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2008年を振り返って

2008年12月31日

 この一年、道内の温泉を振り返ってみると、原油価格高騰による燃料コスト上昇が経営を圧迫し、休館や廃業、売却といった深刻なニュースが目に付きました。特に、源泉温度の低い施設は大きな痛手を受けました。
 また、自治体などの第3セクターが運営する施設の委託管理者が、経営難から撤退する例が続いています。せっかく税金をつぎ込んで造った施設が無駄にならない知恵はないものでしょうか。
 一方、温泉街に客を呼び戻そうと、地域ぐるみの取り組みが行われています。
 さらに、温泉の、湯の質に対する認識が浸透して、源泉掛け流し浴槽の新設など、改善に取り組む動きも見られました。

 新しい温泉宿の傾向は、個人客をターゲットにした高級志向です。部屋数を減らし、サービスを手厚くし、客室露天風呂などを備えています。値段は1泊2食で25000円~35000円あたりからで、4万円、5万円というような宿もあります。
 こうした高級宿は、お金持ちや本州客をターゲットに、滞在の快適性と料理に力が入っています。でも、多分に、値段を上げることで、利益率を高めようという判断もあるようです。
 道内には、庶民が、家族や友人らと温泉を堪能することができる、1泊2食で1万円以下の良質な温泉宿がたくさんあります。多くが、飲み物の持ち込みが自由で、空の冷蔵庫が部屋に設備されています。1泊2食が、税込み6450円というところさえあります。もちろん自炊ができる湯治宿もあります。
 温泉の楽しみ方や利用方法は人それぞれです。これからも、多様な情報を提供できるよう頑張ってまいります。皆さまからの情報もお待ちしています。

 以下は、今年、私が気になった、道内の温泉に関するニュースを、一年分まとめてみました。

①洞爺湖温泉でサミット開催
 世界の目が洞爺湖温泉に集まりました。また、全国各地から警備にあたる警察官が動員され、周辺はもちろん札幌やニセコの温泉施設に滞在しました。しかし、地元からは、思ったほどの経済効果はなかった、という声が聞かれました。

②礼文島に初の温泉がゆう出
 礼文町が07年5月からボーリングを開始し、1300mの掘削で、08年1月24日、源泉温度50.2℃、ゆう出量は動力掲揚で最大毎分240リットルの温泉を掘り当てました。09年秋には、源泉掛け流しの湯を提供する、ニシン御殿をイメージしたデザインの温泉入浴施設が開業する予定です。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(旧泉名:含芒硝-食塩泉)で、蒸発残留成分は1210mg/kgです。

③原油高騰が経営を圧迫。廃業、休業、売却が目立つ
 原油高は経営を圧迫した。また、カラカミ観光の阿寒ビューホテルの閉館は、大型ホテルの衰退を象徴する出来事でした。
  室蘭市・富士の湯温泉が08年3月で廃業
  北見市・滝の湯ニュー静林荘が08年8月で休業
  阿寒ビューホテルが08年10月20日で閉館
  登別温泉・オーベルジュゆふらんが08年10月で閉館
  白老町・湯元虎杖荘が08年11月で閉館

④施設売却後のリニューアルオープンが目立った
 日本人の旅行スタイルは、団体旅行から家族や友人との個人旅行に変化しています。対応するには、施設もサービスも変わっていかなくてはなりません。
  江差町・繁次郎温泉(旧湯乃華)08年4月
  旭岳温泉・旭岳万世閣ホテルディアバレー(旧こまくさ荘)08年6月
  小金湯温泉・湯元小金湯(旧黄金湯温泉旅館)08年3月
  ヒルトンニセコビレッジ (旧ニセコ東山プリンスホテル)08年7月
  支笏湖温泉 レイクサイドVILLA翠明閣(旧翠明閣)08年8月
  札幌市・森林公園温泉きよら(旧森林公園温泉)08年11月
  十勝川温泉・緑湯郷が再び「橘香苑」に 08年8月
  支笏湖観光ホテルを鶴雅グループが買収し09年春オープン予定

⑤三セク施設で委託管理者の撤退騒動と休館、閉鎖、営業再開
 三セク施設の営業は苦戦を強いられています。委託管理者が撤退し、次の管理者が見つからず営業再開ができないところや、しみず温泉フロイデのように、民間に売却したところもあります。
  置戸町・メモリーハウス営業再開の目途たたず
  遠軽町・白滝グランドホテル が1カ月ぶりに営業再開 08年3月
  弟子屈町・クアハウス屈斜路が08年3月で休館
  置戸町・勝山温泉ゆうゆが5カ月ぶりに営業再開 08年4月
  津別町・ホテルフォレスターくりんの里5カ月ぶりに営業再開 08年4月
  清水町・しみず温泉フロイデが2カ月ぶりに営業再開 08年6月
  北見市・滝の湯センターが10カ月ぶりに営業再開 08年10月
  喜茂別町・ふるっぷ温泉が湯量減で09年4月までに閉鎖
  夕張市・ユーパロの湯の営業は続くが委託管理者撤退騒動

⑥温泉掘削ブーム続く
 前年から、札幌圏での温泉銭湯の開業が続いています。また、既存ホテルによる温泉掘削熱も盛んです。
  札幌市・「極楽湯札幌美しが丘店」が4月オープン
  三笠市・三笠天然温泉太古の湯が6月オープン
  北広島市・札幌北広島クラッセホテルに温泉「楓楓」が8月オープンへ
  富良野市・新富良野プリンスホテルに「紫彩の湯」が10月オープン
  ニセコ町・ニセコノーザンリゾート・アンヌプリが11月から温泉利用開始

⑦野口観光がお湯重視の浴室改修
 温泉の湯の質を重視し、源泉掛け流し浴槽を造るなど、積極的な施設改修に取り組んでいるのが目を引きました。大いに期待したいと思います。

⑧火災全焼が3軒
 死傷者はなかったものの、宿の火事は大惨事になる恐れがあります。十分気をつけてほしいものです。
  ニセコ山田温泉が08年1月2日に全焼、08年12月から営業再開
  千歳市・祝梅温泉が08年1月4日に全焼、08年6月から営業再開
  川湯温泉・ホテル風月が08年4月20日に全焼

⑨登別温泉開湯150周年
 北海道を代表する温泉地、登別温泉が150周年を迎えました。記念して造られた「泉源公園」が7月20日にオープン。地域をあげて、集客の取り組みが続けられています。

⑩温泉地の復興を目指して、地域ぐるみで魅力づくり
 糠平温泉、川湯温泉など、源泉掛け流し宣言を切っ掛けにして、良質の湯をアピールする地域興しを行っています。糠平温泉では地名を「糠平」から「ぬかびら源泉郷」と変更する手続きも進めています。

 みなさん、よいお年をお迎えください。

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コメント

12/31の記事を見ました。世の中は変わっても、金融不安でも地球温暖化でも、足下の家庭生活を大切にしたいと思いました。先日も苗穂温泉を買ってきました(tetuのブログ参照)。一日の休息に、明日への活力に、子供とのスキンシップに温泉を利用したいと思っています。青さん…今年も精力的な取材をありがとうございました、来年もどうぞよろしくお願い致します。

吉田さん
景気は最悪ですが、ホットなスキンシップに温泉は最高ですね。

年明け早々、取材に出かけます。いい情報を提供できますよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

よいお年をお迎えください。

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青木和宏
1954年北海道滝川市生まれ。フリーライター兼編集者、報道カメラマン。85年から内戦のアフガニスタンなどを取材。88年から北海道新聞社出版局「道新Today」編集部スタッフ。2003年からフリー。編集プロダクション「オフィスAWO(あを)」代表

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