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野趣たっぷりの渓流を楽しむ宿-1 桜野温泉・熊嶺荘

2008年07月31日

 渓流の風情を存分に楽しむことができる、大人向けの温泉宿をご紹介しましょう。
 露天風呂につかり、沢の音を聞き、小鳥のさえずりに耳を傾けていますと、川面をわたる風の感触が、実に心地よいものです。

 自然ゆう出する温泉は、川に浸食された露頭や川底から発見されることがあり、こうした立地を生かした、眺めのよい露天風呂のある宿を訪ねてみました。

 北海道で、渓谷美を楽しむ温泉といえば、まず、定山渓温泉と層雲峡温泉が挙げられますが、今回は、こうした大温泉地ではなく、部屋の中にまで、渓流の音が聞こえるような、静かな一軒宿を取り上げます。

 最初にご紹介するのが、道南、桧山管内八雲町の桜野温泉「熊嶺(くまね)荘」(八雲町桜野、電話0137-66-2564)です。
 国道5号を、八雲町市街から函館方面に10キロほどの距離にある野田生地区から道々573号を山側に約12キロ。案内看板に従って左折し、山道を300メートルほど行くと、こぎれいな一軒家のような宿に着きます。

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一軒家を思わせる熊嶺荘

 熊嶺荘のわきを流れる野田生(のだおい)川は、イワナやヤマメがよく釣れると場所として、渓流釣りの愛好家らによく知られています。宿のご主人は渓流釣りの名人で、当然、ここは、釣り人が、よく訪れる宿です。

 露天風呂からは渓流が見渡せ、四季折々風情があります。ただ、女性は、男湯を通らなければ露天風呂に出られないという問題があります。宿では、お客さんの状況を見て、浴室を男女入れ替えにするなどして、対応してくれます。

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野田生川の流れを見渡す露天風呂

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男性内風呂と床にこびり付いた温泉成分

 お湯は、ナトリウム-塩化物泉(旧泉名:食塩泉)で、内風呂も、露天風呂も源泉掛け流し。
 少し茶色の濁りを帯びた湯で、重曹成分もかなり含まれていますので、肌に優しく、よく温まります。

 この地域は、かつて、海の底で盛んに火山活動をおこなっていた「グリーンタフ」と呼ばれる地質で、その当時、岩石中に取り込まれた食塩成分が、湯の中に溶け出していると考えられています。成分や濃度が、定山渓温泉の湯と、似た傾向があります。

 食事は、ホタテとキノコをメーンにした、名物の「おぼこ鍋」や、川魚や山菜料理が楽しめます。また、ヤマメの骨酒もお薦めです。
 運がよければ「ヤマメの押しずし」にありつけるかもしれません。ただ、これは、ご主人の釣果にかかっています。

 野田生川の瀬音を楽しみ、山あいの一軒宿でのんびり過ごす、静かな時間は、何ものにも代え難い気がします。

大雪山系・山間の一軒宿-2 愛山渓倶楽部(2)

2008年07月17日

 大雪山系の温泉水の循環については、次の4系統があるとされています。これまでの調査を経ても、熱水経路に不明な点があり、そうした個所には、「?」マークを付けました。

 ①旭岳系(旭岳噴気→中岳温泉?→勇駒別温泉→天人峡温泉)
 ②有毒温泉系(有毒温泉→中岳温泉?→愛山渓温泉)
 ③白水川系(黒岳・桂月岳→白水川→層雲峡温泉)
 ④高原温泉系(白雲岳?→ヤンベ・高原温泉→ヤンゲタップ源泉)

 愛山渓温泉は、有毒温泉系といわれるもので、旭岳温泉や層雲峡温泉とは、熱水の系統が違っています。有毒温泉は、旭岳と黒岳の間にある御鉢平という大噴火口跡にあります。御鉢平の中は有毒ガスが発生するため、立ち入り禁止になっています。

 この有毒温泉は、温度が82度で強い酸性です。それが、登山道の脇にゆう出する中岳温泉になると、温度は54度に下がり、弱酸性になります。さらに、愛山渓温泉まで下ると、49度中性の湯になるのです。

 標高の高いところから、地中を下流に向かって流れる熱水が、地層中の岩石と反応し、地下水の混入も受け、成分も温度も変化するのです。そんな旅をしてきたお湯に思いをはせながら、大雪山系中心部から生まれた、ここだけでしか味わうことができない温泉を堪能してください。

大雪山系・山間の一軒宿-2 愛山渓倶楽部

2008年07月14日

 パソコンに、ウイルスチェックソフトのバージョンアップをしている最中に、不具合が生じて、ダメになってしまいました。
 で、ご紹介しようと準備しておいた原稿も、写真も全滅。パソコン内の保存データは、すべて消え去ってしまいました。 とはいえ、ブログの更新をお待たせして申し訳ありません。みなさん、バックアップはこまめに取りましょう。

 気を取り直して、書き直しました。

 今回ご紹介するのは、愛山渓温泉・愛山渓俱楽部(くらぶ)(上川町愛山渓、電話01658-2-3887)です。
 旭川方面からだと、国道39号で、上川管内愛別町を抜け、上川町安足間(あんたろま)地区をすぎて間もなく、案内看板に従って、道々223号へ右折します。その後は、ひたすら上り詰めると、標高1030メートル地点に愛山渓倶楽部があります。

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愛山渓倶楽部の外観

 以前は途中から砂利道でしたが、現在は、温泉まで舗装道路になりました。
 ただ、雪で道路が閉ざされる冬季(11月から4月まで)は営業していません。

 ここは、北海道第二の高峰である北鎮(ほくちん)岳(標高2244m)への登山口としても知られ、黒岳のある層雲峡方面に縦走したり、旭岳のある旭岳温泉方面に抜けたりすることもできるので、登山家たちに人気があります。

 お湯は、ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉(旧泉名:含正苦味-重曹泉)の源泉掛け流しです。鉄分を含むため、浴槽や床は鉄さび色の析出物がこびりついています。湯は、白っぽく濁っていて、口に含むと、強い金気臭があります。
 内風呂だけですが、満足感の得られる、いいお湯です。

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鉄分で赤く染まった浴室

大雪山系・山あいの一軒宿-1 大雪高原温泉高原山荘

2008年07月08日

 夏は、海もいいけど山が好き、という人には大雪山系の温泉旅をお勧めします。
 黒岳(層雲峡温泉)や旭岳(旭岳温泉)なら、ロープウエーを利用すると、手軽に高山に足を運べます。十勝岳(白金温泉、吹上温泉)なら、雄大な風景を楽しめる望岳台まで車で行けます。
 登山者に愛される、数ある温泉の中から、登山の素人でも高山の雰囲気を楽しめる、山あいの一軒宿をご紹介しましょう。

 最初は、大雪高原温泉「高原山荘」(上川町層雲峡高原温泉、電話01658-5-3818)です。住所は「層雲峡」となっていますが、層雲峡温泉とは約25キロ離れていて、標高1240mの高所にある一軒宿です。
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高原山荘の外観

 秋の紅葉時期には、シャトルバスが運行され、一般車両の乗り入れが規制されますが、夏季は大丈夫。大雪湖沿いの国道から、細い山道を登ります。

 この温泉宿は、雪に閉ざされてしまうため、6月上旬から10月上旬まで、年に4カ月間しか営業しない、まさに、秘湯です。一周6㎞の高原沼巡りハイキングが人気です。

 本格的な登山になりますが、お花畑がきれいな緑岳(標高2019m)や、白雲岳(標高2229.5m)を経由して黒岳や旭岳方面に向かう縦走もできます。

 ただ、ここはヒグマの生息地です。高原沼巡りをする場合も、「高原山荘」のそばにある「ヒグマ情報センター」で入山の受け付けをし、注意事項の説明を受けてください。服装などは、軽登山程度の装備が望ましく、軽登山靴か長靴を準備していきましょう。
 入山は午前7時から午後1時まで、下山は午後3時までと規制されています。

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高原山荘の側にある「ヒグマ情報センター」

 温泉は白濁する酸性硫化水素泉で、その香りが温泉気分を満足させてくれます。湯は、源泉温度が高いため、2割ほどわき水を加水してかけ流しています。

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男性内風呂

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開放感のある男性露天風呂

プロフィール

プロフィール

青木和宏
1954年北海道滝川市生まれ。フリーライター兼編集者、報道カメラマン。85年から内戦のアフガニスタンなどを取材。88年から北海道新聞社出版局「道新Today」編集部スタッフ。2003年からフリー。編集プロダクション「オフィスAWO(あを)」代表

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