ポカポカ温まる温泉-①北村温泉・新篠津温泉
2008年11月27日
北海道は急に冷え込んで、11月としては20年ぶりにマイナス20℃を記録した町があります。
寒くなってくると恋しくなるのが温泉ですね。今回は、よく温まる湯を紹介しましょう。
入浴後、いつまでも体がポカポカする湯の代表は、「熱の湯」といわれるナトリウム-塩化物泉(旧泉名:食塩泉)です。
食塩泉は、塩分が皮膚に付着して、入浴後、熱を逃げにくくするそうです。
食塩泉は日本で一番多い泉質で、食塩成分が濃いお湯の起源は海水だといわれています。
温泉水1㎏(約1リットル)中に、ナトリウムイオンが5.5g以上、塩素イオンが8.5g以上含まれている場合、「ナトリウム-塩化物強塩泉」と「強」の文字が付きます。
■起源はいまの海水か化石海水か
こうした、濃い食塩泉にも、いろいろなタイプがあります。
海に近く、海水が地層にしみこんで、地熱で温められたものや、大昔に、海底にあった地層が、当時の海水をため込んだまま成分を変化させた化石海水もあります。
この化石海水の中には、石油や天然ガスを伴うものもあれば、そうでないものもあります。
また、臭素やヨウ素を多く含んでいるものもあって、色もにおいも実に多様です。
■北村温泉と新篠津温泉
最初に紹介するのは、北村温泉「北村温泉ホテル」(岩見沢市北村赤川156-7、電話0126-56-2221)と新篠津温泉「しんしのつ温泉アイリス」(新篠津村46線南3電話0126-58-3371)です。
いずれもボーリングによって開発された温泉ですが、最初に掘り当てた深さは、北村が893m、新篠津が702mでした。かつて海の底で堆積(たいせき)した当別層といわれる地層に貯留された温泉です。
大昔の化石海水と地中にしみ込んだ天水(雨や雪など)が混じりあっています。札幌市内で採掘される強食塩泉の井戸は、この地層からと思われます。
どちらも泉質は、ナトリウム-塩化物強塩泉(旧泉名:強食塩泉)で、内風呂も露天風呂も源泉掛け流し。
北村温泉は、少し緑色がかった、いわゆる「ささ濁り」で、湯があふれ流れた浴槽や床が鉄さび色に染まっています。温泉水1㎏中の総成分は29.7gもあります。味はしょっぱくて、わずかに金気臭があります。
アイリスの湯は鉄分が多い分、赤茶けた濁りで、総成分は29.14g。味はしょっぱく、少し金気臭があります。どちらも、よく似た成分構成です。肌当たりが柔らかく、すべすべして、とてもよく温まります。太古の時代に思いをはせ、化石海水の肌触りを楽しんでみてください。
■どんな地層からわく温泉か
ここからは、ちょっぴり地質のお話です。興味のない方は飛ばしてください。
いまから800万年くらい前は、札幌も、岩見沢も、もちろん北村も新篠津も、まだ深い海の底でした。北海道は2つに分かれていて、太平洋と日本海はつながっていていました。
300万年くらい前から、地殻の動きによって、日高山脈のある東側の島と、本州側が押し合うようになって、距離が縮まってきます。海底で堆積した地層は褶曲(しゅうきょく)して押し上げられ、海が浅くなってきます。
石狩川は太平洋に流れ出ていましたが、4万年ほど前、現在の支笏湖付近にあった火山が大噴火し、その火砕流が、湿地となっていた千歳や恵庭から札幌南部の藻岩山付近まで埋めつくしたといいます。これによって石狩川は日本海へ流れを変えました。
6000年前は、温暖で極地の氷が溶け、海面が現在より3mほど高く、札幌の北部や北村、新篠津なども石狩湾の海底だったそうです。その後、海面が下がり、現在の陸地が現れました。
温泉が採掘される「当別層」は、札幌市のとなり、江別市北部で、深さ1000mあたりから3500m付近まであるような、分厚い地層です。この強食塩泉をため込んだ地層は、新篠津や北村付近では、もう少し浅いところにあるのです。
