁の吏員・藤原兵衛氏によって発見され、福島県人の上野梅吉氏が1901年(明治34年)2月に設立した梅吉温泉(後の横山温泉)の開業が始まりとされています。
 また、藤原氏は1913年(大正2年)に藤原温泉(後の観光ホテル)を経営、その後、次々温泉宿が開業します。1940年には伊達紋別-徳瞬瞥(とくしゅんべつ=後の新大滝)間に鉄道が開通。同年には、硫黄を生産した日鉄鉱業徳瞬瞥鉱山も開山(1971年閉山)しています。
 しかし、1883年(明治16年)に、上野氏が鉱泉を発見したという記述があるようで、また、上野氏の出身が宮城県人という記載もあります。開湯も、藤原氏が、発見後すぐに営業を開始したという話もあり、確認整理すべきことがあるようです。

雌阿寒温泉・野中温泉別館-2

2009年01月10日

 十勝管内足寄町の雌阿寒温泉・野中温泉別館(足寄町茂足寄、電話0156-29-7321)の温泉成分が豊富なことは前回ご紹介しました。

 この温泉は、雌阿寒岳の火山活動に由来するものです。雨や雪などの天水が地中にしみ込み、火山の熱を受け、火山性のガスを溶かし込んで自然ゆう出しています。

 野中温泉別館の内風呂は、くぎを一本も使わず、アカエゾマツやトドマツ材で手作りしたもので、湯の肌当たりと、木の柔らかな感触が調和し、名湯にふさわしい満足感をもたらします。

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野中温泉別館の男性内風呂

 透明な湯につかると、沈殿した白い湯の花が舞い上がって、白濁するように見えますが、また、すぐに沈んでいきます。
 おかみさんに話をうかがうと、湯口から注がれる湯は、実は、情緒を演出する「見せ湯」で、加温も加水もしない源泉は、浴槽の中へ直接、流し込まれています。

 浴室にはシャワーもカランもありません。石けんも置いていません。体の汚れは、湯を浴びて少しこすれば十分落とすことができます。髪を洗いたい場合は、洗面所を利用するといいでしょう。

 露天風呂は男女それぞれありますが、加温をしていませんから冬は少し温度が下がります。でも、寒風をほおに受けながら入る露天は最高です。

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男性露天風呂

 ただ、冬季の露天、特に夜間は注意が必要です。内風呂から外に出る戸が凍り付くのです。まるで鍵を掛けられたようにびくともしないことがあります。大人なら下部をドンドンとたたいて、エイッと引けば開きますが、子どもだと無理な場合もありそうです。子どもだけでは露天に出さないほうがいいでしょう。

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戸が凍り付きやすいので注意を

 アカエゾマツの原生林に囲まれた、この宿は、四季折々、魅力にあふれています。質素ですが、山の幸がていねいに調理された食事も好感がもてます。湯に調和した木の湯殿、最高の湯を、ぜひ堪能してください。

 幻の湖・オンネトーへはスノーシューやスキーがあれば便利ですが、長靴でも行くことができます。少し車で足を伸ばせば、タンチョウの訪れる釧路市阿寒町の「丹頂観察センター」(電話0154-66-3460)もあります。

 ここ、雌阿寒温泉には、ほかに2軒の宿があります。野中温泉別館と同じ経営の「野中温泉ユースホステル」と、「オンネトー温泉・景福」です。景福は、冬季は休業し、2009年は1月13日から3月7日までがお休みです。

雌阿寒温泉・野中温泉別館-1

2009年01月06日

 新年あけましておめでとうございます。
 2009年が皆さまにとりまして、よい年になりますよう祈念いたします。

 さて、本年の最初にご紹介するのは、十勝管内足寄町の雌阿寒温泉・野中温泉別館(足寄町茂足寄、電話0156-29-7321)です。ここは、極めて上質な湯を楽しめる、私の大好きな宿です。民営国民宿舎で施設は簡素ですが、1泊2食が8000円以下で利用できます。

 活火山である雌阿寒岳(標高1499m)の中腹、標高708メートルという高所に位置します。阿寒国立公園内で人の住んでいる一番高い所です。

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野中温泉別館の外観

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噴気を上げる雌阿寒岳

 雌阿寒岳は、昨年の11月18日と同28日に小噴火をし、火山活動は、現在も、やや高まった状態にありますが、小噴火は、いずれも水蒸気爆発で、マグマ活動によるものではないようです。
 札幌管区気象台が、火口周辺警報(噴火レベル2、火口周辺規制)を出していて、その内容は、「火口から500メートルの範囲に飛び散る大きな噴石に警戒が必要。風下側では降灰と小さな噴石に注意が必要」というもので、十分距離の離れた雌阿寒温泉の宿泊には問題ありません。

 ここの温泉は、含食塩・石膏硫化水素泉(がんしょくえん・せっこうりゅうかすいそせん)とされていますが、温泉分析書を見ると、陽イオンで一番多いのはマグネシウムで、陰イオンの硫酸と結びついて「正苦味(せいくみ)」成分となり、口に含むと苦い味がします。また、温泉情緒を醸し出す硫化水素臭がします。

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青みを帯びる雌阿寒温泉の湯

 湯は、はじめは透明ですが、白い石膏成分が湯の花として浴槽の底にたまります。また、メタケイ酸が非常に多く、湯が青みを帯びます。この青色は放っておくと、やがて白い濁りになります。メタケイ酸は天然の保湿成分といわれています。

 さらに特筆されるのは、この湯には遊離二酸化炭素が344mgも含まれていることです。温泉水に含まれる二酸化炭素は末梢(まっしょう)血管の血行をよくし、高血圧や心臓病に効能があるとされています。(つづく)

プロフィール

プロフィール

青木和宏
1954年北海道滝川市生まれ。フリーライター兼編集者、報道カメラマン。85年から内戦のアフガニスタンなどを取材。88年から北海道新聞社出版局「道新Today」編集部スタッフ。2003年からフリー。編集プロダクション「オフィスAWO(あを)」代表

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