美しい山に囲まれた十勝岳温泉・凌雲閣
2008年03月30日
十勝岳温泉・凌雲閣(上富良野町十勝岳温泉、電話0167-39-4111)は、標高1280メートルに位置します。道内では一番高い所にある温泉宿で、名峰・富良野岳や、十勝連峰への登山口として登山家たちによく知られています。私も、20代という肉体的に栄光の時代、登山が趣味で、…いや、ほんとに。で、何度も訪れました。
ですから、私には、凌雲閣といえば「登山基地」「山の家」「山小屋」といったイメージが強く残っています。当時は、宿泊客のほとんどが登山者だったような気がします。玄関には泥のついた登山靴が散乱し、雑然とした光景が懐かしく思い出されます。
その後、秘湯ブームで脚光を浴び、全国各地から観光客が訪れる、人気宿になってしまいましたが、本質的には、いまも登山者の宿だと思っています。
泥によごれ、岩にこすれたリュックサックやズボンで下山してきた登山者が、荷を下ろし、よごれた靴下のまま風呂に向かいます。こうした客が主人公なのであって、オシャレなリゾートホテルや、高級料理を出す割烹(かっぽう)旅館とは生き方が違う、という思いが私にはあります。
曲がりくねった急坂を登り切って、駐車場に車を止めました。空は晴れ、空気は澄んで、周囲を真っ白な山々が取り巻いています。また、山にやって来たぞ、という若い時代と同じような感慨が満ちてきます。春山のシーズンです。
完全にメタボリックな体形になった私には、もう、訪れる資格はないのではなかろうか、というような、青臭い懐旧の念が、ちらりと脳裏をかすめましたが、そんな思いは振り切って、凌雲閣の、少し雑然とした玄関をくぐりました。
