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2008年を振り返って

2008年12月31日

 この一年、道内の温泉を振り返ってみると、原油価格高騰による燃料コスト上昇が経営を圧迫し、休館や廃業、売却といった深刻なニュースが目に付きました。特に、源泉温度の低い施設は大きな痛手を受けました。
 また、自治体などの第3セクターが運営する施設の委託管理者が、経営難から撤退する例が続いています。せっかく税金をつぎ込んで造った施設が無駄にならない知恵はないものでしょうか。
 一方、温泉街に客を呼び戻そうと、地域ぐるみの取り組みが行われています。
 さらに、温泉の、湯の質に対する認識が浸透して、源泉掛け流し浴槽の新設など、改善に取り組む動きも見られました。

 新しい温泉宿の傾向は、個人客をターゲットにした高級志向です。部屋数を減らし、サービスを手厚くし、客室露天風呂などを備えています。値段は1泊2食で25000円~35000円あたりからで、4万円、5万円というような宿もあります。
 こうした高級宿は、お金持ちや本州客をターゲットに、滞在の快適性と料理に力が入っています。でも、多分に、値段を上げることで、利益率を高めようという判断もあるようです。
 道内には、庶民が、家族や友人らと温泉を堪能することができる、1泊2食で1万円以下の良質な温泉宿がたくさんあります。多くが、飲み物の持ち込みが自由で、空の冷蔵庫が部屋に設備されています。1泊2食が、税込み6450円というところさえあります。もちろん自炊ができる湯治宿もあります。
 温泉の楽しみ方や利用方法は人それぞれです。これからも、多様な情報を提供できるよう頑張ってまいります。皆さまからの情報もお待ちしています。

 以下は、今年、私が気になった、道内の温泉に関するニュースを、一年分まとめてみました。

①洞爺湖温泉でサミット開催
 世界の目が洞爺湖温泉に集まりました。また、全国各地から警備にあたる警察官が動員され、周辺はもちろん札幌やニセコの温泉施設に滞在しました。しかし、地元からは、思ったほどの経済効果はなかった、という声が聞かれました。

②礼文島に初の温泉がゆう出
 礼文町が07年5月からボーリングを開始し、1300mの掘削で、08年1月24日、源泉温度50.2℃、ゆう出量は動力掲揚で最大毎分240リットルの温泉を掘り当てました。09年秋には、源泉掛け流しの湯を提供する、ニシン御殿をイメージしたデザインの温泉入浴施設が開業する予定です。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(旧泉名:含芒硝-食塩泉)で、蒸発残留成分は1210mg/kgです。

③原油高騰が経営を圧迫。廃業、休業、売却が目立つ
 原油高は経営を圧迫した。また、カラカミ観光の阿寒ビューホテルの閉館は、大型ホテルの衰退を象徴する出来事でした。
  室蘭市・富士の湯温泉が08年3月で廃業
  北見市・滝の湯ニュー静林荘が08年8月で休業
  阿寒ビューホテルが08年10月20日で閉館
  登別温泉・オーベルジュゆふらんが08年10月で閉館
  白老町・湯元虎杖荘が08年11月で閉館

④施設売却後のリニューアルオープンが目立った
 日本人の旅行スタイルは、団体旅行から家族や友人との個人旅行に変化しています。対応するには、施設もサービスも変わっていかなくてはなりません。
  江差町・繁次郎温泉(旧湯乃華)08年4月
  旭岳温泉・旭岳万世閣ホテルディアバレー(旧こまくさ荘)08年6月
  小金湯温泉・湯元小金湯(旧黄金湯温泉旅館)08年3月
  ヒルトンニセコビレッジ (旧ニセコ東山プリンスホテル)08年7月
  支笏湖温泉 レイクサイドVILLA翠明閣(旧翠明閣)08年8月
  札幌市・森林公園温泉きよら(旧森林公園温泉)08年11月
  十勝川温泉・緑湯郷が再び「橘香苑」に 08年8月
  支笏湖観光ホテルを鶴雅グループが買収し09年春オープン予定

⑤三セク施設で委託管理者の撤退騒動と休館、閉鎖、営業再開
 三セク施設の営業は苦戦を強いられています。委託管理者が撤退し、次の管理者が見つからず営業再開ができないところや、しみず温泉フロイデのように、民間に売却したところもあります。
  置戸町・メモリーハウス営業再開の目途たたず
  遠軽町・白滝グランドホテル が1カ月ぶりに営業再開 08年3月
  弟子屈町・クアハウス屈斜路が08年3月で休館
  置戸町・勝山温泉ゆうゆが5カ月ぶりに営業再開 08年4月
  津別町・ホテルフォレスターくりんの里5カ月ぶりに営業再開 08年4月
  清水町・しみず温泉フロイデが2カ月ぶりに営業再開 08年6月
  北見市・滝の湯センターが10カ月ぶりに営業再開 08年10月
  喜茂別町・ふるっぷ温泉が湯量減で09年4月までに閉鎖
  夕張市・ユーパロの湯の営業は続くが委託管理者撤退騒動

⑥温泉掘削ブーム続く
 前年から、札幌圏での温泉銭湯の開業が続いています。また、既存ホテルによる温泉掘削熱も盛んです。
  札幌市・「極楽湯札幌美しが丘店」が4月オープン
  三笠市・三笠天然温泉太古の湯が6月オープン
  北広島市・札幌北広島クラッセホテルに温泉「楓楓」が8月オープンへ
  富良野市・新富良野プリンスホテルに「紫彩の湯」が10月オープン
  ニセコ町・ニセコノーザンリゾート・アンヌプリが11月から温泉利用開始

⑦野口観光がお湯重視の浴室改修
 温泉の湯の質を重視し、源泉掛け流し浴槽を造るなど、積極的な施設改修に取り組んでいるのが目を引きました。大いに期待したいと思います。

⑧火災全焼が3軒
 死傷者はなかったものの、宿の火事は大惨事になる恐れがあります。十分気をつけてほしいものです。
  ニセコ山田温泉が08年1月2日に全焼、08年12月から営業再開
  千歳市・祝梅温泉が08年1月4日に全焼、08年6月から営業再開
  川湯温泉・ホテル風月が08年4月20日に全焼

⑨登別温泉開湯150周年
 北海道を代表する温泉地、登別温泉が150周年を迎えました。記念して造られた「泉源公園」が7月20日にオープン。地域をあげて、集客の取り組みが続けられています。

⑩温泉地の復興を目指して、地域ぐるみで魅力づくり
 糠平温泉、川湯温泉など、源泉掛け流し宣言を切っ掛けにして、良質の湯をアピールする地域興しを行っています。糠平温泉では地名を「糠平」から「ぬかびら源泉郷」と変更する手続きも進めています。

 みなさん、よいお年をお迎えください。

青さんの温泉出会い旅インデックス

2008年12月31日

 これまでの、温泉情報の目次のようなものがほしいというご意見をいただきました。
そこで、地域別にまとめてみました。過去のデータは、年月別に保存されていますので、参考にしてください。見出しを統一するため、表現を少しだけ変えたものがありますが、お許しください。これまでに掲載されている温泉施設(野湯を含む)は、道南9軒、道央30軒、道北7軒、道東12軒の合計58軒です。

<道南>
■渡島・桧山
北海道一の歴史持つ知内温泉を訪ねました-1 2007年06月18日
北海道一の歴史持つ知内温泉を訪ねました-2 2007年06月19日
北海道一の歴史持つ知内温泉を訪ねました-3 2007年06月25日
道南、乙部町の光林荘の湯は最高!-1 2007年09月16日
道南、乙部町の光林荘の湯は最高!-2 2007年09月17日
野趣たっぷりの渓流を楽しむ宿-1 桜野温泉・熊嶺荘 2008年07月31日
函館のお薦めホテル-ラビスタ函館ベイ① 2008年09月11日
函館のお薦めホテル-ラビスタ函館ベイ② 2008年09月12日
道南・駒ヶ岳を望む流山温泉の魅力 2008年10月14日
初日の出と温泉-2水無海浜温泉 2007年12月26日
道南・恵山周辺の湯-①水無海浜温泉 2008年10月30日
道南・恵山周辺の湯-②恵山温泉 2008年11月10日
道南・恵山周辺の湯-③御崎温泉浜の湯ですが… 2008年11月18日
ポカポカ温まる温泉-③長万部温泉 2008年12月21日

<道央>
■石狩(定山渓、小金湯ほか)
定山渓温泉の紅葉は遅れ気味 2007年10月13日
定山渓の紅葉が真っ盛り 2007年10月22日
定山渓温泉の湯の起源をさぐる-1 2007年11月23日
定山渓温泉の湯の起源をさぐる-2 2007年11月23日
定山渓温泉の湯の起源をさぐる-3 2007年11月24日
定山渓温泉の湯の起源をさぐる-4 2007年11月25日
定山渓温泉の湯の起源をさぐる-5 2007年11月26日
定山渓温泉の湯の起源をさぐる-6 2007年11月27日
定山渓温泉「白樺の湯」を訪ねる 2007年10月14日
定山渓温泉の名湯「ホテル山水」 2007年10月15日
定山渓温泉・定山渓ホテル 2007年11月16日
黄金湯温泉旅館跡地に日帰り施設 2007年10月10日
小金湯温泉・まつの湯-1 2007年11月08日
小金湯温泉の新施設予想図 2007年11月09日
肩が凝って小金湯温泉へ2008年03月14日
GWは温泉でお花見を-1 定山渓温泉、いとう温泉 2008年04月23日*
小金湯温泉「湯元小金湯」を訪ねました 2008年04月29日
森林公園温泉が再開に 2008年10月23日
中小屋温泉に行ってきました-1 2007年04月12日
中小屋温泉に行ってきました-2 2007年04月16日
北広島市の竹山高原温泉 2008年01月27日
ポカポカ温まる温泉-①北村温泉・新篠津温泉 2008年11月27日*

■空知
ながぬま温泉に行ってきました 2007年05月02日
温泉の長期休業・万字温泉ヘビ事件-1 2007年10月06日
温泉の長期休業・万字温泉ヘビ事件-2 2007年10月07日
ポカポカ温まる温泉-①北村温泉・新篠津温泉 2008年11月27日*

■ 後志(積丹・ニセコほか)
海遊びを楽しめる温泉-1 日本海ふるびら温泉「一望館」 2008年06月17日
海遊びを楽しめる温泉-2 シララ温泉 温泉旅館北都 2008年06月19日
海遊びを楽しめる温泉-3 「リフレッシュプラザ温泉998」の1 2008年06月20日
海遊びを楽しめる温泉-3 「リフレッシュプラザ温泉998」の2 2008年06月21日
海遊びを楽しめる温泉-4 雷電温泉・ホテル観光加藤 2008年06月26日
海遊びを楽しめる温泉-5 ちはせ川温泉、モッタ海岸温泉 2008年06月30日
秘湯・朝日温泉に行ってきました-1 2007年07月09日
秘湯・朝日温泉に行ってきました-2 2007年07月19日
秘湯・朝日温泉へは積丹経由で 2007年07月19日
野趣たっぷりの渓流を楽しむ宿-2 雷電湯元・朝日温泉 2008年08月01日
ロッジチセハウスが廃業-1 2007年10月08日
ロッジチセハウスが廃業-2 2007年10月09日
ニセコに行ってきました・新見温泉-1 2007年11月30日
ニセコに行ってきました・新見温泉-2 2007年12月01日
ニセコに行ってきました・新見温泉-3 2007年12月03日
ニセコに行ってきました・新見温泉-4 2007年12月04日
ニセコに行ってきました・新見温泉-5 2007年12月04日
新見温泉の温泉水の起源についての補足 2007年12月05日
ニセコ五色温泉に行ってきました-1 2007年12月10日
ニセコ五色温泉に行ってきました-2 2007年12月11日
ニセコ五色温泉に行ってきました-3 2007年12月14日
名湯・ニセコ薬師温泉旅館-1 2008年05月02日
名湯・ニセコ薬師温泉旅館-2 2008年05月04日
名湯・ニセコ薬師温泉旅館-3 2008年05月09日
ニセコの湯巡り-①「五色の里 ニセコ山の家」 2008年08月31日
ニセコの湯巡り-②「国民宿舎雪秩父」 2008年09月16日
ニセコの湯巡り-③「昆布温泉 鯉川温泉旅館」 2008年09月24日

■胆振・日高(支笏・洞爺ほか)
虎杖浜温泉ホテルいずみで毛ガニ 2007年08月29日
秋色の支笏湖・いとう温泉-1 2007年10月25日
秋色の支笏湖・いとう温泉-2 2007年10月26日
秋色の支笏湖・いとう温泉-3 2007年10月27日
GWは温泉でお花見を-1 定山渓温泉、いとう温泉 2008年04月23日*
天然露天風呂がピンチ? 丸駒温泉 2008年04月15日
ポカポカ温まる温泉-④苫小牧のアルテン・ゆのみの湯 2008年12月23日

<道北>
■上川(表大雪)
旭岳の紅葉と旭岳温泉-1 2007年09月22日
旭岳の紅葉と旭岳温泉-2 2007年09月23日
旭岳の紅葉と旭岳温泉-3 2007年09月25日
旭岳の紅葉と旭岳温泉-4 2007年09月26日
旭岳の紅葉と旭岳温泉-5 2007年09月27日
凌雲閣・露天風呂からの絶景に酔う 2008年04月01日
美しい山に囲まれた十勝岳温泉・凌雲閣 2008年03月30日
十勝岳温泉へ向かう 2008年03月28日
層雲峡温泉と新緑に映える銀河の滝-1 2008年05月22日
層雲峡温泉と新緑に映える銀河の滝-2 2008年05月28日
層雲峡温泉と新緑に映える銀河の滝-3 2008年05月29日
大雪山系・山あいの一軒宿-1 大雪高原温泉高原山荘 2008年07月08日
大雪山系・山間の一軒宿-2 愛山渓倶楽部(1) 2008年07月14日
大雪山系・山間の一軒宿-2 愛山渓倶楽部(2) 2008年07月17日

■留萌・宗谷
名湯・豊富温泉と利尻-1 2007年09月28日
名湯・豊富温泉と利尻-2 2007年09月29日
名湯・豊富温泉と利尻-3 2007年10月01日
名湯・豊富温泉と利尻-4 2007年10月03日
名湯・豊富温泉と利尻-5 2007年10月05日
ポカポカ温まる温泉-②豊富温泉 2008年12月08日

<道東>
■十勝(東大雪、十勝平野ほか)
帯広の豚丼 2007年04月04日
糠平の温泉民宿山湖荘さんを訪ねる 2007年04月22日
大好きな糠平温泉へ 2007年04月18日
糠平温泉も海水に由来 2007年05月02日(長沼温泉の最後に記)
糠平温泉・温泉民宿山湖荘の蟹谷さん(1) 2007年05月23日
糠平温泉・温泉民宿山湖荘の蟹谷さん(2) 2007年06月05日
糠平温泉の全宿が「源泉かけ流し宣言」 2007年06月05日
野趣たっぷりの渓流を楽しむ温泉-然別峡・鹿の湯 2008年08月11日
間もなく冬季休業─然別湖の「ホテル福原別館 山田温泉」 2008年09月29日
初日の出と温泉-4 晩成温泉 2007年12月29日
大樹町・晩成温泉─ヨウ素が高濃度、赤褐色の湯 2008年02月25日
GWは温泉でお花見を-2 十勝川温泉、塩別つるつる温泉 2008年04月25日*

■釧路・根室(阿寒、川湯、釧路湿原ほか)
コタン温泉に行ってきました-1 2007年07月28日
コタン温泉「丸木舟」で創作アイヌ料理とライブを堪能 2007年07月30日
コタン温泉-冬は白鳥とともに 2007年08月02日
コタン温泉から摩周湖へ 2007年08月28日
初日の出と温泉-3コタン温泉 2007年12月28日
名湯・川湯温泉の魅力-1 2008年01月17日
名湯・川湯温泉の魅力-2 2008年01月17日
名湯・川湯温泉の魅力-3 2008年01月21日
名湯・川湯温泉の魅力-4 2008年01月22日
冬の釧路湿原・タンチョウと温泉の旅-1 2008年02月03日
冬の釧路湿原・タンチョウと温泉の旅-2 グリーンパーク鶴沼 2008年02月05日
冬の釧路湿原・タンチョウと温泉の旅-3 グリーンパーク鶴沼 2008年02月06日
冬の釧路湿原・タンチョウと温泉の旅-4 グリーンパーク鶴沼 2008年02月07日
冬の釧路湿原・タンチョウと温泉の旅-5 丘の上のレストラン 2008年02月14日
冬の釧路湿原・タンチョウと温泉の旅-6 茅沼温泉1 2008年02月16日
冬の釧路湿原・タンチョウと温泉の旅-7 茅沼温泉2 2008年02月18日
冬の釧路湿原・タンチョウと温泉の旅-8 茅沼温泉3 2008年02月18日

■網走(知床、オホーツク、北見ほか)
初日の出と温泉-1オホーツク温泉・ホテル日の出岬 2007年12月26日
北見温泉・ポンユ三光荘に行ってきました-1 2008年03月24日
北見温泉・ポンユ三光荘に行ってきました-2 2008年03月26日
GWは温泉でお花見を-2 十勝川温泉、塩別つるつる温泉 2008年04月25日*

■温泉ベストテン
青さんの道内温泉ベストテン 2007年12月31日

■その他の話題
温泉のまわりには、会いたい人がいっぱい 2007年03月30日
温泉の長期休業や廃業 2007年10月11日
温泉から帰ってきたら本が…「ママ、笑っていてね」 2007年12月05日
温泉に逃げ出したい-1 2007年12月19日
温泉に逃げ出したい-2 2007年12月20日
明けましておめでとうございます 2008年01月14日
以  上

ポカポカ温まる温泉-④苫小牧のアルテン・ゆのみの湯

2008年12月23日

 乗馬やカヌー、パークゴルフなどのスポーツや自然体験が楽しめるオートリゾート「アルテン」(苫小牧市樽前421番地4、電話0144-67-2222)に、海水なみに濃い食塩泉が楽しめる「ゆのみの湯」という温泉施設があります。

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アルテンの施設の中にある「ゆのみの湯」

 温泉水1㎏中に含まれる蒸発残留成分が35.24gと、海水と同じくらい濃い湯です。
 ちなみに、家庭用の200リットルの浴槽だと、食塩に換算して7kgも溶け込んでいることになります。

 ここの泉質はナトリウム-塩化物強塩泉(旧泉名:強食塩泉)で、露天風呂は源泉掛け流しです。この露天風呂の湯は黄土色に濁っていて湯の底が見えません。湯船に入るとき、気をつけないと段を踏み外して、つんのめることがあります。ご注意を。

 ここの湯は、食塩成分が多いのと同時に、メタケイ酸という成分も豊富です。温泉法では、メタケイ酸は温泉水1kg中に50mg以上あれば、それだけで「温泉」と名乗ることができる有効成分で、天然の保湿成分といわれます。その効果は100mg以上だと「強力な保湿効果」ということができます。ここの温泉分析書によると、189.1mgも含まれているのです。肌当たりが柔らかい、いい湯です。

 この湯の起源は、長万部温泉と同じく、古い時代に海の底で堆積(たいせき)した厚い地層に閉じこめられた化石海水です。ただ、長万部温泉の場合、湯と一緒に噴出するのがメタンガスですが、苫小牧は窒素ガスです。苫小牧の湯の貯(た)まっている地層の方が、少しばかり新しいようです。とはいえ何百万年も前の話ですが。

ポカポカ温まる温泉-③長万部温泉

2008年12月21日

 道南の長万部は、JR函館線に室蘭線が合流する、鉄道の要衝として栄えてきました。名産はカニで、駅弁の「かにめし」は有名ですね。

 ここに温泉が発見されたのは1955年(昭和30年)2月で、天然ガスの試掘中にガスと一緒に噴出しました。
 たちまち源泉付近に、わき出した湯がたまり、禁止したにもかかわらず、入浴する人であふれ、露天風呂状態になったそうです。
 町が、やむなく仮の入浴施設を造ると、11月には売店や食道、旅館が開業。あっという間に温泉街が出来上がりました。
 その後、新たな泉源も見つかり、1963年に設立した長万部温泉利用協同組合が管理し、現在8軒の温泉宿が営業しています。
 長万部駅から徒歩で約5分という街の中心部にあるので、ビジネス利用にも便利です。

 ここの温泉は、少し黄色みを帯びた透明で、しょっぱい湯です。泉質はナトリウム-塩化物泉(旧泉名:強食塩泉)。49.5℃で、ゆう出量は毎分600リットルです。
 何本かの源泉があり、含まれる成分の量にかなりの差があります。長温R6という源泉の成分を見ると、蒸発残留成分が、温泉水1㎏(約1リットル)中に30グラムあります。長温R2源泉の場合は10.4グラムです。こうした差は、地下水との混合割合の差だと考えられます。

 長万部は、海の近くですが、ここの、しょっぱい湯の起源は、現在の海水ではなく、太古の化石海水です。古い時代に海中で堆積(たいせき)した分厚い地層に取り込まれた海水で、地上から運ばれてきた植物成分などの影響を受けて変化したものと考えられています。

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長万部温泉ホテル

 長万部温泉ホテル(長万部町温泉町402番地、電話01377-2-2079)は、もともと、町営の国民宿舎でしたが、現在は民営です。
 1階に公衆浴場が、2階に宿泊者専用の浴室があります。施設は新しくはありませんが、源泉掛け流しのいい湯です。入浴料金が安いので人気があります。

 公衆浴場には8の字型の浴槽があり、小さい方が高温湯で、大きい方が中温湯です。露天風呂はありません。
 宿泊者専用の浴室は、扇形のこぢんまりした浴槽で、入り口に鍵が付いているので、家族風呂のように利用できます。
 宿泊料金は1泊2食のビジネスプランLタイプが7000円、デラックスプランDタイプが8500円です。通常、夕食には毛ガニが1人に1尾付くようです。
 
 落ち着いた雰囲気や、露天風呂、インターネット環境が整っている宿を、という人には丸金旅館(長万部町温泉町403番地、電話01377-2-2617)がお薦めです。  
 源泉掛け流しの和風旅館です。内風呂は男性浴室の檜風呂と女性浴室の石造りがあり、24時に男女入れ替えになります。露天風呂があるのはここだけです。
 料金は1泊2食、ビジネスプランが8550円、スタンダードプラン10650円、デラックスプラン12750円です。

ポカポカ温まる温泉-②豊富温泉

2008年12月08日

 化石海水が起源の濃い食塩泉の中には石油や天然ガスの発掘調査の際に発見されたものがあります。
 宗谷管内の豊富温泉はその代表といえるでしょう。1925年(大正14年)に、石油の試掘をしていて、地下800m~900mあたりから、高圧の天然ガスとともに噴出しました。めずらしいのは、温泉水に石油が混じっていることです。また、天然ガスは地元で燃料として利用されています。

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町営の日帰り温泉施設「ふれあいセンター」

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ふれあいセンターの側にある源泉井戸

 「温泉で油まみれなんて」とおっしゃる方がいるかもしれませんが、温泉ファンなら、一度は経験してほしい名湯です。
 黄色みをおびた湯は、肌触りがとても柔らかく、肌がしっとりします。長湯をしても湯疲れが少なく、実によく温まります。

 泉質はナトリウム-塩化物泉(旧泉名:食塩泉)です。温泉水1kg(約1リットル)中に含まれる総成分は11g以上あります。もし、食塩だけでこの濃度を作ろうとすると、家庭用の200リットルの浴槽だと、2.2kgも溶かさなければなりません。どれほど濃いのかが、わかっていただけると思います。

 豊富温泉の湯は、重曹と、メタホウ酸をかなり多く含むのですが、成分中に占める食塩の割合がダントツで大きいため、泉質名はナトリウム-塩化物泉とだけ記され、成分の豊富さが見逃されがちです。
 重曹は入浴剤によく使われている成分で、湯の肌あたりを柔らかくします。また、血管を拡張し、血行をよくするといわれています。さらに、消臭効果や洗浄作用もあります。
 メタホウ酸は、温泉水中ではホウ酸として溶けています。ホウ酸は洗眼剤に使われますが、静菌効果があるので、防腐剤にも使われる成分です。

 この豊富温泉が、いま注目を集めているのは、アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)に特効があるからです。全国各地から、皮膚疾患に悩む患者さんが訪れ、湯治をされています。
 豊富温泉には、こうした患者さんが自炊して滞在できる町営の宿泊施設「湯快宿(ゆかいじゅく)」(豊富町豊富温泉、電話0162-82-2292)があり、また、町営の日帰り温泉施設「ふれあいセンター」(豊富町豊富温泉、電話0162-82-1777)には、湯治専門の浴室が設けられ、患者さんたちが、一般客に気兼ねなく利用できるようになっています。
 一般浴室の湯は、湯治浴槽とは違い、油分をろ過しています。それでも、湯の表面に薄い油膜が漂っています。

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スキー場のすぐ側にあるニューホテルサロベツ

 豊富温泉にはスキー場がありますからファミリーにもお薦めです。温泉街の一番山側にあるニューホテルサロベツ(豊富町豊富温泉、電話0162-82-1211)だと、すぐ側がスキー場です。

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ニューホテルサロベツの男性内風呂
温泉浴槽の奥に真湯の浴槽がある

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解析物が付着する温泉浴槽

 このホテルの湯は、温度を上げるため、熱湯を少し加水していますが、掛け流しです。
 浴場には、温泉浴槽のほかに、普通の水を温めた「真湯(まゆ)」浴槽と、ユニークな牛乳風呂があります。
 油膜の漂う温泉につかった後、石けんで体を洗い、真湯に入ってみましたが、石油臭はとれません。じゃあ、というので牛乳風呂に入ると、何と、石油と牛乳、両方のにおいがついてしまいました。
 とは言え、体は芯から温まりポカポカ、肌はしっとり、とてもいい温泉です。

 で、石油臭ですが、2、3日で取れます。ご心配なく。

プロフィール

プロフィール

青木和宏
1954年北海道滝川市生まれ。フリーライター兼編集者、報道カメラマン。85年から内戦のアフガニスタンなどを取材。88年から北海道新聞社出版局「道新Today」編集部スタッフ。2003年からフリー。編集プロダクション「オフィスAWO(あを)」代表

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